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179、アイロンがけ
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少女はある日、不可解な動画を見つけた。
今はその動画を見て、とても不思議そうに首を傾げている。
少女が今まで学んだ常識では、そこに映る人間達の行動が理解出来ないのだ。
事の発端はとある言葉を目にした事。
今日は特にやる事が無かった少女は、何となく男から貰った携帯端末を取り出した。
以前男から貰った携帯端末。型落ちでバッテリーの持ちも良くない。デザインも可愛くない。
それでも少女は満足で、良くこうやってニマニマしながら見つめている。
だって大好きな人が長年使っていた道具だから、それはそれはとても特別な物なのだ。
男にとってはもう使わない物でしかないが、少女にとっては大切な宝物なのだから。
ただ偶にはちゃんと使ってみようと思い、ブラウザを立ち上げる。
端末を操作していると、それだけで増々ご機嫌になっていく少女。
どうやら男の端末を操作している、という事がとても楽しいらしい。
とはいえもうこれは少女の物なので、正確には男のおさがりを、となるのだが。
そんな風に携帯端末をご機嫌に操作していると、途中で首を傾げる単語を見つけたのだ。
それは俗にエクストリームスポーツと呼ばれるもの。
最初は普通にふんふん成程と少女は思っていた。
そこに書かれていた物はレースやクライミング等、危険性の有る中で競う競技。
つまりはそういう系統の競争をするスポーツなんだと納得し始めた所で、少女の目におかしな単語が入って来たのだ。
『エクストリームアイロン掛け』
この単語が目に入ってきた瞬間、少女の思考は少しばかりフリーズした。
アイロンの何に危険性を求めるのかと。そもそもアイロンでどうやって危険になるのかと。
意味が解らなかった少女は、取り敢えずその単語で動画検索をしてみた。
そして出て来た動画を見て、少女は尚の事首を傾げる事となる。
何で空を飛びながらアイロン掛けをしたり、水中でアイロン掛けをしたりしているのかと。
そもそもアイロンは皺を伸ばす為なのに、そんな事をしてたら何時までも伸びないのではと。
ただ少女は見ている内に少し面白くなって来た様で、時折わぁと声を漏らしたり、手を小さくパチパチ叩き、楽しんで動画を見始めている。
意味が解らないし訳が解らないが、何だかやってる人達が楽しそうで釣られた様だ。
時折動画と同じ様に手を動かして真似をしている時もあった。
きっと世の中にはこういう物も在るのだと、不思議に思うよりも受け入れたらしい。
ピョコピョコ飛びながら真似をするその様子は、格好良いとはかけ離れたものだったが。
後日彼女にそれを話し、二人で動画の真似をして空中でシーツにアイロンをかけていたら、女に見つかって二人して叱られてしまう。
だた少女にしては珍しく、競技が有るのになーとちょっと納得していない顔をしていた。
強く怒られた訳ではないとはいえ、女に叱られたのにだ。
その様子に気が付いた女は少しだけ驚きを見せ、けど静かに言葉を続ける。
「お前はその競技者になるつもりか? それとも旦那様の役に立つのか? どっちだ?」
女にそう言われ、はっとした顔を見せる少女。
確かに自分は男の役に立つ為にここに居るのだから、本来の使い方を確りしなければ。
そう思った少女はすぐにぺこりと女に頭を下げ、自分の考えの浅さに少し恥ずかしくなって手で顔を抑えている。
みゅ~と変な声で唸りながら、先程の態度を後悔している様だ。
ただそんな少女を見て、女は少しだけ嬉しくなっていた。
その感情のままに少女の頭を撫で、少女はキョトンとした顔で女を見つめる。
けどすぐにニパーッと笑みを見せ、女の手に自分を預けた。
何故撫でられたのか良く解らないが、女が撫でてくれるなら何でも良いらしい。
むしろその手にすりすりと頬を寄せている。
「そうか、あんな態度も見せる様になったか・・・ふふっ」
今まで少女は何でもかんでも頷く子だった。
勿論疑問は持つ子であったが、女の言葉には何だろうと頷く。
けど今日初めて、女に対して目に見えて不満と取れる態度を見せた。
普通ならそれは不快に感じてもおかしくない事。
