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189、合唱。
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ふんふーん♪ と少女が鼻歌を歌い、ぶなんぶなーん♪ と猫が鳴いて返す。
最後に犬がわおーんと鳴いてと、何やら庭で一人と二匹で歌っている。
そしてまた少女が鼻歌を歌うと、また猫と犬が歌いと、暫く前からこの調子な様だ。
楽しげなのは良いのだが、少女と猫は相変わらず音がズレている。
リズムも決まったリズムは無く、その時その時の気分で歌っているので余計に不安定だ。
勿論どちらもそんな事は気にしておらず、とてもご機嫌に歌っている。
ただ犬だけは綺麗に音程をとった歌に聞こえるのは何故なのか。犬なのに。
因みに最初は歌っていた訳ではなく、少女は庭でのんびり絵本を読んでいた。
ただその最中にふんふんと鼻歌を歌っていたら、途中で膝の上に居る猫が一緒にぶなーんと鳴き始め、気が付いた少女が猫を撫でた事で褒められたと思ったのだ。
そこから少女の鼻歌に常に合わせ、少女も楽しくなって絵本を置いて歌い出し、傍に居た犬も楽しそうなので混ざっているという感じになっている。
「神話のいちシーンかしら」
「怖い怖い。流石にその思考は怖い」
羊角は当然の様に撮影をしており、その発言に彼女が突っ込むも聞いていない。
何やら収音マイクを少女の方に向けて、音もしっかり拾おうとしている。
下手をするとCDに収録して曲をつけかねない勢いだ。
彼女も微笑ましくて可愛い光景だとは思うが、流石に羊角の様な反応にはならない。
むしろこのまま混ざって一緒に歌いに行こうかなーと思うが、多分そうなると羊角が怖そうなので今は我慢している。
だが暫くすれば行くだろう。彼女の性格上、ずっと邪魔をしないという事はあり得ない。
「というか、今こそ混ざりに行けば良いのに。今なら他に誰も居ないし相手して貰えるのにさ」
「天使ちゃんから来るなら良いけど、私から邪魔はしたくないの」
「・・・でも偶に、アンタから行ってない?」
「そういう時は、天使ちゃんが手を貸して欲しそうにしてる時ね」
彼女はそうだったかなぁと思い返すが、面倒臭くなって考えるのを止めた。
そんな下らない事に頭を悩ませるのが馬鹿馬鹿しくなったらしい。
はっと鼻で笑ってからその場を離れ、仕事に戻る彼女。
羊角もセットを終えてから戻って行き、庭では変わらず少女達の合唱が続いていた。
流石に疲れたのか、暫くしてはふーっと息を吐く少女。
猫も何故か真似する様にふひゅーっと息を吐いている。
犬も空気を読んでわふぅーと鳴いているが、少し違う様な気がする。
「喉乾かない?」
そこにタイミングよく、お盆を手に持った複眼が声をかけた。
お盆の上には水の入ったペットボトルとコップ、そして犬と猫の水器。
少女はペカーっと笑顔を見せてぺこりと頭を下げ、猫は解っているかどうか不明だがぶなっとひと鳴きして返し、犬は既にお座りをして待っている。
「はいはい、どうぞ」
犬と猫の器にはもう水を入れていたらしく、地面に器を置く複眼。
勢い良く水を飲む二匹を見ながらコップに水を注ぎ、少女に手渡す。
少女もコクコクと勢いよく飲んで、プハーっと気持ち良さそうに息を吐いた。
「そろそろお昼だから、戻ろうか」
少女は素直にハイっと手を上げて応え、コップと猫の器を持ちつつ猫を腕に抱える。
犬は自分で器を咥え、ぞろぞろと複眼の誘導について行く。
その際にもまだ少しフンフンと楽し気に鼻歌を歌う少女。どうやら余程楽しかった様だ。
