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意地悪な春
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休みの日、自室に遊びに来た春さんに先日の事を伝え、少しだけ彼に怒った。
春さんに対して怒るのは大変心苦しいけど、言う事は言わないと。
原因は私側だし、私の為だというのは解るけど、それでも春さんが不利益被る事なのだから。
「えっと、その、ごめん」
春さんは全く言い訳をせずに、ただそう言ってきた。
私の様子を伺う様にチラチラと上目遣いをする様が可愛くて、怒りとかどこかに飛んで行ってしまっていたけど、取り繕う様に私は続ける。
「もし暴れた事がばれて、受験に響いたらどうするんですか」
「あー、それに関しては大丈夫」
だが続けた私の言葉に彼は何でもない風に答えた。
それに戸惑い言葉が止まる。一体どういう事なのだろうかと。
少し首を傾げると、彼は続きを口にした。
「一応知り合いのジムでスポーツ名目でやったから。監視というか、監督つきだったからさ」
「ああ、成程」
私で言えばお爺ちゃんの家でやった様なものか。喧嘩ではなく試合。それなら言い訳は効くか。
ただお爺ちゃんの場合は色々な理由で証言に力が無いけど。
春さんはおそらくもっと公な場所でやったのだと思うから、きっと大丈夫かな。
「そうですか・・・なら、私こそすみませんでした」
春さんはちゃんと対処はしていたのに、それを聞かずに怒ってしまった。
そもそも原因は私なのだから、先に謝るべきは私の方だ。
色々先走ってしまった自分に反省しつつ、春さんに頭を下げる。
「ん、なんで明ちゃんが謝るの?」
春さんは心底不思議そうな顔でそう聞き返して来た。
彼の様子から本気で言っているのが解る。そのせいで私はほんの少し呆けてしまう。
けど、すぐに気を取り直して口を開いた。
「その、原因は私なので、本来は先に私が謝るべきだったなと思ったんですが」
「ああ成程。でもあいつが勝手に付きまとってるだけでしょ。迷惑なのはあいつ自身であって、明ちゃんは何も悪く無いじゃない」
私の頬に手を添えながらの春さんの言葉に、胸の奥が熱くなるような気がした。
本当にこの人は私を喜ばせるのが上手だと思う。
彼への気持ちが高ぶりすぎて、思考よりも体が先に動く。
実は最初から彼を膝の上に乗せて会話していたのだけど、その彼を抱え込むように抱きしめる。
春さんの頭に顔を押し付ける様にして、腕は彼の肩と腰をしっかりと抱えた。
呼吸をすると春さんの匂いがして、それが幸せな気分を加速させる。
「春さんは本当に狡いですね。私をそんなに喜ばして楽しいですか?」
「狡いっていうのがよく解らないけど、明ちゃんを喜ばすのは楽しいよ」
春さんの答えを聞いている様で全然聞いてい私は、彼の頭にぐりぐりと顔を押し付ける。
そんな私の様子を彼は楽し気に頭を撫でて応えてくれた。
なので私は彼が頭を撫でやすい様に頭を下げる。
「もっと撫でて下さい」
「はいはい、好きなだけどーぞ」
春さんに甘えた言葉を素直に伝えると、彼はクスクスと笑いながら頭を撫でてくれた。
嬉しいけどちょっと恥ずかしくなって、誤魔化す様に彼の首筋を甘噛みする。
けど彼は私の心を見透かしたようにまた笑い、私の頬のキスをして優しく頭を撫で続ける。
その際耳を、はむっと唇で挟まれてしまった。
「ひゃうっ」
「クスクス、明ちゃんってくっつくの好きだけど、こうやって触られるのはちょっと弱いよね」
春さんは私の反応を見て楽しそうにそういって、耳を食むのを続ける。
彼の吐息と熱が耳に伝わり、背筋がぞくぞくする。
そして彼の舌が私の耳をはい出し、声が抑えられなくなる。
「ひゃ、あっ、は、はるさっ」
「かーわいい」
今日の春さんはちょっと意地悪みたいだ。けどこんな春さんもこれはこれで。