けど女はそれがとても嬉しくて、珍しく優しい笑みをこぼすのだった。
今はその動画を見て、とても不思議そうに首を傾げている。
少女が今まで学んだ常識では、そこに映る人間達の行動が理解出来ないのだ。
事の発端はとある言葉を目にした事。
今日は特にやる事が無かった少女は、何となく男から貰った携帯端末を取り出した。
以前男から貰った携帯端末。型落ちでバッテリーの持ちも良くない。デザインも可愛くない。
それでも少女は満足で、良くこうやってニマニマしながら見つめている。
だって大好きな人が長年使っていた道具だから、それはそれはとても特別な物なのだ。
男にとってはもう使わない物でしかないが、少女にとっては大切な宝物なのだから。
ただ偶にはちゃんと使ってみようと思い、ブラウザを立ち上げる。
端末を操作していると、それだけで増々ご機嫌になっていく少女。
どうやら男の端末を操作している、という事がとても楽しいらしい。
とはいえもうこれは少女の物なので、正確には男のおさがりを、となるのだが。
そんな風に携帯端末をご機嫌に操作していると、途中で首を傾げる単語を見つけたのだ。
それは俗にエクストリームスポーツと呼ばれるもの。
最初は普通にふんふん成程と少女は思っていた。
そこに書かれていた物はレースやクライミング等、危険性の有る中で競う競技。
つまりはそういう系統の競争をするスポーツなんだと納得し始めた所で、少女の目におかしな単語が入って来たのだ。
『エクストリームアイロン掛け』
この単語が目に入ってきた瞬間、少女の思考は少しばかりフリーズした。
アイロンの何に危険性を求めるのかと。そもそもアイロンでどうやって危険になるのかと。
意味が解らなかった少女は、取り敢えずその単語で動画検索をしてみた。
そして出て来た動画を見て、少女は尚の事首を傾げる事となる。
何で空を飛びながらアイロン掛けをしたり、水中でアイロン掛けをしたりしているのかと。
そもそもアイロンは皺を伸ばす為なのに、そんな事をしてたら何時までも伸びないのではと。
ただ少女は見ている内に少し面白くなって来た様で、時折わぁと声を漏らしたり、手を小さくパチパチ叩き、楽しんで動画を見始めている。
意味が解らないし訳が解らないが、何だかやってる人達が楽しそうで釣られた様だ。
時折動画と同じ様に手を動かして真似をしている時もあった。
きっと世の中にはこういう物も在るのだと、不思議に思うよりも受け入れたらしい。
ピョコピョコ飛びながら真似をするその様子は、格好良いとはかけ離れたものだったが。
後日彼女にそれを話し、二人で動画の真似をして空中でシーツにアイロンをかけていたら、女に見つかって二人して叱られてしまう。
だた少女にしては珍しく、競技が有るのになーとちょっと納得していない顔をしていた。
強く怒られた訳ではないとはいえ、女に叱られたのにだ。
その様子に気が付いた女は少しだけ驚きを見せ、けど静かに言葉を続ける。
「お前はその競技者になるつもりか? それとも旦那様の役に立つのか? どっちだ?」
女にそう言われ、はっとした顔を見せる少女。
確かに自分は男の役に立つ為にここに居るのだから、本来の使い方を確りしなければ。
そう思った少女はすぐにぺこりと女に頭を下げ、自分の考えの浅さに少し恥ずかしくなって手で顔を抑えている。
みゅ~と変な声で唸りながら、先程の態度を後悔している様だ。
ただそんな少女を見て、女は少しだけ嬉しくなっていた。
その感情のままに少女の頭を撫で、少女はキョトンとした顔で女を見つめる。
けどすぐにニパーッと笑みを見せ、女の手に自分を預けた。
何故撫でられたのか良く解らないが、女が撫でてくれるなら何でも良いらしい。
むしろその手にすりすりと頬を寄せている。
「そうか、あんな態度も見せる様になったか・・・ふふっ」
今まで少女は何でもかんでも頷く子だった。
勿論疑問は持つ子であったが、女の言葉には何だろうと頷く。
けど今日初めて、女に対して目に見えて不満と取れる態度を見せた。
普通ならそれは不快に感じてもおかしくない事。
けど女はそれがとても嬉しくて、珍しく優しい笑みをこぼすのだった。
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