後藤家の日常

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珍しい帰宅環境

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「後藤せーんぱい」

本日の学業が終わり、帰宅の為に門を出た所で可愛い声で呼ばれ、振り向くと古本さんが居た。
彼女はキョロキョロと周囲を警戒しながら私の傍に寄って来る。

「よし、今日は坂本先輩は居ませんね」

彼は雛が居ない事に安堵の声を漏らし、更に私に近寄って来る。
何の用だろうか。

「先輩、今日一緒に帰りませんか?」
「別に良いけど、まっすぐ帰るよ」
「はい、知ってますよ♪」
「そう」

なら別に構わない。特に弾む話も出来ないけど、彼女はそれも解っているだろう。
ただ流石に歩幅は合わせるとしようかな。私のペースで歩くと置いて行ってしまう。
この辺りは雛と一緒に居る事で慣れた物だ。

身長が一気に伸びた事で、雛との歩幅が合わなくなった事が過去にある。
雛を早歩きさせるのも気が引けて合わせているうちに、自然と合わせる様になっていた。
おかげで春さんと歩幅を合わせるのも苦じゃなくて助かっている。

「草野先輩って、大学では相変わらず可愛いんですか?」
「可愛いよ。凄く」
「あー、やっぱり相変わらずなんですねぇ」
「この間は男がよって来て面倒だって言ってたかな」

あの人は見た目は小柄な可愛い女子だから余計によって来るのだろう。
男性っていうのはたいていそういう物に弱いらしいし。
私も弱いので他人事の様には言えないのだけど・・・。

だって可愛い物って、可愛いから。
自分で思って、意味が解らないと思ってしまった。物凄く馬鹿っぽい。

「女の子からはどうか聞いてますか?」
「そっちは聞いてない。聞いたら私が嫉妬するから言ってないだけかもしれないけど」
「後藤先輩も嫉妬なんてするんですねー」
「するよ、凄く」

自分で醜いと思えるぐらい、格好悪い嫉妬をする。
春さんに嫉妬の感情を持った時、自分がこんなに嫉妬深いのかと思った。
お互いが好いているから許されるけど、一歩間違えればただの危ない人だ。

「余り想像出来ませんねー」
「貴女がどう思っているかは知らないけど、私は中身は平凡な女だよ」
「先輩が平凡だったら、世界中の人間殆ど平凡以下になっちゃいますよ」
「そんな事無いと思うけど」

私から話題を振ることは無いが、彼女から常に話題を振って来る。
だからなのか、彼女と私の家への分かれ道迄静かになる事なくついた。
雛と居る時とは少し違う騒がしさだったけど、偶にはいいなと思える。

「じゃあね、古本さん」
「はーい、さよなら先輩」

可愛く手を振って去って行く彼女を見て、可愛い事にやっぱり羨ましさを覚える。
春さんの可愛さの半分で良いから、自分にもああいう可愛さが欲しかったな。
とはいえ願っても身長は縮まないので諦めるしかないのだけど。

不幸中の幸いは、私の大好きな人は私の身長も込みで好きでいてくれる事かな。
格好良いって言われるのはあまり好きでは無いけど、春さんの言葉なら気分が良い。
でもやっぱり可愛くなりたいなぁ・・・。
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