その後はまあ、後でお母さんにニヤニヤされる事になったのは言うまでもない。
春さんに対して怒るのは大変心苦しいけど、言う事は言わないと。
原因は私側だし、私の為だというのは解るけど、それでも春さんが不利益被る事なのだから。
「えっと、その、ごめん」
春さんは全く言い訳をせずに、ただそう言ってきた。
私の様子を伺う様にチラチラと上目遣いをする様が可愛くて、怒りとかどこかに飛んで行ってしまっていたけど、取り繕う様に私は続ける。
「もし暴れた事がばれて、受験に響いたらどうするんですか」
「あー、それに関しては大丈夫」
だが続けた私の言葉に彼は何でもない風に答えた。
それに戸惑い言葉が止まる。一体どういう事なのだろうかと。
少し首を傾げると、彼は続きを口にした。
「一応知り合いのジムでスポーツ名目でやったから。監視というか、監督つきだったからさ」
「ああ、成程」
私で言えばお爺ちゃんの家でやった様なものか。喧嘩ではなく試合。それなら言い訳は効くか。
ただお爺ちゃんの場合は色々な理由で証言に力が無いけど。
春さんはおそらくもっと公な場所でやったのだと思うから、きっと大丈夫かな。
「そうですか・・・なら、私こそすみませんでした」
春さんはちゃんと対処はしていたのに、それを聞かずに怒ってしまった。
そもそも原因は私なのだから、先に謝るべきは私の方だ。
色々先走ってしまった自分に反省しつつ、春さんに頭を下げる。
「ん、なんで明ちゃんが謝るの?」
春さんは心底不思議そうな顔でそう聞き返して来た。
彼の様子から本気で言っているのが解る。そのせいで私はほんの少し呆けてしまう。
けど、すぐに気を取り直して口を開いた。
「その、原因は私なので、本来は先に私が謝るべきだったなと思ったんですが」
「ああ成程。でもあいつが勝手に付きまとってるだけでしょ。迷惑なのはあいつ自身であって、明ちゃんは何も悪く無いじゃない」
私の頬に手を添えながらの春さんの言葉に、胸の奥が熱くなるような気がした。
本当にこの人は私を喜ばせるのが上手だと思う。
彼への気持ちが高ぶりすぎて、思考よりも体が先に動く。
実は最初から彼を膝の上に乗せて会話していたのだけど、その彼を抱え込むように抱きしめる。
春さんの頭に顔を押し付ける様にして、腕は彼の肩と腰をしっかりと抱えた。
呼吸をすると春さんの匂いがして、それが幸せな気分を加速させる。
「春さんは本当に狡いですね。私をそんなに喜ばして楽しいですか?」
「狡いっていうのがよく解らないけど、明ちゃんを喜ばすのは楽しいよ」
春さんの答えを聞いている様で全然聞いてい私は、彼の頭にぐりぐりと顔を押し付ける。
そんな私の様子を彼は楽し気に頭を撫でて応えてくれた。
なので私は彼が頭を撫でやすい様に頭を下げる。
「もっと撫でて下さい」
「はいはい、好きなだけどーぞ」
春さんに甘えた言葉を素直に伝えると、彼はクスクスと笑いながら頭を撫でてくれた。
嬉しいけどちょっと恥ずかしくなって、誤魔化す様に彼の首筋を甘噛みする。
けど彼は私の心を見透かしたようにまた笑い、私の頬のキスをして優しく頭を撫で続ける。
その際耳を、はむっと唇で挟まれてしまった。
「ひゃうっ」
「クスクス、明ちゃんってくっつくの好きだけど、こうやって触られるのはちょっと弱いよね」
春さんは私の反応を見て楽しそうにそういって、耳を食むのを続ける。
彼の吐息と熱が耳に伝わり、背筋がぞくぞくする。
そして彼の舌が私の耳をはい出し、声が抑えられなくなる。
「ひゃ、あっ、は、はるさっ」
「かーわいい」
今日の春さんはちょっと意地悪みたいだ。けどこんな春さんもこれはこれで。
その後はまあ、後でお母さんにニヤニヤされる事になったのは言うまでもない。
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