角持ち奴隷少女の使用人。

四つ目

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117、羊角の企み。

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ある日の少女は珍しく、羊角の部屋でのんびりとしていた。
ただその手にはタブレットが有り、先程から視線はずっと手元に固定されている。
テーブルには菓子が有るが一度も手は付けておらず、暖かかったはずのお茶はもう温くなっている様だ。

何をそんなに真剣に見ているのかというと、タブレットの画面には漫画が映っている。
今読んでいる物は少女漫画の類だが、他にも色々と読んでいる様だ。
何故羊角の部屋で読んでいるかといえば、タブレットと漫画が羊角の物だからである。

元々羊角は色々な漫画を読むのも趣味の一つであり、タブレットの中には大量の漫画が収められていた。
なので最近絵本に興味を持った少女を見て、これはいけるのではと思った羊角は思い切って。

「色々有るよー。読んでみる―?」

と少女に勧めてみた所、少女はとある少女マンガにド嵌りした。
そして続きを読ませて欲しいと羊角にせがむ事になり、じゃあ部屋でなら自由に使って良いよと返事をした結果、こうやって羊角の部屋で微動だにせずに読みふける時間が出来ている。

当然傍には良く羊角が居る。というか、今は少女の背もたれになっている。
真剣に漫画を読む少女の邪魔にならないように抱きしめながら、普段出来ない距離感を息荒くしながら堪能していた。
傍から見たら大分不味い光景では有るが、一応悪戯をしている訳でもないので許されている。

とはいえ最初にこの光景を見た彼女はジト目で羊角を見ていた。
だが羊角はその視線に少し不満だった様で、反論を口にしている。

「貴女だっていっつも天使ちゃんに抱きついて、それどころか頬ずりまでしてるじゃない」
「アンタみたいに鼻息荒くしたりとか邪な感情は無いもん、あたし」

この通り、彼女の返しにぐうの音も出ずに項垂れるだけで終わったが。
だが羊角が少女を可愛く思っている事と、ちゃんと大事にしたいという事は彼女も解っている。
なのでこの絵面が良い物ではないとは思うものの黙認している状態だ。

そして少女は集中力だけはやたらと有り、楽しい時は当然それしか見えていない。
注意力が無さ過ぎるとも取れるが、その没入能力はすさまじい物がある。
なので羊角は少女が気にしないのを良い事に、腕や足をちょっとプニプニしていたりもするが、それは皆が見ていない時にやっているのでまだばれていない。

「はぁ~・・・幸せ・・・」

恍惚な表情で呟く羊角。その顔は何か薬でもやっているのかという程に蕩けていた。
少女はそんな事はお構いなしにタブレットに集中し、指ですいすいとページを捲っている。
電子書籍は利便性から好んで買っていた羊角だが、そのおかげでこんな幸運が降ってわいた事で、更に電子書籍を買い続ける事だろう。

ただし今後は少女の好きな系統の作品を分析し、少女が読みたくなる作品を買う予定だ。
その為に少女の傍に座り、少女の選ぶ作品をチェックしている。
次の休暇にはWEBで少女の好きな系統を捜す作業も欠かせない。

新しい物を買ったと伝えて、嬉しそうにお礼を言う少女で更に美味しいとも思っている。
この時間だけでも幸せなのに、感謝と喜びの全力の笑みと動きを自分に向けて来るのだからと。
弱くならプニプニつついても反応しない少女の頬を堪能しながら、これからの予定を脳内で組み立てる羊角だった。






因みにその結果、彼女も入りびたる日が出来てしまい、全て思い通りにはいかないのであった。
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