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197、特別な。
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「私の人形、か」
女はご機嫌そうに、手の中にある人形を見つめている。
とはいえ見る人が見なければ、ご機嫌とは判らないぐらい酷い視線なのだが。
相変わらず素直に笑顔が出る回数は増えていない様だ。
視線の先に有るのは先日少女が作り、皆に感謝を込めて配った人形。
当然その皆の中には女が入っており、ちゃんと女モチーフの人形も貰っている。
そして女は特別に、もう一つの人形を貰っていた。女だけが貰った人形が。
「どちらをつけるか迷う所だな」
その人形に目を向け、真剣に悩む様子を見せる女。
頭に可愛らしい柔らかい角の有る、少女の人形が。
皆の分を作る前にと練習で作った物だそうだ。
案外上手くできたので女に貰って欲しいと、女の人形と一緒に渡していたらしい。
「だが、これを付けると・・・多分煩いのが居るしな」
女はどちらかと言えば少女のストラップを付けたい。
それに自分モチーフの人形を付けるなど、少々気恥ずかしいのも有る。
だがこれを付けてしまうと、多分羊角や彼女辺りが面倒臭い反応を見せるだろう。
『あああああああ~~~~! せ、先輩、それ、それええええぇぇぇ!』
『ああー! 何それ先輩狡い! あたしも、あたしも角っ子ちゃんの欲しいぃー!』
うん、止めておこう。そう思い自分の人形を端末に付ける女。
ただ自分の人形、と言うには少し可愛らしすぎるなと思いながら。
とはいえデフォルメされているから可愛く見えるだけで、目つきの悪い人形なのだが。
どうやら少女も慣れて理解があるだけで、目つきは悪いと思っている様だ。
「ふふっ、端末に付けるには少し大きいな」
端末に付けられた人形は、サイズ的には端末の三分の二は有る。
ストラップ、というには少々大きな気もするが、その事には誰も突っ込んでいない。
少女の頑張りとその想いが嬉しいし、軽い素材なので重さは気にならない。
普通に端末を使うには、そこまで邪魔にはならないだろう。
ただ普段ズボンのポケットに仕舞う男だけは、端末を仕舞う場所が変更された様だが。
かなり膨らんで不格好になるので、今後は上着の内ポケットに入れる事にしたらしい。
夏はどうするつもりだろうか。
「こっちの人形はどうするか・・・ここに置いておくか。」
女は化粧台に既に置いてある人形の横に、ちょんと少女に人形を並べる。
実はこっそり単眼にお願いしていた、着ぐるみ少女人形の隣に。
並べてみるとやはり出来は単眼が作った物の方が良いなと思うが、それでも少女は少女なりに頑張った形跡がしっかり見える。
ただそれだけの事が、女にとってはとても愛おしいと感じていた。
「昔はこんな物、余り興味は無かったのにな」
きっとこの感情は、娘か妹などに向ける様な気持ちなのだろう。
可愛らしい、家族に向ける様な、優しい気持ち。
そこから来る好意が、少女をモチーフにした人形が本人の様に可愛く見えて来る。
女はそう思いながら、優しく人形達を撫でていた。
「全く、折角の初給金を殆ど使ってしまうとは。後先考えないのはまだまだ不安だな」
そう言いながら人形の頭をツンと突つく女。
だが言葉とは裏腹に声音はとても優しく、本人もそれを自覚しているようだった。
因みに後日、結局少女が特別に少女人形を渡したのはばれてしまった。
何故なら少女がどちらの人形を付けたのかと、皆の居る前で確認をしに来たからだ。
ニパーッと満面の笑顔を見せる少女に女は何も言えなかった。
「先輩、さっきの何なんですか。天使ちゃんから何を貰ったんですか? 見るだけ。見るだけで良いので見せてくれません?」
「どんなの貰ったんですか? ねえねえ先輩」
「ええい煩い!」