刷り込みの子鳥がピヨピヨ鳴いて付いて来ているみたいだと感じた複眼は、静かに口元だけで笑いながら連れてゆくのであった。
最後に犬がわおーんと鳴いてと、何やら庭で一人と二匹で歌っている。
そしてまた少女が鼻歌を歌うと、また猫と犬が歌いと、暫く前からこの調子な様だ。
楽しげなのは良いのだが、少女と猫は相変わらず音がズレている。
リズムも決まったリズムは無く、その時その時の気分で歌っているので余計に不安定だ。
勿論どちらもそんな事は気にしておらず、とてもご機嫌に歌っている。
ただ犬だけは綺麗に音程をとった歌に聞こえるのは何故なのか。犬なのに。
因みに最初は歌っていた訳ではなく、少女は庭でのんびり絵本を読んでいた。
ただその最中にふんふんと鼻歌を歌っていたら、途中で膝の上に居る猫が一緒にぶなーんと鳴き始め、気が付いた少女が猫を撫でた事で褒められたと思ったのだ。
そこから少女の鼻歌に常に合わせ、少女も楽しくなって絵本を置いて歌い出し、傍に居た犬も楽しそうなので混ざっているという感じになっている。
「神話のいちシーンかしら」
「怖い怖い。流石にその思考は怖い」
羊角は当然の様に撮影をしており、その発言に彼女が突っ込むも聞いていない。
何やら収音マイクを少女の方に向けて、音もしっかり拾おうとしている。
下手をするとCDに収録して曲をつけかねない勢いだ。
彼女も微笑ましくて可愛い光景だとは思うが、流石に羊角の様な反応にはならない。
むしろこのまま混ざって一緒に歌いに行こうかなーと思うが、多分そうなると羊角が怖そうなので今は我慢している。
だが暫くすれば行くだろう。彼女の性格上、ずっと邪魔をしないという事はあり得ない。
「というか、今こそ混ざりに行けば良いのに。今なら他に誰も居ないし相手して貰えるのにさ」
「天使ちゃんから来るなら良いけど、私から邪魔はしたくないの」
「・・・でも偶に、アンタから行ってない?」
「そういう時は、天使ちゃんが手を貸して欲しそうにしてる時ね」
彼女はそうだったかなぁと思い返すが、面倒臭くなって考えるのを止めた。
そんな下らない事に頭を悩ませるのが馬鹿馬鹿しくなったらしい。
はっと鼻で笑ってからその場を離れ、仕事に戻る彼女。
羊角もセットを終えてから戻って行き、庭では変わらず少女達の合唱が続いていた。
流石に疲れたのか、暫くしてはふーっと息を吐く少女。
猫も何故か真似する様にふひゅーっと息を吐いている。
犬も空気を読んでわふぅーと鳴いているが、少し違う様な気がする。
「喉乾かない?」
そこにタイミングよく、お盆を手に持った複眼が声をかけた。
お盆の上には水の入ったペットボトルとコップ、そして犬と猫の水器。
少女はペカーっと笑顔を見せてぺこりと頭を下げ、猫は解っているかどうか不明だがぶなっとひと鳴きして返し、犬は既にお座りをして待っている。
「はいはい、どうぞ」
犬と猫の器にはもう水を入れていたらしく、地面に器を置く複眼。
勢い良く水を飲む二匹を見ながらコップに水を注ぎ、少女に手渡す。
少女もコクコクと勢いよく飲んで、プハーっと気持ち良さそうに息を吐いた。
「そろそろお昼だから、戻ろうか」
少女は素直にハイっと手を上げて応え、コップと猫の器を持ちつつ猫を腕に抱える。
犬は自分で器を咥え、ぞろぞろと複眼の誘導について行く。
その際にもまだ少しフンフンと楽し気に鼻歌を歌う少女。どうやら余程楽しかった様だ。
刷り込みの子鳥がピヨピヨ鳴いて付いて来ているみたいだと感じた複眼は、静かに口元だけで笑いながら連れてゆくのであった。
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