144 / 247
142、騒動時の猫と犬
しおりを挟む
騒動の当時、犬は何処にいたのか気になっている方も居たのではないだろうか。
そして猫も当時その場に居なかった事も。
ただ二匹は住人達がのんびりしている事からも解る通り、ちゃんと無事である。
ならば一体、当時は何処に居て、何をしていたのか。
実は二匹は裏から避難し、畑の方に居たのである。
少女は蝙蝠男の言葉から、自分に用が有るという事を察した。
なので女が戦っている間に現れた犬に、猫の事を頼んで逃げる様にお願いしたのだ。
犬もその場を離れたくはなかったが、少女と離れようとしない猫を見て首をパクッと咥え、ぶなー!ぶなー!と抗議し続ける猫を畑まで連れて行った。
裏の畑に来ると犬は猫を下ろし、猫は犬に向けて気に食わなそうにぶなぶなと鳴いていた。
完全に抗議の声を上げてているのだが、あの場に居ては危険だったので仕方ない。
犬は落ち着いてとペロペロと舐めるが、猫はご立腹の様でぶなー!と怒るばかりだ。
まあ猫は怒った所で迫力は無いし、猫パンチは爪を立てていないので優しいのだが。
だが暫く怒ってすっきりしたのか、猫は屋敷の中へ戻ろうとした。
犬は慌てて追いかけようとして、追いかけなくて良い事に気が付く。
何故なら戻るには扉を開いて屋敷に入らなければいけない。
お忘れかもしれないが、犬は自力で扉を開く事が出来る。そして当然の様に閉めていく。
猫は閉まった扉を必死に開けようと、カリカリカリカリ爪でひっかいていた。
猫の体格ではどう頑張っても扉が開かないのだ。
どう足掻いても開かないので、猫はとうとうぶなー!と犬に怒りだす。
早く開けてと言っている様子だが、逃げてきた以上開ける訳にはいかない。
そもそも猫の避難の為に来たのだから、そんな事をしては本末転倒だ。
そこから暫くの間、犬は猫にぶちぶちと文句を言われる様にぶなぶな鳴き続けられた。
合間合間にまた扉を開けようと試みて、やっぱり開かなくてぶなー!と怒る猫。
犬は少女の事が好きなんだなぁとほんわかした気分であったが、猫はそれがご立腹だった様でまたぶなぶなと犬に怒りだす。
実を言うと屋敷の周りをぐるっと回れば庭に出れるのだが、猫はそれに気が付いていない。
というのも基本屋敷の中を通っての移動しかした事が無いので、猫は庭と繋がっているという事を知らないのだ。
そちらからならば猫でも行けなくはないが、当然犬は教える気はない。
優しい犬は猫が危険な所に行くのが解っているから、甘んじで文句を受け入れる事でここで抑えているのだ。
だが暫くすると、猫の様子が少し変わって来た。
ぶなぶなという鳴き声が怒っている物ではなく、弱弱しく泣く様な鳴き声になっている。
猫はこのまま少女が居なくなるのではと、心配で堪らなくっていた。
そのせいで段々と扉をひっかく力も無くなり、びゃーんと寂しそうに鳴き声を上げる。
犬はオロオロしながら猫を舐めて慰めるが、それでも猫は泣き止まない。
そうして暫く時間が過ぎ、ふと静かになった事に二匹が気が付く。
猫はぶなぶな鳴きながら慌てて扉をひっかき出し、犬は行くか行くまいか悩んだのだが、ぐっと堪えて誰かが来るのを待った。
そうして暫く待ち――――やって来たのは羊角であった。
人を運ばねばいけないのも考えて庭は単眼に任せ、犬と猫の事を迎えに来たらしい。
「お疲れ様。天使ちゃんの言いつけをちゃんと守ってたね。偉い偉い」
扉が開いた瞬間飛び出そうとした猫を掴まえながら犬を褒める羊角。
まあ飛び出したと言ってもこの猫なので、簡単に掴まえられてしまうのだが。
犬は羊角の様子から大丈夫な事を察し、ほっとした様子で手にすり寄る。
ただ猫はぶなーと抗議の声を上げるが、羊角はしっかりつかんで離さない。
「天使ちゃんの傍に行きたいだろうけど、今は寝かせてあげようねー」
羊角はそう言って犬と猫を屋敷に連れて入るが、猫は暫く抗議の声を上げるのであった。
少女の事を考えれば仕方ないのだが、猫は少しだけ羊角の事が嫌いになった様だ。