折角こうならない様にしたのに、結局二人に付き纏われる女であった。
女はご機嫌そうに、手の中にある人形を見つめている。
とはいえ見る人が見なければ、ご機嫌とは判らないぐらい酷い視線なのだが。
相変わらず素直に笑顔が出る回数は増えていない様だ。
視線の先に有るのは先日少女が作り、皆に感謝を込めて配った人形。
当然その皆の中には女が入っており、ちゃんと女モチーフの人形も貰っている。
そして女は特別に、もう一つの人形を貰っていた。女だけが貰った人形が。
「どちらをつけるか迷う所だな」
その人形に目を向け、真剣に悩む様子を見せる女。
頭に可愛らしい柔らかい角の有る、少女の人形が。
皆の分を作る前にと練習で作った物だそうだ。
案外上手くできたので女に貰って欲しいと、女の人形と一緒に渡していたらしい。
「だが、これを付けると・・・多分煩いのが居るしな」
女はどちらかと言えば少女のストラップを付けたい。
それに自分モチーフの人形を付けるなど、少々気恥ずかしいのも有る。
だがこれを付けてしまうと、多分羊角や彼女辺りが面倒臭い反応を見せるだろう。
『あああああああ~~~~! せ、先輩、それ、それええええぇぇぇ!』
『ああー! 何それ先輩狡い! あたしも、あたしも角っ子ちゃんの欲しいぃー!』
うん、止めておこう。そう思い自分の人形を端末に付ける女。
ただ自分の人形、と言うには少し可愛らしすぎるなと思いながら。
とはいえデフォルメされているから可愛く見えるだけで、目つきの悪い人形なのだが。
どうやら少女も慣れて理解があるだけで、目つきは悪いと思っている様だ。
「ふふっ、端末に付けるには少し大きいな」
端末に付けられた人形は、サイズ的には端末の三分の二は有る。
ストラップ、というには少々大きな気もするが、その事には誰も突っ込んでいない。
少女の頑張りとその想いが嬉しいし、軽い素材なので重さは気にならない。
普通に端末を使うには、そこまで邪魔にはならないだろう。
ただ普段ズボンのポケットに仕舞う男だけは、端末を仕舞う場所が変更された様だが。
かなり膨らんで不格好になるので、今後は上着の内ポケットに入れる事にしたらしい。
夏はどうするつもりだろうか。
「こっちの人形はどうするか・・・ここに置いておくか。」
女は化粧台に既に置いてある人形の横に、ちょんと少女に人形を並べる。
実はこっそり単眼にお願いしていた、着ぐるみ少女人形の隣に。
並べてみるとやはり出来は単眼が作った物の方が良いなと思うが、それでも少女は少女なりに頑張った形跡がしっかり見える。
ただそれだけの事が、女にとってはとても愛おしいと感じていた。
「昔はこんな物、余り興味は無かったのにな」
きっとこの感情は、娘か妹などに向ける様な気持ちなのだろう。
可愛らしい、家族に向ける様な、優しい気持ち。
そこから来る好意が、少女をモチーフにした人形が本人の様に可愛く見えて来る。
女はそう思いながら、優しく人形達を撫でていた。
「全く、折角の初給金を殆ど使ってしまうとは。後先考えないのはまだまだ不安だな」
そう言いながら人形の頭をツンと突つく女。
だが言葉とは裏腹に声音はとても優しく、本人もそれを自覚しているようだった。
因みに後日、結局少女が特別に少女人形を渡したのはばれてしまった。
何故なら少女がどちらの人形を付けたのかと、皆の居る前で確認をしに来たからだ。
ニパーッと満面の笑顔を見せる少女に女は何も言えなかった。
「先輩、さっきの何なんですか。天使ちゃんから何を貰ったんですか? 見るだけ。見るだけで良いので見せてくれません?」
「どんなの貰ったんですか? ねえねえ先輩」
「ええい煩い!」
折角こうならない様にしたのに、結局二人に付き纏われる女であった。
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