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125、雑調理。
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「先ずライスを用意します」
彼女はそう言いながら、事前に鍋で炊いておいた白米をどんぶりに入れる。
真っ白なほかほかご飯に、ほあーっと変な声を出しながら感動している少女。
少女がほけーっとしているうちに彼女は小さい器に白米を盛り、少女の前にも置いてスプーンを渡す。
「そして真ん中に穴をあけます」
彼女はスプーンで中央にぐりぐりと穴をあけていく。
少女も彼女の言う通りぐりぐりと穴をあけていく。
ただそれだけの作業ではあるのだが、何だかちょっと楽しくなっている少女。
「穴が開いたら中にバターを入れます」
彼女は説明をしながら、結構大きめなバターをボトンと中央の穴に入れる。
かなりの塊だった事に少女は少し驚いた様子を見せるが、彼女が楽し気にバターを渡して来たので恐る恐る入れた。
少女はこんなに入れて良いのかなーと思いながら、首を傾げつつバターを彼女に返す。
「そしたら今度はこれを入れます。ニンニク醤油です」
彼女は手にした醤油を白米にダバダバとかけて行く。
白くて綺麗だった白米が、どんどん黒い何かに変色してく。
その様子に少女はああ~っと、何故か焦る様な残念な様な声を上げていた。
どうやら折角真っ白な物が変色して行くのが残念な様だ。
「はい、角っこちゃんも!」
とても楽し気な様子の彼女に醤油を渡され、少女は両手で醤油を握り少し悩む。
だが意を決し、何だか申し訳ない事をしている気持ちになりながらダバダバと醤油をかけた。
あ~と変な声を出しながらかけて行く様を見て、彼女は吹き出しそうになっている。
「そしたらこれを混ぜます。とにかく混ぜます。バターは溶けてなかったら切る様に混ぜてね」
彼女は説明しながらぐっちゃぐっちゃと変色したライスを混ぜていく。
最早白米ではなくなってしまったそれを、言われた通り少女も混ぜる。
そうして暫く混ぜ込み、バターも塊が無くなった所で混ぜるのを止めた。
「これでガーリック醤油バターライスの出来上がりでーっす!」
パンパカパーンと携帯端末から音を鳴らして出来上がりを宣言する彼女。
出来たそれはなんだがぎとっとした感じのする黒い何かで、これを食べ物と認識して良いのかと少女は少し悩んでいた。
いや、食べ物は食べ物なのだが、本当に美味しいのだろうかと。
屋敷に来た頃の少女であればそんな事は悩まなかっただろうが、今の少女は女と複眼の料理を知ってしまっている。
二人の出す料理はとても綺麗で、複眼も虫類以外はこういった不思議な物は出してこない。
そもそもゲテモノ料理の際も、ちゃんと処理して調理する事が殆どで、見た目的には綺麗な事も多いのだから。
彼女の事だから、もしかしたら揶揄われているのでは、などと少女は思い始めている。
その様子を察した彼女は少女の目線迄しゃがみ込み、頬をプニプニとつつく。
「あれー、おねーさんが騙そうとしてると思ってるのかにゃー?」
心を読まれた事にギクッとした様子を見せながら、プスープスーと吹けない口笛を吹く様な素振りを見せる少女。
気まずい時の彼女の真似のつもりの様だ。
その様子が可愛らしく、くっくっくと笑いながら彼女は立ち上がってどんぶりを手に持つ。
「信じられないならおねーさんが先に食べて見せよう!」
そう言うと彼女はスプーンでライスを掬い一口食べた。
そして笑顔のままモグモグと口を動かし、少女にウインクをする。
彼女が躊躇なく食べた事で少女は覚悟を決め、バクッと勢いよく口に入れる。
すると最初こそ眉間に皺を寄せながら恐る恐る口を動かしていた少女だが、途中でぱあーっと顔が輝いた。
「ホラー、案外行けるっしょ?」
少女は頬を膨らませながら笑顔でコクコクト頷き、もっしゃもっしゃとライスを食べていく。
このライスはけして物凄く美味しいという物ではない。むしろ凄く雑で大雑把な味だ。
けどそれが何だが面白いと思い、少女は新しい発見に喜んでいる。
少女が頬にご飯粒をつけながら頬を膨らまして頬張る様子に、彼女はニマニマしながら満足するのであった。
なお、後日少女がこの事を女に話し、その結果複眼に伝わる事となる。
自分一人が食べる為なら良いが、少女にそんな雑な物を食べさせた事に複眼の怒りを買い、彼女は暫く複眼の料理を食べ立られない日々が続くのであった。
「ああん、ひどい~。あれ結構美味しいのに~」
「やかましい」
