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186、沢山の服。
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「この辺りは出しておこうか。角っこちゃんの事だからまだ平気だと思うけど」
「厚手のコートの類はまだ早いかなぁ・・・でもどうせすぐに寒くなるしなぁ」
彼女と単眼が楽し気に相談しながら、寒さに備えて衣替えの準備をしていた。
秋口の服がメインの様だが、どうせすぐに寒くなるからと冬服も出している。
ただそこに出されてゆく服はどれも自分達の物ではない。
彼女の言葉からも解るかもしれないが、少女の服を入れ替えている様だ。
選んでいる服には羊角が買って来た物もある。というか、羊角の買って来た物が多い。
当然少女もその場に居り、キャッキャと楽し気に騒ぎながら服を選んでいる。
時折彼女に着替えさせられたりしているので、衣替えがメインなのか着せ替えがメインなのか解らない状態だが。
残念ながらこの場に居ない羊角は、後でこの事を聞いて彼女を恨む事だろう。
「あいつ角っこちゃんに似合う服を選んだっていうより、とにかく着て欲しい服買ったって感じよね、これ。うん、可愛い。まあうちの角っこちゃんは何着ても可愛いんですけどね」
服を着替える度にバーンと両手を広げて彼女に見せる少女。
ここまで何度も可愛いと言われながら着替えているせいか、ムフーと鼻息が荒い。
ねえ今度はどう? という様子で開いた腕をピコピコ動かして彼女の言葉を待っている。
足までばーんと開いている事に彼女はクスクスと笑い、少女の頬をむにっとしてから可愛い可愛いと撫でまわして応えていた。
少女はにへへーと笑いながらその手にすりつき、同じ様に彼女の顔をむにっと手で潰す。
二人でちょっと変な顔になりながら、お互いにムニムニしながらとても楽しそうに笑っている。
先程からずっとこの調子なので衣替えは余り進んでいないが、楽しいのできっと良いのだ。
「あ、これ可愛い。ねえねえおチビちゃん、これも入れとく?」
二人の様子にクスクスと笑いながら手を動かしていた単眼だが、とある服を見て手を止める。
少女が頬をむにっとされたまま首を傾げて見ると、そこには服というか着ぐるみがあった。
いや、着ぐるみパジャマの類なのだが、少々良くあるものと毛色が違う。
大概の着ぐるみパジャマという物は、手足が出せるようになっている。
だがそれは手足も完全に中に入れる様になっており、ポフポフの手足が付いていた。
モチーフが爬虫類の類なのか水かきの手足で、後ろには長めの尻尾も付いている
少女は気に入ったのか目をキラキラと輝かせ、勢い良くコクコクと頷いて返していた。
「本当に何でも有るな・・・何時から買ってるんだこれ。あいつ自分の生活費ちゃんと残してんのかな。流石に心配になって来るんだけど」
「そうよねぇ。前のおチビちゃんを撮影していた機材といい、どう考えても使い過ぎよね」
この屋敷の使用人の仕事は内容の割に給料は良いが、別にそこまで高給という訳では無い。
だというのに羊角の買い物量は、明らかに異常な量になっている。
今更な話ではあると二人共解っているが、流石に少し心配になって来ている様だ。
ただこれには少々裏話が有り、女と金を出し合っている物が有ったりする。
少女を可愛く着飾る事や、少女の映像記録に女は負けたのだ。
いや、本人達は幸せなので納得しているのだけども。
女としては最初の頃の様に全ての世話をしたいと思っている。
だが少女の自立を促すと決めた以上、何時までもそういう訳にはいかない。
故に着る服を全て選んで身だしなみも全て世話して、という事を最近全力で我慢している。
そのうっ憤を別の所で誤魔化しているという訳だ。
ただし朝起こしに行くのは変わらず譲らない。そこは絶対に譲る気が無い。
という訳で羊角はそこそこ大きい出費はしているものの、それなりにリターンが有る。
それに最悪普段の食事は複眼が用意してくれるので、飢え死にと言う事はきっと無いだろう。
「止めても聞かないだろうから止めないけど。めんどくさいし」
「あ、あはは、そうだね、止まらないだろうねぇ」
「ま、その代わりなるべく入れ替えてやりますか」
「うん、それにおチビちゃんも嬉しそうだし、着てる所が見られれば本人も満足でしょうね」
一応羊角の心配はする二人だが、これに関しては言っても無駄だと思っている。
なので沢山ある少女の為だけの服に苦笑いを向けながら、なるべく少女が着る様に用意を進めてあげるのであった。
何だかんだ気の良い仲間である。
「厚手のコートの類はまだ早いかなぁ・・・でもどうせすぐに寒くなるしなぁ」
彼女と単眼が楽し気に相談しながら、寒さに備えて衣替えの準備をしていた。
秋口の服がメインの様だが、どうせすぐに寒くなるからと冬服も出している。
ただそこに出されてゆく服はどれも自分達の物ではない。
彼女の言葉からも解るかもしれないが、少女の服を入れ替えている様だ。
選んでいる服には羊角が買って来た物もある。というか、羊角の買って来た物が多い。
当然少女もその場に居り、キャッキャと楽し気に騒ぎながら服を選んでいる。
時折彼女に着替えさせられたりしているので、衣替えがメインなのか着せ替えがメインなのか解らない状態だが。
残念ながらこの場に居ない羊角は、後でこの事を聞いて彼女を恨む事だろう。
「あいつ角っこちゃんに似合う服を選んだっていうより、とにかく着て欲しい服買ったって感じよね、これ。うん、可愛い。まあうちの角っこちゃんは何着ても可愛いんですけどね」
服を着替える度にバーンと両手を広げて彼女に見せる少女。
ここまで何度も可愛いと言われながら着替えているせいか、ムフーと鼻息が荒い。
ねえ今度はどう? という様子で開いた腕をピコピコ動かして彼女の言葉を待っている。
足までばーんと開いている事に彼女はクスクスと笑い、少女の頬をむにっとしてから可愛い可愛いと撫でまわして応えていた。
少女はにへへーと笑いながらその手にすりつき、同じ様に彼女の顔をむにっと手で潰す。
二人でちょっと変な顔になりながら、お互いにムニムニしながらとても楽しそうに笑っている。
先程からずっとこの調子なので衣替えは余り進んでいないが、楽しいのできっと良いのだ。
「あ、これ可愛い。ねえねえおチビちゃん、これも入れとく?」
二人の様子にクスクスと笑いながら手を動かしていた単眼だが、とある服を見て手を止める。
少女が頬をむにっとされたまま首を傾げて見ると、そこには服というか着ぐるみがあった。
いや、着ぐるみパジャマの類なのだが、少々良くあるものと毛色が違う。
大概の着ぐるみパジャマという物は、手足が出せるようになっている。
だがそれは手足も完全に中に入れる様になっており、ポフポフの手足が付いていた。
モチーフが爬虫類の類なのか水かきの手足で、後ろには長めの尻尾も付いている
少女は気に入ったのか目をキラキラと輝かせ、勢い良くコクコクと頷いて返していた。
「本当に何でも有るな・・・何時から買ってるんだこれ。あいつ自分の生活費ちゃんと残してんのかな。流石に心配になって来るんだけど」
「そうよねぇ。前のおチビちゃんを撮影していた機材といい、どう考えても使い過ぎよね」
この屋敷の使用人の仕事は内容の割に給料は良いが、別にそこまで高給という訳では無い。
だというのに羊角の買い物量は、明らかに異常な量になっている。
今更な話ではあると二人共解っているが、流石に少し心配になって来ている様だ。
ただこれには少々裏話が有り、女と金を出し合っている物が有ったりする。
少女を可愛く着飾る事や、少女の映像記録に女は負けたのだ。
いや、本人達は幸せなので納得しているのだけども。
女としては最初の頃の様に全ての世話をしたいと思っている。
だが少女の自立を促すと決めた以上、何時までもそういう訳にはいかない。
故に着る服を全て選んで身だしなみも全て世話して、という事を最近全力で我慢している。
そのうっ憤を別の所で誤魔化しているという訳だ。
ただし朝起こしに行くのは変わらず譲らない。そこは絶対に譲る気が無い。
という訳で羊角はそこそこ大きい出費はしているものの、それなりにリターンが有る。
それに最悪普段の食事は複眼が用意してくれるので、飢え死にと言う事はきっと無いだろう。
「止めても聞かないだろうから止めないけど。めんどくさいし」
「あ、あはは、そうだね、止まらないだろうねぇ」
「ま、その代わりなるべく入れ替えてやりますか」
「うん、それにおチビちゃんも嬉しそうだし、着てる所が見られれば本人も満足でしょうね」
一応羊角の心配はする二人だが、これに関しては言っても無駄だと思っている。
なので沢山ある少女の為だけの服に苦笑いを向けながら、なるべく少女が着る様に用意を進めてあげるのであった。
何だかんだ気の良い仲間である。
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