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106、収納能力。
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少女は最近悩んでいる事が有る。
それは先の女との事件以降から気にしている事でも有った。
少女は出かける際には必ず帽子を被っている。
これは角を隠す為なのだと、その事は少女も最近は解ってきている。
お出かけの帽子は特別感が有りそれはそれで好きなのだが、それでもこの角が有る事で女が色々と心配をしていると感じていた。
なので少女は思った。この角を消す事は出来ないだろうか、と。
女は普段角を出していないし、意図的に出して消す事が出来る。
ならば自分も出来るのではと思い始めていたのだ。
思い始めてはいたのだが、どうやったら良いのか全く解らないで困っている。
「ふーん、成程ねー」
その相談をお茶をしながら聞く複眼。お茶請けは少女が作ったクッキーだ。
もうクッキーなら少女も自分で作れるようになっており、今日の分は全部少女のお手製だ。
お話を聞いて貰う為に用意して持って来たらしい。
複眼は「別にそんな事しなくても聞くのに」と思いながらも、その気持ちをと努力を微笑ましく思っている。
ただ、何故自分に聞きに来たのだろうかとも思っているが。
「先輩に相談はしたの?」
少女はフルフルと首を振り、複眼はそりゃそうかという顔をする。
もし女に相談しているなら複眼に相談には来ないだろう。
それが出来ないから、女がまた違う心配をする気がするから別の人間に相談に来たのだと。
複眼は少女の様子からそう察した。
「と、言われてもね。そもそも私は角を出すところを見てないしな」
複眼は結局女が角を出す所も仕舞う所も見ていない。
少女の事も女の事も、当時の事は言葉からの情報しか得ていない。
なので正直な気持ちを言ってしまうと、良く解らないなという気持ちが大きい。
それでも少女の真剣な様子に、何か案は無いかと考えを巡らす複眼。
「先輩に同じ角が有るとして、内側に仕舞うなんて無理だと思うんだけど。いや、そもそも・・・ちょっとごめんね」
複眼は先に謝ってから少女の角を掴み、ちょっとだけ力を籠めて引っ張る。
少女はワタワタと慌てながら踏ん張り、額と頭蓋骨を引っ張られるような感触にモニュっとした何とも言えない顔になる。
とても珍しい顔に一瞬笑いそうになったが、堪えて真面目な顔で続ける複眼。
「うーん、これどう見ても消せる様には見えないんだけどな。角自体は凄く珍しいけど、他の角持ちと似た様に中から生えてる様に見えるし」
複眼は真剣な様子で少女の額を触り、角の付け根を触り、角を撫でたり押し上げたりと、色々試しながら角の在り方を確認していく。
その間少女は百面相であり、額や角を撫でられてぽやっとした顔になったかと思ったら、押されてまたモニュっとした顔になったり、上に押し上げられてアウアウと慌てていた。
「そもそもこれ、骨の類に見えるんだけどなぁ」
複眼は少女の角を撫で、当然の事を呟く。
少女の角はいきなりそこに発生した様には見えないし、どう見ても頭蓋骨に繋がっている様に見える。
実際少女は角を触るとそれらしい反応をしたし、そうなると本当にこれが消えるのかという疑問の方が大きい。
「それにさ、これ、感覚有るんだよね」
複眼は少女の角を撫でながら聞くと、少女はこくりと頷く。
そこまで鋭敏な感覚では無いが、角を触られると目を瞑っていても解る様だ。
「となると神経通ってるとしか思えないし、そうなると消えるって意味が解らないんだけどな」
本格的に良く解らなくなって着た複眼は、少女の角をじーっと見つめながら考え込む。
少女は至近距離で複眼の目を見つめ、綺麗だなーと思考が別方向に行っていた。
「んー、もしこれが本当に消えるなら、物理的な収納は絶対無理だと思う」
それは少女も何となく解っている。頭の中には脳が有るし、角がへこんだら大変な事になる。
そもそもこの角、案外頑丈なのだ。壁にぶつかっても角ではなく壁が崩れる程に。
むしろ突き刺さって穴をあけてしまい、真っ青になった経験が有る少女である。
「・・・もしかしてその確認の為に私に相談に来たの?」
複眼の答えにコクコクと頷く少女。
今迄料理に様々な物が出て来ており、解体からする事が出来る複眼は色んな生き物を見ている。
だから複眼なら、何か解るかもと思ってたずねに来たのだった。
「そっか・・・ごめんね、期待した事を言ってあげられなくて」
申し訳なさげに少女の頭を撫でる複眼に、少女はフルフルと首を振る。
少女だって自分がどうにもならないから相談しに来たのだ。
その答えが貰えないからと、誰かを責めたりなどする気はない。
「もしこれが消えるなら・・・超常現象だと思うかな。私達には良く解らない力で消してる、としか思えない」
複眼の結論に少女も頷き、ヤッパリこれは収納できないんだと納得した様子を見せる。
とはいえ、だったらどうしたら良いのかと悩む少女。
なにせ少女は自分が不思議な力を使った事を覚えていない。
その力を使えればもしかすると角を仕舞えるのかもしれないが、そもそもその力をどうやって使えば良いのか解らない。
