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大急ぎ
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「あーもう、急がないと!」
全力で走って近所のスーパーに向かう。
今の俺に取れる選択肢は多くないので、良く知った店に走るしかない。
急いで目当ての物を買い、急いで家に走る。
「姉貴、居るか!?」
家に帰って叫ぶが、返事は帰ってこなかった。
おそらく既に仕事をしているのだろう。これで姉貴に助けを求める事は出来なくなった。
しょうが無いので携帯を取り出し、画面を映す。
するとさっき明ちゃんと一緒に居た時に見た画面がそのまま出て来た。
『もうチョコ貰ったかーい。あの子楽しそうに作ってたぜーい』
このメッセージが画面に映っている。そして送り主は咲さんだ。
つまり俺は、楽しみに渡す為にチョコレート類を作っていた彼女に、バレンタイン無くなれと言ってわけだ。最悪じゃん。
あの場でそう思ったものの、ただその場で謝罪ってのも如何なものか。
という訳で今からでも彼女に送る為の物を作ろうと思う。
姉貴に頼りたかったが、流石に仕事の邪魔は出来ない。
携帯端末を片手に作れそうな物を探して、出来る限り手早く作業を進める。
まだ間に合うと自分い言い聞かせ、汚れる事を気にせず進める。
慌てたせいで本当に台所が大変な事になったが、今は気にする時間がもったいない。
超特急で作業を進め、何とか仕事開始前に冷やすだけの所までこぎつけた。
「っし、間に合った!」
仕事前に何とか出来た物を、冷蔵庫につっこんでおく。
入れ物もこの時期だからこその可愛らしい箱と包み紙が有ったので、こっちは仕事が終わってからだ。
「ああ、時間無い、早く着替えねーと!」
仕事の時間まではまだ少し余裕は有るが、着替えも化粧もまだしていない。
急いで着れる服に着替え、化粧も普段より若干雑に仕上げて店に向かう。
何時もより化粧が濃いけど、周りの連中はもっと濃いから問題ない。
「遅いわよ、春。何してたの」
「わりい親父、ちょっと急用だった!」
「そ、まあ良いわ。皆さんお待ちかねよ」
「待ってなくて良いってのに・・・」
何故かこの時期のチョコ配りは、皆俺が来るまで絶対待っている。
俺が小さな頃からやってるせいも有るだろうが、客じゃなくて店員まで俺に貰いに来る。
俺が渡そうが渡すまいが、安物のチョコレートだってのに。大体買って来たのは姉貴だぞ。
「はぁ・・・この行事もうやめて欲しい」
「残念だけど春が来るの楽しみにしてるお客様もいるから、そういうわけには行かないわよ」
「あの爺さん連中は孫の年齢ならだれでも良いだろ・・・」
「はいはい、そういう事言わない。良いから早く行ってきなさい」
親父に背中を叩かれ、渋々ながらチョコを片手に客の間を動き回る。
仕事の笑顔を張り付けて、意識して可愛い声を出しながら。
この日だけはいつもと違って、配り終わったら上がりなのでガンガン配って行く。
ほんの少しでも時間作らないと!
全力で走って近所のスーパーに向かう。
今の俺に取れる選択肢は多くないので、良く知った店に走るしかない。
急いで目当ての物を買い、急いで家に走る。
「姉貴、居るか!?」
家に帰って叫ぶが、返事は帰ってこなかった。
おそらく既に仕事をしているのだろう。これで姉貴に助けを求める事は出来なくなった。
しょうが無いので携帯を取り出し、画面を映す。
するとさっき明ちゃんと一緒に居た時に見た画面がそのまま出て来た。
『もうチョコ貰ったかーい。あの子楽しそうに作ってたぜーい』
このメッセージが画面に映っている。そして送り主は咲さんだ。
つまり俺は、楽しみに渡す為にチョコレート類を作っていた彼女に、バレンタイン無くなれと言ってわけだ。最悪じゃん。
あの場でそう思ったものの、ただその場で謝罪ってのも如何なものか。
という訳で今からでも彼女に送る為の物を作ろうと思う。
姉貴に頼りたかったが、流石に仕事の邪魔は出来ない。
携帯端末を片手に作れそうな物を探して、出来る限り手早く作業を進める。
まだ間に合うと自分い言い聞かせ、汚れる事を気にせず進める。
慌てたせいで本当に台所が大変な事になったが、今は気にする時間がもったいない。
超特急で作業を進め、何とか仕事開始前に冷やすだけの所までこぎつけた。
「っし、間に合った!」
仕事前に何とか出来た物を、冷蔵庫につっこんでおく。
入れ物もこの時期だからこその可愛らしい箱と包み紙が有ったので、こっちは仕事が終わってからだ。
「ああ、時間無い、早く着替えねーと!」
仕事の時間まではまだ少し余裕は有るが、着替えも化粧もまだしていない。
急いで着れる服に着替え、化粧も普段より若干雑に仕上げて店に向かう。
何時もより化粧が濃いけど、周りの連中はもっと濃いから問題ない。
「遅いわよ、春。何してたの」
「わりい親父、ちょっと急用だった!」
「そ、まあ良いわ。皆さんお待ちかねよ」
「待ってなくて良いってのに・・・」
何故かこの時期のチョコ配りは、皆俺が来るまで絶対待っている。
俺が小さな頃からやってるせいも有るだろうが、客じゃなくて店員まで俺に貰いに来る。
俺が渡そうが渡すまいが、安物のチョコレートだってのに。大体買って来たのは姉貴だぞ。
「はぁ・・・この行事もうやめて欲しい」
「残念だけど春が来るの楽しみにしてるお客様もいるから、そういうわけには行かないわよ」
「あの爺さん連中は孫の年齢ならだれでも良いだろ・・・」
「はいはい、そういう事言わない。良いから早く行ってきなさい」
親父に背中を叩かれ、渋々ながらチョコを片手に客の間を動き回る。
仕事の笑顔を張り付けて、意識して可愛い声を出しながら。
この日だけはいつもと違って、配り終わったら上がりなのでガンガン配って行く。
ほんの少しでも時間作らないと!
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