後藤家の日常

四つ目

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親友の応援

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『咲さん、ぶっ飛ばしすぎでしょ』
「私もそう思う」

春さんも帰って暫くして冷静になった後、雛に今日の事を電話で話した感想がまずそれだった。
雛の言葉に私も同意するけど、雛は物凄く楽しそうだ。
・・・私も内心楽しみだという事は誤魔化せないけど。

『ま、よかったじゃん。やっと全部吐き出せたんでしょ?』
「そうだね、やっと、だね」

雛の言う通り、やっと吐き出せた。
ずっと怖くて言えなかった事を、彼に吐き出す事が出来た。
好きで好きでしょうがない人だから、怖くて言えなくなった事を。

『ただはっきり言えるのは、もうここまで来たら立ち止まっちゃ駄目だよ。恥ずかしがるのは良いけど、辺に躊躇するのを見せたらまたヘタレるから、あいつ』
「そ、そうかな」
『そうだって。でなきゃあんたら二人の関係はここまで時間かかって無いって』

はたから見ているとそういう風に見えるのだろうか。
私達は割といっぱいいっぱいで、お互いのせい一杯をやってるつもりだったんだけどな。

『やっと問題なさそうだから言うけどさ、明とあいつって誰がどう見ても相思相愛だったもん。なにまごついてんだこの男って、いっつもイラついてたもん、あたし』
「・・・そうなの?」
『そーなの。明の事好きすぎるの目に見えてんじゃん』

そうだったんだろうか。私にはいつも優しい春さんだったしよく解らない。
どういう風に接しても、彼はいつも彼だった。
だからこそ好きになったのもあるし、だからこそ踏み込めなかった所でも有った。
雛の目からしたら、確実に成功する事を躊躇している様にしか見えなかったんだろうな。

「今までありがとう、雛」
『どーいたしまして。あいつ関連の相談はこれで最後になる事を祈るよ。アイツ嫌いだし』
「そうだったの? 結構気が合ってると思うけど」
『どう見たらそんな風に見えんのさ。あたしいっつもかみついてんじゃん』
「それが仲良さそうに見えるんだけどな」

少なくとも春さんは雛に嫌悪感を見せていないし、雛も言うほど嫌っているようには見えない。
そもそも本当に嫌いなら春さんを私から遠ざけようとするだろうし、雛自身は関わらない様にすると思う。
雛は態々自分から絡んで、私と春さん両方の背中を押していた。
それを考えると、雛は雛で春さんの事をそれなりに気に入ってるんだと思う。

『まあいいや。次の連休楽しんできなよー?』
「うん、勿論」
『あいつがヘタレたら押し倒す事。いいね?』
「そ、それは、その」
『押し倒す事。約束』
「う、うん」

なんだか凄い約束をさせられてしまった。
雛なりの応援なんだと思うけど、その約束を果たしたとして結果報告は恥ずかしいな。
でも確かに、こうなった以上は躊躇しちゃだめか。

・・・暴走しないで素直に行動できるかな。
押し倒すにしても暴走しっぱなしはしたくない。その辺りは気を付けよう。
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