角持ち奴隷少女の使用人。

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78、加減の切っ掛け。

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最近少女は少しづつ力の制御がきき始めていた。
一時どうにも抑えられなかった力だが、最近は滅多に暴発しなくなって来ている。
それもこれも相談に乗ってくれた単眼のおかげだと少女は思っているが、単眼自身は特に解決案を出せていなかったはずだ。
とはいえ少女にそんな事は関係無い様で、ニコニコした様子で単眼にお礼を言いに行った。

「そっかぁ、良かったねぇー」

単眼は少女の報告を聞くと抱き上げて高く持ち上げる。
少女もきゃーっと楽し気な様子ではしゃぎ、そのままクルクルと回り出す二人。
とてもほのぼのした光景では有るのだが、場所が廊下であった為に大変狭苦しかった。

「嬉しいのも楽しいの解るけど、そういうのは広間か庭でやらないと危ないよ。あんたでかいんだから」

彼女はそれを見上げながら、少女の下着を見ようと屈んだ羊角を踏みつけていた。
カメラは流石に構えていなかったので蹴るのは許してあげたらしい。
羊角は倒れたまま「違うの、ついなの、わざとじゃないの、思わずなの」と支離滅裂な言い訳をしている。

「ちゃんと気を付けてるもーん。ねー?」

単眼が首を傾けて少女に同意を求めると、少女も同じ様にねーと首を傾けながら笑顔を返す。
そんな少女が可愛くて単眼はきゅっと抱きしめ、少女も楽しそうに単眼の首に抱きつく。

「でも実際のところ、何で大丈夫になったのかしらね。単に慣れたのかしら」

彼女の足の下から這い出て、パンパンと服を払いながら口にする羊角。
その言葉に答えを持たない少女は首を傾げ、同じ様に単眼も首を傾げる。
見合わせて傾げるのがちょっと楽しいらしい。

「あたし察しつくよ。角っ子ちゃん、ある一定時期から壊す事が減ったもん」
「あら、やっぱり何か理由があるの?」

その問いには意外な事に彼女が答えを持っていた様だ。
答えに興味が有るのか、皆の視線は彼女に向いている。

「ほら、前に腕相撲したじゃん。あれ以降から大分減った」
「あー、そういえば確かに・・・成程」

彼女の答えはあくまで予想ではあるが、事実としてそれ以降の少女は力の加減が上手くなった。
である以上見当違いな答えではないだろうと、皆は納得した様子だ。

ただ少女は当時単眼に怪我をさせた事を思い出し、少ししょぼんとした顔を見せている。
それに気が付いた単眼は優しく少女の頭を撫で、またギューッと抱きしめた。
ちょっとだけ強めの抱擁に少女は嬉しくなって、自分も少し強めに抱き返す。
ただそれはきちんと加減されており、親愛の気持ちの伝わる抱擁だった。

「とはいえ減っただけでまだ偶にやるけどねー」

彼女の言葉にうっと固まる少女。
単眼は余計な事を言うなと視線を向けるが、彼女は口を止めずに続ける。

「それぐらいおっちょこちょいの方があたし達も構えるし、もう少し今の角っ子ちゃんのままでいて欲しいかなー、とか思ったり」
「あはは、そうねぇ。可愛らしく焦る姿は、まだ暫く見たいわねぇ」

彼女と羊角が楽しく語るそれは、単眼も気持ちは解らなくもない。
そして少女は皆に構って貰えるのは嬉しいが、早く一人前になりたい。
二人はお互いが複雑な表情をしている事に気が付き、ほぼ同時に「どうしたの?」という表情を見せる。
そしてお互いにそんな顔を向けたせいで、お互いの頭にはてなが浮かんでいた。

「ぷふっ」
「くっ」
「へっ、え? 何で笑ってるの?」

彼女と羊角はその様子に思わず吹き出すが、何故笑われているのか解らない単眼と少女。
何だか解らないが、解らないまま「ねー?」と首を傾げて顔を見合わす二人であった。
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