彼女の異議申し立ては一切受け入れて貰えないようであった。
彼女はそう言いながら、事前に鍋で炊いておいた白米をどんぶりに入れる。
真っ白なほかほかご飯に、ほあーっと変な声を出しながら感動している少女。
少女がほけーっとしているうちに彼女は小さい器に白米を盛り、少女の前にも置いてスプーンを渡す。
「そして真ん中に穴をあけます」
彼女はスプーンで中央にぐりぐりと穴をあけていく。
少女も彼女の言う通りぐりぐりと穴をあけていく。
ただそれだけの作業ではあるのだが、何だかちょっと楽しくなっている少女。
「穴が開いたら中にバターを入れます」
彼女は説明をしながら、結構大きめなバターをボトンと中央の穴に入れる。
かなりの塊だった事に少女は少し驚いた様子を見せるが、彼女が楽し気にバターを渡して来たので恐る恐る入れた。
少女はこんなに入れて良いのかなーと思いながら、首を傾げつつバターを彼女に返す。
「そしたら今度はこれを入れます。ニンニク醤油です」
彼女は手にした醤油を白米にダバダバとかけて行く。
白くて綺麗だった白米が、どんどん黒い何かに変色してく。
その様子に少女はああ~っと、何故か焦る様な残念な様な声を上げていた。
どうやら折角真っ白な物が変色して行くのが残念な様だ。
「はい、角っこちゃんも!」
とても楽し気な様子の彼女に醤油を渡され、少女は両手で醤油を握り少し悩む。
だが意を決し、何だか申し訳ない事をしている気持ちになりながらダバダバと醤油をかけた。
あ~と変な声を出しながらかけて行く様を見て、彼女は吹き出しそうになっている。
「そしたらこれを混ぜます。とにかく混ぜます。バターは溶けてなかったら切る様に混ぜてね」
彼女は説明しながらぐっちゃぐっちゃと変色したライスを混ぜていく。
最早白米ではなくなってしまったそれを、言われた通り少女も混ぜる。
そうして暫く混ぜ込み、バターも塊が無くなった所で混ぜるのを止めた。
「これでガーリック醤油バターライスの出来上がりでーっす!」
パンパカパーンと携帯端末から音を鳴らして出来上がりを宣言する彼女。
出来たそれはなんだがぎとっとした感じのする黒い何かで、これを食べ物と認識して良いのかと少女は少し悩んでいた。
いや、食べ物は食べ物なのだが、本当に美味しいのだろうかと。
屋敷に来た頃の少女であればそんな事は悩まなかっただろうが、今の少女は女と複眼の料理を知ってしまっている。
二人の出す料理はとても綺麗で、複眼も虫類以外はこういった不思議な物は出してこない。
そもそもゲテモノ料理の際も、ちゃんと処理して調理する事が殆どで、見た目的には綺麗な事も多いのだから。
彼女の事だから、もしかしたら揶揄われているのでは、などと少女は思い始めている。
その様子を察した彼女は少女の目線迄しゃがみ込み、頬をプニプニとつつく。
「あれー、おねーさんが騙そうとしてると思ってるのかにゃー?」
心を読まれた事にギクッとした様子を見せながら、プスープスーと吹けない口笛を吹く様な素振りを見せる少女。
気まずい時の彼女の真似のつもりの様だ。
その様子が可愛らしく、くっくっくと笑いながら彼女は立ち上がってどんぶりを手に持つ。
「信じられないならおねーさんが先に食べて見せよう!」
そう言うと彼女はスプーンでライスを掬い一口食べた。
そして笑顔のままモグモグと口を動かし、少女にウインクをする。
彼女が躊躇なく食べた事で少女は覚悟を決め、バクッと勢いよく口に入れる。
すると最初こそ眉間に皺を寄せながら恐る恐る口を動かしていた少女だが、途中でぱあーっと顔が輝いた。
「ホラー、案外行けるっしょ?」
少女は頬を膨らませながら笑顔でコクコクト頷き、もっしゃもっしゃとライスを食べていく。
このライスはけして物凄く美味しいという物ではない。むしろ凄く雑で大雑把な味だ。
けどそれが何だが面白いと思い、少女は新しい発見に喜んでいる。
少女が頬にご飯粒をつけながら頬を膨らまして頬張る様子に、彼女はニマニマしながら満足するのであった。
なお、後日少女がこの事を女に話し、その結果複眼に伝わる事となる。
自分一人が食べる為なら良いが、少女にそんな雑な物を食べさせた事に複眼の怒りを買い、彼女は暫く複眼の料理を食べ立られない日々が続くのであった。
「ああん、ひどい~。あれ結構美味しいのに~」
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彼女の異議申し立ては一切受け入れて貰えないようであった。
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