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64、朝の日課。
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少女は最近早起きになっている。
理由は単純明快で、広げ過ぎた畑の管理をする為だ。
ただし女が起こしに来るのを待つのは変わっておらず、日が昇る直前頃に起こしている。
これは少女が起きれない訳では無い。単に女が起こしに来たいだけだ。
元々女はそれなりに早起きなので苦ではなく、少女が望むのならば尚の事だろう。
それに早くに顔を合わせられるので女にとっても望む所だ。
起きた少女は張り切って服を着替え、最近新しく作って貰った大きなエプロンをつける。
いや、これはエプロンというよりも割烹着だろうか。
少女の使用人服の首元以外を全て覆う様になっている。
ただ至る所にフリルがあしらわれており、可愛らしいエプロンにも見えるだろう。
用意が済んだらすぐ畑に向かい、広大な畑をパタパタと走り回って作物の調子を調べ始める。
その姿はとても可愛らしく微笑ましいが、実際はかなりの重労働だ。
体力も筋力もある少女だから出来る事であり、普通の人間には恐らく厳しいだろう。
勿論できない訳では無いが、少女の様にずっと走り回るのは流石に不可能だ。
なにせ山に段々畑も出来ているので、上り下りも相当に良い運動量になる。
だが少女は一切へばる様子も無く、にこやかに作業を続けていた。
因みに無農薬でやっているので虫に食われていたりもする。
そういった物の除去や、虫食いの野菜を集めてそこに虫も集めて食べさせたりなどもしていた。
芋虫のプニプニした感触が少女は割と好きらしい。見つけると楽しそうにつついている。
雑草の類も抜いて同じ所に集めているので、虫にとってはありがたい事だろう。
ただこれによって虫の被害が増える、という事は余り無い。
虫が増えるという事は虫を餌にする生き物も集まって来るので、状況は余り変わらない。
むしろ虫などよりも、鳥や山の獣からの被害の方が頭を悩ませている。
以前はそこまでではなかったのだが、最近は良く鳥に食べられている様だ。
一応かかしなどの対策はしているのだが、そこまで劇的な効果は得られていない。
少女は少しだけ鳥が嫌いになりそうだ。
勿論虫も爆発的に増えれば別の話だろうが、今の所は問題ない様だ。
その結果畑にはカエルやヘビなども現れる様になったが、少女はどちらも見つけると楽しそうに見つめている。
ただ捕食シーンを見ると少ししょんぼりするが、これが食物連鎖なのだと納得している様だ。
でも偶にそっと逃がしてしまうのはご愛敬だろう。
因みに複眼は蛇を見つけると容赦なく狩るので、それからも逃がす事も有る。
狩ったその日はそれが食卓に上がる事が有るのだ。
美味しいのだけど、何だか悲しい複雑な気分になる少女であった。
「おはようちみっこ。今日も早いね」
一通りの作業が終わった所で、複眼が少し眠たげな様子を見せながら畑にやって来た。
少女は複眼に頭を下げて挨拶を返し、人懐っこい笑みを向ける。
複眼は少女の頭を軽く撫でてから畑に歩を進め、少女もそれにパタパタと追従する。
「今日は何作ろうかなぁ・・・良い感じに成ってるのある?」
複眼の問いに笑顔でコクコクと頷き、手を取って歩き出す少女。
苦笑しつつも複眼は少女の歩幅に合わせて付いて行く。
そうして案内された先には、まだ少し若いが、それなりに実を付けている野菜であった。
「まだちょっと小さい気がするけど、これで良いの?」
複眼の問いにふんすと気合を入れてコクコクと頷く少女。
その顔は自信満々であったので、複眼も「なら良いか」と特に悩まずに収穫して行く。
少女はその間に籠を取って来て複眼の横で待ち構える。
「あはは、ありがと」
収穫した野菜を籠に入れ、適度に取ったら屋敷に戻る複眼。
少女は自分の体には少し大きな籠持ちながら、その後ろをぽてぽてと付いて行く。
このまま複眼の調理のお手伝いをしに行くつもりだろう。
自分の育てた野菜を使って貰い、お手伝いも出来て、旦那様に美味しく食べて貰える。
少女にとって、この一連の出来事も楽しみの一つだ。
「今日も美味しく食べて貰おうね」
複眼の言葉に嬉しそうな笑顔で頷き、鼻歌を歌いながらぽてぽて台所に向かう少女。
