角持ち奴隷少女の使用人。

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74、髪の伸び。

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「角っ子ちゃん、髪伸びてきたねぇー。最初の頃はずっと同じ髪型だったのに、最近は伸ばしてるの?」

首を傾げながら聞いてくる彼女に、同じ様に首をコテンと傾けて聞く少女。
何故なら少女は、最近どころか今まで一度も切った事が無いからだ。
いや、一応屋敷に来た時に一度だけ、女に綺麗にされた時に毛先を少し切られただけだ。

言われてから確認すると、確かに少女は髪が伸びていた。
前は肩より上だった筈の髪が今では肩甲骨に届く程に伸びている。
勿論いきなり伸びた訳では無く最近ゆっくり伸びて来ていたわけだが、少女は自分のその変化に余り疑問を持っていなかった。

だが気が付くと何だか少し不安になり始めてしまう少女。
もしかして今の自分は何か変なのだろうか、と。

「この感じだと、先輩がまた楽しみそうだねー。髪が長い方が色々いじれるし」

少女の心配など必要が無いという様子で、彼女は楽し気に少女の髪を触りながら語る。
彼女の言葉は確かな事実で、女は少女の髪が綺麗に伸びている現状を少し楽しんでいた。
その内自分と同じ髪型にでもしようかなどと考えているが、実際にやった日には屋敷に住人達は皆生暖かい目を女に向ける事であろう。

少女は彼女の言葉にほっとするが、何故今頃伸びて来たのかという疑問は解決していない。
だが少女にとってそこはどうでも良い事らしく、髪の伸びた自分が周囲にとって嫌な物でなければ良いらしい。
彼女が手でツインテール等にして遊んでいるのを、キャッキャッと楽しんでいる。

「楽しそうなのは良いけど、まーたぼさぼさにして・・・」

その様子を見ていた単眼は、呆れた様に呟きながら近づいて来た。
手には可愛らしい大きさの櫛を持っており、少女の髪を整える気なのだろう。

「人聞きの悪い。まるであたしが角っ子ちゃんの髪ぼさぼさにして楽しんでるみたいじゃない」
「じゃあ偶には自分で直してあげたらどう? 貴女余りそういう事やらないでしょ」
「やらないだけで出来ない訳じゃ無いもんねー」
「ふふっ、そうね」

櫛を彼女に渡してクスクスと笑う単眼。
それに少し不満を持ちつつも彼女は椅子に座り、少女を膝に乗せて髪を整え始める。
少女は優しく撫でられる手と櫛の感触に、気持ち良さそうに目を細めていた。
ふにゃっとした可愛い笑顔を前から見れるので、単眼はこれはこれで良かったかもしれないと思いながら笑顔で眺めている。

「ほら出来たー!」

途中、前髪を整える際に角に何度か櫛を当てそうになりながらも、きっちり纏め上げた彼女。
そして出来上がった髪型は、先程手でやっていたツインテールである。

「この年頃の子特権の髪型! 可愛い!」
「あー・・・確かに良い大人がすると痛いよねぇ、これ」

満足した様子で少女に可愛いと断言する彼女と、どこか遠い目をしながら語る単眼。
だが少女はその言葉に少し疑問を覚える。
そして膝の上に座ったままくるりと体の向きを変え、彼女をじっと見つめ始めた。

「ん、どうしたの、角っ子ちゃん」

彼女が不思議そうに少女を見つめると、少女はおもむろに彼女の髪に手を伸ばす。
そして自分がされている髪型と同じ様に、彼女の髪を両側で纏めた。
少女は単純に、彼女だってきっと似合うと思ったのだ。

「あはは、可愛い!」
「なっ、ちょっ、あんた本気で言ってないでしょうが!」
「ふふっ、そ、そんな事無いよ、か、可愛いって、ぷくくっ」

単眼は笑いながら彼女の背後を取り、予備のゴムで彼女の髪を少女と同じ髪型にしていく。

「あ、留めるな、こら、止めろー!」
「ホラホラ暴れない。おチビちゃんが落ちちゃう。それにもう出来ちゃったし。ほら」

手早くまとめた髪を見せる為に、手鏡で姿を確認させる単眼。
彼女は自分のツインテール姿を見て、何とも言えない恥ずかしさを感じている。
だが少女の目線が「お揃いだね!」と、とても良い笑顔で物語っていた。

「・・・まあ、あたし可愛いからね! どんな髪型でも超似合うし!」

もうやけくそになった彼女はそう言って、少女を下ろしてポーズを決める。
少女は素直にコクコクと頷き、背後では単眼が堪え切れずに震えていた。
完全に開き直った彼女はその日一日その髪型で過ごすのだが、少女がパタパタとトイカメラを取りに行って写真を撮り、羊角も少女を見つけて当然撮り、彼女のこの姿は保存されてしまう。

尚複眼は感情の無い目でそれ見ており、羊角と女は少女しか見えていない様だ。
男は指をさして大爆笑し、今度は正面から全力のラリアットを食らうのであった。
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