振出しに戻った少女はクッキーをサクサクと頬張り、リスになりながら悩むのであった。
それは先の女との事件以降から気にしている事でも有った。
少女は出かける際には必ず帽子を被っている。
これは角を隠す為なのだと、その事は少女も最近は解ってきている。
お出かけの帽子は特別感が有りそれはそれで好きなのだが、それでもこの角が有る事で女が色々と心配をしていると感じていた。
なので少女は思った。この角を消す事は出来ないだろうか、と。
女は普段角を出していないし、意図的に出して消す事が出来る。
ならば自分も出来るのではと思い始めていたのだ。
思い始めてはいたのだが、どうやったら良いのか全く解らないで困っている。
「ふーん、成程ねー」
その相談をお茶をしながら聞く複眼。お茶請けは少女が作ったクッキーだ。
もうクッキーなら少女も自分で作れるようになっており、今日の分は全部少女のお手製だ。
お話を聞いて貰う為に用意して持って来たらしい。
複眼は「別にそんな事しなくても聞くのに」と思いながらも、その気持ちをと努力を微笑ましく思っている。
ただ、何故自分に聞きに来たのだろうかとも思っているが。
「先輩に相談はしたの?」
少女はフルフルと首を振り、複眼はそりゃそうかという顔をする。
もし女に相談しているなら複眼に相談には来ないだろう。
それが出来ないから、女がまた違う心配をする気がするから別の人間に相談に来たのだと。
複眼は少女の様子からそう察した。
「と、言われてもね。そもそも私は角を出すところを見てないしな」
複眼は結局女が角を出す所も仕舞う所も見ていない。
少女の事も女の事も、当時の事は言葉からの情報しか得ていない。
なので正直な気持ちを言ってしまうと、良く解らないなという気持ちが大きい。
それでも少女の真剣な様子に、何か案は無いかと考えを巡らす複眼。
「先輩に同じ角が有るとして、内側に仕舞うなんて無理だと思うんだけど。いや、そもそも・・・ちょっとごめんね」
複眼は先に謝ってから少女の角を掴み、ちょっとだけ力を籠めて引っ張る。
少女はワタワタと慌てながら踏ん張り、額と頭蓋骨を引っ張られるような感触にモニュっとした何とも言えない顔になる。
とても珍しい顔に一瞬笑いそうになったが、堪えて真面目な顔で続ける複眼。
「うーん、これどう見ても消せる様には見えないんだけどな。角自体は凄く珍しいけど、他の角持ちと似た様に中から生えてる様に見えるし」
複眼は真剣な様子で少女の額を触り、角の付け根を触り、角を撫でたり押し上げたりと、色々試しながら角の在り方を確認していく。
その間少女は百面相であり、額や角を撫でられてぽやっとした顔になったかと思ったら、押されてまたモニュっとした顔になったり、上に押し上げられてアウアウと慌てていた。
「そもそもこれ、骨の類に見えるんだけどなぁ」
複眼は少女の角を撫で、当然の事を呟く。
少女の角はいきなりそこに発生した様には見えないし、どう見ても頭蓋骨に繋がっている様に見える。
実際少女は角を触るとそれらしい反応をしたし、そうなると本当にこれが消えるのかという疑問の方が大きい。
「それにさ、これ、感覚有るんだよね」
複眼は少女の角を撫でながら聞くと、少女はこくりと頷く。
そこまで鋭敏な感覚では無いが、角を触られると目を瞑っていても解る様だ。
「となると神経通ってるとしか思えないし、そうなると消えるって意味が解らないんだけどな」
本格的に良く解らなくなって着た複眼は、少女の角をじーっと見つめながら考え込む。
少女は至近距離で複眼の目を見つめ、綺麗だなーと思考が別方向に行っていた。
「んー、もしこれが本当に消えるなら、物理的な収納は絶対無理だと思う」
それは少女も何となく解っている。頭の中には脳が有るし、角がへこんだら大変な事になる。
そもそもこの角、案外頑丈なのだ。壁にぶつかっても角ではなく壁が崩れる程に。
むしろ突き刺さって穴をあけてしまい、真っ青になった経験が有る少女である。
「・・・もしかしてその確認の為に私に相談に来たの?」
複眼の答えにコクコクと頷く少女。
今迄料理に様々な物が出て来ており、解体からする事が出来る複眼は色んな生き物を見ている。
だから複眼なら、何か解るかもと思ってたずねに来たのだった。
「そっか・・・ごめんね、期待した事を言ってあげられなくて」
申し訳なさげに少女の頭を撫でる複眼に、少女はフルフルと首を振る。
少女だって自分がどうにもならないから相談しに来たのだ。
その答えが貰えないからと、誰かを責めたりなどする気はない。
「もしこれが消えるなら・・・超常現象だと思うかな。私達には良く解らない力で消してる、としか思えない」
複眼の結論に少女も頷き、ヤッパリこれは収納できないんだと納得した様子を見せる。
とはいえ、だったらどうしたら良いのかと悩む少女。
なにせ少女は自分が不思議な力を使った事を覚えていない。
その力を使えればもしかすると角を仕舞えるのかもしれないが、そもそもその力をどうやって使えば良いのか解らない。
振出しに戻った少女はクッキーをサクサクと頬張り、リスになりながら悩むのであった。
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