そして猫も当時その場に居なかった事も。
ただ二匹は住人達がのんびりしている事からも解る通り、ちゃんと無事である。
ならば一体、当時は何処に居て、何をしていたのか。
実は二匹は裏から避難し、畑の方に居たのである。
少女は蝙蝠男の言葉から、自分に用が有るという事を察した。
なので女が戦っている間に現れた犬に、猫の事を頼んで逃げる様にお願いしたのだ。
犬もその場を離れたくはなかったが、少女と離れようとしない猫を見て首をパクッと咥え、ぶなー!ぶなー!と抗議し続ける猫を畑まで連れて行った。
裏の畑に来ると犬は猫を下ろし、猫は犬に向けて気に食わなそうにぶなぶなと鳴いていた。
完全に抗議の声を上げてているのだが、あの場に居ては危険だったので仕方ない。
犬は落ち着いてとペロペロと舐めるが、猫はご立腹の様でぶなー!と怒るばかりだ。
まあ猫は怒った所で迫力は無いし、猫パンチは爪を立てていないので優しいのだが。
だが暫く怒ってすっきりしたのか、猫は屋敷の中へ戻ろうとした。
犬は慌てて追いかけようとして、追いかけなくて良い事に気が付く。
何故なら戻るには扉を開いて屋敷に入らなければいけない。
お忘れかもしれないが、犬は自力で扉を開く事が出来る。そして当然の様に閉めていく。
猫は閉まった扉を必死に開けようと、カリカリカリカリ爪でひっかいていた。
猫の体格ではどう頑張っても扉が開かないのだ。
どう足掻いても開かないので、猫はとうとうぶなー!と犬に怒りだす。
早く開けてと言っている様子だが、逃げてきた以上開ける訳にはいかない。
そもそも猫の避難の為に来たのだから、そんな事をしては本末転倒だ。
そこから暫くの間、犬は猫にぶちぶちと文句を言われる様にぶなぶな鳴き続けられた。
合間合間にまた扉を開けようと試みて、やっぱり開かなくてぶなー!と怒る猫。
犬は少女の事が好きなんだなぁとほんわかした気分であったが、猫はそれがご立腹だった様でまたぶなぶなと犬に怒りだす。
実を言うと屋敷の周りをぐるっと回れば庭に出れるのだが、猫はそれに気が付いていない。
というのも基本屋敷の中を通っての移動しかした事が無いので、猫は庭と繋がっているという事を知らないのだ。
そちらからならば猫でも行けなくはないが、当然犬は教える気はない。
優しい犬は猫が危険な所に行くのが解っているから、甘んじで文句を受け入れる事でここで抑えているのだ。
だが暫くすると、猫の様子が少し変わって来た。
ぶなぶなという鳴き声が怒っている物ではなく、弱弱しく泣く様な鳴き声になっている。
猫はこのまま少女が居なくなるのではと、心配で堪らなくっていた。
そのせいで段々と扉をひっかく力も無くなり、びゃーんと寂しそうに鳴き声を上げる。
犬はオロオロしながら猫を舐めて慰めるが、それでも猫は泣き止まない。
そうして暫く時間が過ぎ、ふと静かになった事に二匹が気が付く。
猫はぶなぶな鳴きながら慌てて扉をひっかき出し、犬は行くか行くまいか悩んだのだが、ぐっと堪えて誰かが来るのを待った。
そうして暫く待ち――――やって来たのは羊角であった。
人を運ばねばいけないのも考えて庭は単眼に任せ、犬と猫の事を迎えに来たらしい。
「お疲れ様。天使ちゃんの言いつけをちゃんと守ってたね。偉い偉い」
扉が開いた瞬間飛び出そうとした猫を掴まえながら犬を褒める羊角。
まあ飛び出したと言ってもこの猫なので、簡単に掴まえられてしまうのだが。
犬は羊角の様子から大丈夫な事を察し、ほっとした様子で手にすり寄る。
ただ猫はぶなーと抗議の声を上げるが、羊角はしっかりつかんで離さない。
「天使ちゃんの傍に行きたいだろうけど、今は寝かせてあげようねー」
羊角はそう言って犬と猫を屋敷に連れて入るが、猫は暫く抗議の声を上げるのであった。
少女の事を考えれば仕方ないのだが、猫は少しだけ羊角の事が嫌いになった様だ。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる