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180、あーん。
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まだまだ暑い日が続くお昼頃の休憩時間、少女は幸せそうな顔でカップアイスを食べていた。
仕事で火照った体を冷やす甘い物に、ん~っと足をパタパタさせながら味わっている。
口の中で溶けていく食感が無くなるまでゆっくりと待ってから、また一口運ぼうとして少女はふと顔を上げた。
そこには少女と一緒に休憩をとり、お茶を飲んでまったりしている単眼が座っている。
「ん、どうしたの?」
少女が顔を上げてこちらを見た事に気が付き、首を傾げて笑顔で応える単眼。
すると少女はカップアイスにスプーンを差し込み、目一杯すくって単眼に差し出した。
美味しかったので単眼にもおすそ分け、というつもりの様だ。
「良いの?」
スプーンに有るアイスは、スプーンが大きかった事もあってカップの半分近い量が乗っている。
単眼はその事も含めて少女に訊ねたのだが、少女はニコッと笑ってコクコクと頷いて返す。
本当に良いのかなと思う単眼だったが、少女の心遣いに素直に従ってパクリと口にした。
「ん、美味しい。ありがとー」
口元を隠しながら礼を言う単眼に、少女はニコーッと満足そうな笑みで返す。
そして半分以下になってしまったアイスの残りを、うまうまと食べ始めた。
単眼はカップの中身を見て少し申し訳ない気持ちになっているが、少女は全然気にしていない。
むしろ単眼と美味しいを共有できた事に満足して、足が楽し気にピコピコ動いているぐらいだ。
スプーンに山になって乗っていたアイスだったが、それは少女にとって山盛りなだけ。
単眼からすれば可愛い一口サイズであり、少女もそれは解っていた。
だからこそ態々多めにすくって単眼に向けたのだ。
ちゃんと満足する一口を食べて欲しい。そう思って差し出したのだから、気にする訳が無い。
「あ、角っこちゃん、アイス食べてるー。一口ちょーだい」
そこに彼女も休憩にとやって来たらしく、少女の食べるアイスを見てあーんと口を開ける。
少女は素直に新しい分をすくって、何故か同じ様にあーんと口開けながら彼女の口に入れた。
ただそれは先程単眼にあげた時と違い、彼女の一口に合わせた量。
単眼はそれに気が付き、少女の心遣いにフフッと笑みを漏らしていた。
少女は相手によって一番良いであろう量を考えて渡している。
そして今も少女は満足気で、きっと食べる量が減った事よりも嬉しい事なのだろう。
なら申し訳ないと思う事の方が申し訳ないと、そう感じたらしい。
「暑い日は冷たい物が美味しいねー」
少女は最後の一口を食べると彼女に応え、ねーと二人で同じ様に首を傾げている。
そのまま単眼にも顔を向けてにへっと笑い、余りにも嬉しそうな顔に思わず釣られて笑う単眼。
二人が笑顔な事に満足した少女は、えへへーと楽し気にカップを片付けはじめた。
「本当に、優しい子に育ったなぁ」
自分一人が楽しむよりも、皆との楽しいの共感を求める子になった少女。
それを見て胸の内に生まれる暖かさのまま、優しい目を少女に向ける単眼であった。
「私もあーんして欲しかった・・・」
一歩出遅れた羊角は、その様子を悲し気に陰から見つめていた。
その後ろでジャーキーを齧っていた複眼は、溜め息を吐きながら一つを羊角に差し出す。
「ほら、あーん」
「あーん、んぐんぐ」
「満足?」
「・・・むなしい」
「あっそ」
どうやら羊角の悲しみはジャーキーでは癒されなかった様だ。
仕事で火照った体を冷やす甘い物に、ん~っと足をパタパタさせながら味わっている。
口の中で溶けていく食感が無くなるまでゆっくりと待ってから、また一口運ぼうとして少女はふと顔を上げた。
そこには少女と一緒に休憩をとり、お茶を飲んでまったりしている単眼が座っている。
「ん、どうしたの?」
少女が顔を上げてこちらを見た事に気が付き、首を傾げて笑顔で応える単眼。
すると少女はカップアイスにスプーンを差し込み、目一杯すくって単眼に差し出した。
美味しかったので単眼にもおすそ分け、というつもりの様だ。
「良いの?」
スプーンに有るアイスは、スプーンが大きかった事もあってカップの半分近い量が乗っている。
単眼はその事も含めて少女に訊ねたのだが、少女はニコッと笑ってコクコクと頷いて返す。
本当に良いのかなと思う単眼だったが、少女の心遣いに素直に従ってパクリと口にした。
「ん、美味しい。ありがとー」
口元を隠しながら礼を言う単眼に、少女はニコーッと満足そうな笑みで返す。
そして半分以下になってしまったアイスの残りを、うまうまと食べ始めた。
単眼はカップの中身を見て少し申し訳ない気持ちになっているが、少女は全然気にしていない。
むしろ単眼と美味しいを共有できた事に満足して、足が楽し気にピコピコ動いているぐらいだ。
スプーンに山になって乗っていたアイスだったが、それは少女にとって山盛りなだけ。
単眼からすれば可愛い一口サイズであり、少女もそれは解っていた。
だからこそ態々多めにすくって単眼に向けたのだ。
ちゃんと満足する一口を食べて欲しい。そう思って差し出したのだから、気にする訳が無い。
「あ、角っこちゃん、アイス食べてるー。一口ちょーだい」
そこに彼女も休憩にとやって来たらしく、少女の食べるアイスを見てあーんと口を開ける。
少女は素直に新しい分をすくって、何故か同じ様にあーんと口開けながら彼女の口に入れた。
ただそれは先程単眼にあげた時と違い、彼女の一口に合わせた量。
単眼はそれに気が付き、少女の心遣いにフフッと笑みを漏らしていた。
少女は相手によって一番良いであろう量を考えて渡している。
そして今も少女は満足気で、きっと食べる量が減った事よりも嬉しい事なのだろう。
なら申し訳ないと思う事の方が申し訳ないと、そう感じたらしい。
「暑い日は冷たい物が美味しいねー」
少女は最後の一口を食べると彼女に応え、ねーと二人で同じ様に首を傾げている。
そのまま単眼にも顔を向けてにへっと笑い、余りにも嬉しそうな顔に思わず釣られて笑う単眼。
二人が笑顔な事に満足した少女は、えへへーと楽し気にカップを片付けはじめた。
「本当に、優しい子に育ったなぁ」
自分一人が楽しむよりも、皆との楽しいの共感を求める子になった少女。
それを見て胸の内に生まれる暖かさのまま、優しい目を少女に向ける単眼であった。
「私もあーんして欲しかった・・・」
一歩出遅れた羊角は、その様子を悲し気に陰から見つめていた。
その後ろでジャーキーを齧っていた複眼は、溜め息を吐きながら一つを羊角に差し出す。
「ほら、あーん」
「あーん、んぐんぐ」
「満足?」
「・・・むなしい」
「あっそ」
どうやら羊角の悲しみはジャーキーでは癒されなかった様だ。
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