後藤家の日常

四つ目

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真剣な返事

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「・・・まじか、あの人数は予想外だぞ」

物陰から俺を呼び出したのであろう人物達を見て、少し血の気が引く。
女の子だらけなのだが数が多い。20人はいるぞ。数人程度なら手を上げずとも逃げ出す自信は有ったけど、あの数となると何処か他にも隠れてそうだ。
きっついなぁ。けど後の事を考えると逃げるわけにもいかないよな。

「あ、来た」
「っ」
「よ、用意出来てる?」

覚悟を決めて足を踏み出すと、女子生徒の一人が俺に気が付いた事で全員が身構えた。
用意って何だろうか。とても怖い。
一応周囲に誰か隠れていないか警戒しつつ、彼女の達にゆっくりと近づいて行く。

「君たち全員、俺を呼び出したって事で、良いかな」
「良いよー」

前に居る彼女達に確認すると後ろから声が聞こえ、驚きながら振り向く。
そこには何故か級友達が居た。さっき俺に告白してきた奴も居る
何でアイツらが。まさかあいつもそうなのか。友人に騙されるのはきついなぁ。

「まじかよ、俺お前の事友達だと思ってたんだけどなぁ」
「友達だよー。今までもこれからもね」
「じゃあこの不意打ちは何のつもりかな」
「それはこっちより、そっちの子達に聞いて上げて欲しいかな」

言われて警戒を解かずに視線を前に戻す。
すると彼女達は皆ずいっと一歩踏み出し、俺の傍に寄って来た。
どうしよう、どうやって逃げるか。逃げ道は目で探して見つけたけど、逃げ切れるかな。

「草野先輩、彼女が居るのは知っています。きっと振り向いて貰えない事も解ってます。けど私達どうしても伝えるだけでもしたかったんです」
「好きです、先輩」
「可愛いだけじゃなくて、カッコ良い所も好きです」
「って事よ。私達と一緒って事ね」

彼女達が口々に俺に対する好意を口にし、何の集まりの呼び出しだったのかを級友がしめた。
つまり今集まっている子達は、俺が想像してた明ちゃんのファンの襲撃じゃなくて、本当に俺が目的で呼び出してきていたのか。
彼女達は皆真剣な目で俺を見つめている。そこで初めて俺は警戒を解いた。
そして彼女達にちゃんと向き直って頭を下げた。

「えっと、ちょっと驚いてるけど、まずは、ごめんなさい」

彼女達に向かって謝罪の言葉を述べて、顔を上げる。
そしてはっきりと、彼女達全員に聞こえる様に言葉を続けた。

「俺は明ちゃんの事が好きだから、皆の気持ちには答えられない。でも、ありがとう。好意を伝えてくれたのは本当に嬉しかった」

多分ここまでして言って来るって事は、本当に好意を持ってくれているのだろう。
そして後ろの級友達も同じく、そういった好意を持っている。
なら俺は彼女達にはっきりと気持ちを返さなきゃ失礼だ。明ちゃんへの好意もはっきりと。

俺の態度に彼女達は様々な反応を見せたが、誰一人として俺に攻撃的な意思は見せなかった。
その代わり今日は特別だからともみくちゃにされた。
最後だし、少しぐらい良いだろう。頬にされたキスの跡とか残って無いと良いけど。
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