こうやって男の知らない所でも少女は頑張るのであった。
尚、男はまだ爆睡中である。
理由は単純明快で、広げ過ぎた畑の管理をする為だ。
ただし女が起こしに来るのを待つのは変わっておらず、日が昇る直前頃に起こしている。
これは少女が起きれない訳では無い。単に女が起こしに来たいだけだ。
元々女はそれなりに早起きなので苦ではなく、少女が望むのならば尚の事だろう。
それに早くに顔を合わせられるので女にとっても望む所だ。
起きた少女は張り切って服を着替え、最近新しく作って貰った大きなエプロンをつける。
いや、これはエプロンというよりも割烹着だろうか。
少女の使用人服の首元以外を全て覆う様になっている。
ただ至る所にフリルがあしらわれており、可愛らしいエプロンにも見えるだろう。
用意が済んだらすぐ畑に向かい、広大な畑をパタパタと走り回って作物の調子を調べ始める。
その姿はとても可愛らしく微笑ましいが、実際はかなりの重労働だ。
体力も筋力もある少女だから出来る事であり、普通の人間には恐らく厳しいだろう。
勿論できない訳では無いが、少女の様にずっと走り回るのは流石に不可能だ。
なにせ山に段々畑も出来ているので、上り下りも相当に良い運動量になる。
だが少女は一切へばる様子も無く、にこやかに作業を続けていた。
因みに無農薬でやっているので虫に食われていたりもする。
そういった物の除去や、虫食いの野菜を集めてそこに虫も集めて食べさせたりなどもしていた。
芋虫のプニプニした感触が少女は割と好きらしい。見つけると楽しそうにつついている。
雑草の類も抜いて同じ所に集めているので、虫にとってはありがたい事だろう。
ただこれによって虫の被害が増える、という事は余り無い。
虫が増えるという事は虫を餌にする生き物も集まって来るので、状況は余り変わらない。
むしろ虫などよりも、鳥や山の獣からの被害の方が頭を悩ませている。
以前はそこまでではなかったのだが、最近は良く鳥に食べられている様だ。
一応かかしなどの対策はしているのだが、そこまで劇的な効果は得られていない。
少女は少しだけ鳥が嫌いになりそうだ。
勿論虫も爆発的に増えれば別の話だろうが、今の所は問題ない様だ。
その結果畑にはカエルやヘビなども現れる様になったが、少女はどちらも見つけると楽しそうに見つめている。
ただ捕食シーンを見ると少ししょんぼりするが、これが食物連鎖なのだと納得している様だ。
でも偶にそっと逃がしてしまうのはご愛敬だろう。
因みに複眼は蛇を見つけると容赦なく狩るので、それからも逃がす事も有る。
狩ったその日はそれが食卓に上がる事が有るのだ。
美味しいのだけど、何だか悲しい複雑な気分になる少女であった。
「おはようちみっこ。今日も早いね」
一通りの作業が終わった所で、複眼が少し眠たげな様子を見せながら畑にやって来た。
少女は複眼に頭を下げて挨拶を返し、人懐っこい笑みを向ける。
複眼は少女の頭を軽く撫でてから畑に歩を進め、少女もそれにパタパタと追従する。
「今日は何作ろうかなぁ・・・良い感じに成ってるのある?」
複眼の問いに笑顔でコクコクと頷き、手を取って歩き出す少女。
苦笑しつつも複眼は少女の歩幅に合わせて付いて行く。
そうして案内された先には、まだ少し若いが、それなりに実を付けている野菜であった。
「まだちょっと小さい気がするけど、これで良いの?」
複眼の問いにふんすと気合を入れてコクコクと頷く少女。
その顔は自信満々であったので、複眼も「なら良いか」と特に悩まずに収穫して行く。
少女はその間に籠を取って来て複眼の横で待ち構える。
「あはは、ありがと」
収穫した野菜を籠に入れ、適度に取ったら屋敷に戻る複眼。
少女は自分の体には少し大きな籠持ちながら、その後ろをぽてぽてと付いて行く。
このまま複眼の調理のお手伝いをしに行くつもりだろう。
自分の育てた野菜を使って貰い、お手伝いも出来て、旦那様に美味しく食べて貰える。
少女にとって、この一連の出来事も楽しみの一つだ。
「今日も美味しく食べて貰おうね」
複眼の言葉に嬉しそうな笑顔で頷き、鼻歌を歌いながらぽてぽて台所に向かう少女。
こうやって男の知らない所でも少女は頑張るのであった。
尚、男はまだ爆睡中である。
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