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年末
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「もう年末だねぇ。何かドンドン月日が経つのが早く感じて困る」
「咲ちゃんは特にそうじゃないかい。仕事が曜日関係ないだけに」
「そうそう。曜日感覚ないと、なんか時間間隔もおかしくなってくんだよねー」
後ろで両親が楽しく談笑しているのを聞きながら、蕎麦の用意をする。年越し蕎麦だ。
普段あまり蕎麦を食べないので、少しだけ良い蕎麦を買っている。
蕎麦にこだわりが有るわけでは無いけど、こういう時は少し特別感が有った方が楽しいだろう。
「お母さん、お父さん、できたよー」
「わーい、ありがとー」
「ありがとう、明」
お盆に乗せて居間まで持って行き、お父さんとお母さんの前にそれぞれ置いて行く。
私の分も手前において、席に着く。
「いただきます」
「いっただきまーす!」
「ふふ、いただきます」
私とお母さんが手を合わせるのを見て、楽しそうに笑いながら手を合わすお父さん。
そしてしばらく、ただ蕎麦を啜る音だけが部屋に響く。
冬であり年末独特の騒音の無さが、余計にその音を際立たせるように感じた。
そしてその静寂は、お母さんが食べ終わった事で破られる。
「ぷはー。ごっち!」
満足満足と言った様子で手を合わせ、ぐーっと伸びをする。
そして何が楽しいのか、私達の食事を静かに眺め始めた。
とりあえずそれを気にしない様にして、私達も食事を終える。
「ご馳走様でした」
「ご馳走様」
私が食べ終わった後に、お父さんも食べ終わって手を合わせる。
ふうと一息ついた所で、お母さんが声をかけて来た。
「明ちゃん、今年の初詣はどうすんの?」
「とりあえず春さんの手が空いたら、一緒にかな。お母さんは?」
春さんは年末もちょっと忙しいので、手が空き次第連絡をくれると言われている。
彼の実家のバーは年末年始もやっている。
毎年案外お客さんが多いそうだ。その後ずれてから長期休みになる。
「ママ達は12時過ぎたら行ってこようかなって思ってるよ。ね、たーくん」
「ああ」
となると、お母さん達について行って、現地集合もありかもしれない。
春さんの家から神社まではそんなに遠くない。
「じゃあ私もついて行く」
「明ちゃん、春くん待ってなくていいの?」
「ついて行くけど、お参りは春さんとするよ」
「そっかそっか、じゃあ一緒にいこっか!」
心底楽しそうに、私の懐に飛びついて来るお母さん。子供か。
そうこうしているうちに深夜0時を過ぎて、年が変わる。
「あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします」
「あけおめー、ことよろー」
「ああ、おめでとう。二人とも今年もよろしく」
一応ちゃんと挨拶として頭を下げるが、お母さんは普段通り。
お父さんは目を細めて嬉しそうに、私達に返事をした。
去年は凄く大きな事が有った年だったな。来年はどうなるのかな・・・。
「咲ちゃんは特にそうじゃないかい。仕事が曜日関係ないだけに」
「そうそう。曜日感覚ないと、なんか時間間隔もおかしくなってくんだよねー」
後ろで両親が楽しく談笑しているのを聞きながら、蕎麦の用意をする。年越し蕎麦だ。
普段あまり蕎麦を食べないので、少しだけ良い蕎麦を買っている。
蕎麦にこだわりが有るわけでは無いけど、こういう時は少し特別感が有った方が楽しいだろう。
「お母さん、お父さん、できたよー」
「わーい、ありがとー」
「ありがとう、明」
お盆に乗せて居間まで持って行き、お父さんとお母さんの前にそれぞれ置いて行く。
私の分も手前において、席に着く。
「いただきます」
「いっただきまーす!」
「ふふ、いただきます」
私とお母さんが手を合わせるのを見て、楽しそうに笑いながら手を合わすお父さん。
そしてしばらく、ただ蕎麦を啜る音だけが部屋に響く。
冬であり年末独特の騒音の無さが、余計にその音を際立たせるように感じた。
そしてその静寂は、お母さんが食べ終わった事で破られる。
「ぷはー。ごっち!」
満足満足と言った様子で手を合わせ、ぐーっと伸びをする。
そして何が楽しいのか、私達の食事を静かに眺め始めた。
とりあえずそれを気にしない様にして、私達も食事を終える。
「ご馳走様でした」
「ご馳走様」
私が食べ終わった後に、お父さんも食べ終わって手を合わせる。
ふうと一息ついた所で、お母さんが声をかけて来た。
「明ちゃん、今年の初詣はどうすんの?」
「とりあえず春さんの手が空いたら、一緒にかな。お母さんは?」
春さんは年末もちょっと忙しいので、手が空き次第連絡をくれると言われている。
彼の実家のバーは年末年始もやっている。
毎年案外お客さんが多いそうだ。その後ずれてから長期休みになる。
「ママ達は12時過ぎたら行ってこようかなって思ってるよ。ね、たーくん」
「ああ」
となると、お母さん達について行って、現地集合もありかもしれない。
春さんの家から神社まではそんなに遠くない。
「じゃあ私もついて行く」
「明ちゃん、春くん待ってなくていいの?」
「ついて行くけど、お参りは春さんとするよ」
「そっかそっか、じゃあ一緒にいこっか!」
心底楽しそうに、私の懐に飛びついて来るお母さん。子供か。
そうこうしているうちに深夜0時を過ぎて、年が変わる。
「あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします」
「あけおめー、ことよろー」
「ああ、おめでとう。二人とも今年もよろしく」
一応ちゃんと挨拶として頭を下げるが、お母さんは普段通り。
お父さんは目を細めて嬉しそうに、私達に返事をした。
去年は凄く大きな事が有った年だったな。来年はどうなるのかな・・・。
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