角持ち奴隷少女の使用人。

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200、帰宅待ち。

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男は仕事先のホテルの一室で、ベッドに上半身を投げ出していた。
あらかた現地での用事が終わった様で、スーツに皺が寄るのも気にしていない。
気だるげに天井を眺めながら、そのまま寝てしまいそうな雰囲気だ。

「旦那様、せめて上着ぐらいはお脱ぎ下さい」
「へーい・・・」

注意された後のそのそと動き出し、スーツをハンガーにかける男。
どうやら女も同室の様で、男に注意しつつ本人も服を着替えている。

先程まで綺麗なドレスに身を包んでいたが、今はそれを脱いで寝間着を手にしていた。
下着姿だが恥ずかしがる様子も無く、更に気を使う様子も皆無である。
当然男も女の下着姿に一切の興味は無く、自分が脱ぐ事にも特に躊躇いはない。

上着をかけた所でぼりぼりと頭をかくと、部屋に備え付けてあるバスローブを手に取る男。
そのまま浴室に向かうと、入る前に女に声をかける。

「シャワー先に使うぞ」
「どうぞ。浴槽にお湯もお願いします、旦那様」
「主人を顎で使うなよ・・・」

どちらが主人なのかという事を平気で言う女。
屋敷と違い二人きりなので、余計に男への扱いが雑な感じがする。
勿論仕事中はしっかりと従者していたのだが、もう仕事をする気はないのだろう。

女の言い分に文句を言いつつも、そのまま浴室に向かう男。
それなりに高いホテルのおかげなのか、トイレと浴室は別々になっている。
勿論事前に女が調べて予約を取ったので、女がそういうホテルが良かったというだけだが。

男はお湯を張る蛇口とシャワーノズルが別々になっている事を確認し、浴槽にお湯を張りつつシャワーを浴びる。
それなりに大きい浴槽のせいか体を洗い終わってもまだお湯がたまっておらず、大体半分ぐらいしかお湯かさがない。

「この風呂、明らかに誰かと入る前提だな・・・お湯が溜まるまであったまるか。寝転がってりゃ全身入るし」

男が改めて浴槽を確認すると、中には段差になって座れるようにもなっており、寝転がれる様に浴室用の枕の様な物もある。
その枕が二つ並んでいる辺り、本来は夫婦や恋人同士で来るホテルなのだと思ったらしい。

事実そういった用途で使われる事も多いのだが、設備は良いので普通に宿泊する客も多い。
女も流石にラブホテル扱いされている所に予約を入れる気はないだろう。

「入りますよ、旦那様」
「・・・二人だけだからって本当に遠慮が無いな、お前」
「別に貴方の裸を見ても自分の裸を見られても、何の感情も浮かびませんし」
「へーへー。ったく、こんな事あいつに知られたら殺されそうだな」

男が浴槽でのんびり転がっていると、女がズカズカと浴室に入って来た。
前を隠す事すらせず、堂々とした立ち振る舞いは何処か男らしい。
男も多少の非難を口にするが、言う程気にした様子は無い。
二人にとってお互いの裸なぞ、何の魅力も無ければ羞恥を感じる事もない。

屋敷では一応周りの目も有るし、こういう事はしないようにはしている。
ただ女にしてみれば、弟に仕事外で何故気を使わねばならんのだ、という所の様だ。
以前弱っていた時にセクハラだのなんだの言っていたが、単純に男の世話になるのが恥ずかしかっただけである。
男としてはこの事実を友人に知られたら殺されそう、という事は問題な様だが。

女は手早く体と髪を洗うと、タオルで髪を纏めて浴槽に入る。
その際男を手で押し退け、自分の丁度いい位置に座った。
何処までも男に気を使う気のない女である。

「本当ならここにあの子も居たのだが」
「お前、まさかその為にこのホテル予約したのか」
「でなければ何の為に、こんな大きな浴室の在るホテルを予約する意味が在るのですか」
「・・・いや、うん、何かもう今日は良いわ。反論する元気がない。もう先に上がって寝る」

男の快適さなど知った事ではないと言う女だが、男は疲れで反論する気が起きない様だ。
溜め息を吐きながら浴室を出てバスローブを羽織ると、端末に何かメッセージが入っている事に気が付いた。

見ると相手は少女であり、短く「無事のお帰りをお待ちしています」と書かれている。
少女の性格を考えると、もっと思う事も伝えたい事も有ったんだと思う。
だけど何よりも二人が無事に帰って来る事を祈っていると、そう伝えたい想いを見てとった男は口元がにやけていた。

「ふふっ、寂しそうにしてたくせに」

偶に彼女や羊角から少女の様子が送られて来るので、寂しそうにしている事を知っている。
だけど文面からはその気配は見て取れず、通話をした時も元気いっぱいだった。
それは心配をかけまいという想いから来る行動なのだが、それが尚の事いじらしいと感じる男。

「姉貴じゃねえが、早く帰ってやらないとな」

男は端末を操作して画面を切り替え、少女の映る写真を見ながら嬉しそうに呟いていた。









因みに少女は二人の帰宅予定日を勘違いし、夕方に玄関前で待機していた。
どうやら「仕事の終わりの日」と「帰って来る日」を間違えて覚えていたらしい。
旦那様のお仕事終わりの日だからやっと二人が返って来る、と頭がいっぱいになっていたのも原因だろう。

「角っ子ちゃん、何してんの? 旦那様はまだ帰ってこないよ?」

彼女に間違えている事を教えられ、一瞬ほえっとした顔をしてからはっと気が付く少女。
そして間違えて「待ってる」と送った事に恥ずかしくなり、アウアウと慌てだした。
暫くするとみぅ~と声を漏らしながら、顔を抑えて赤くなりはじめる。

「あははっ、でもまあもうすぐしたら返って来るから、ね?」

恥ずかしがりつつもコクンと頷き、ポテポテと自室に向かう少女。
ただ今日は余り寂しがっておらず、二人がもうすぐ帰って来るという気持ちの方が強い様だ。
部屋に戻ると女が居ない間に作った追加の人形、女をモチーフにしたらしき目つきの悪い人形を抱き抱え、失敗しちゃったと照れながら猫に報告する少女であった。
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