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春輝の緊張
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「なあ姉貴」
「なにー」
姉貴に声をかけるが、興味がなさそうな返事が返ってくる。
こっちが構って欲しくない時は来るくせに、こっちに用があるときは向きやがらねぇ。
まあいいか、あんまり根掘り葉掘り聞かれても困る。
「姉貴ってマッサージとかして貰いに行った事あったっけ」
「あー、一応あるにはあるよ。であれ当たり外れがあんのよね。外れに当たった時はほんと酷いよ。途中で止めて金叩きつけて帰った」
当たりはずれか。免許持ってる人間でもそういう事があるんだな。
まあ人間がやる事だしそういう事も有るか。
「どうしたの、どっか体でも痛いの?」
「いや、そういうわけじゃないけど、最近マッサージのやり方を聞いてな。普通に揉み解すぐらいしか知らなかったから、ちょっと聞いてみたかっただけ」
「ふーん・・・まあ、マッサージって言っても国が違えばやり方も変わるし、エステとかもマッサージだしねー」
一口にマッサージって言っても色々種類があるんだな。
いや、俺も全く知らないわけじゃないけど、そんなに数は知らない。
彼女に言った通り、ローションを使ったマッサージなんて初めて知ったわけだし。
そもそもその、ああいった行為の為のローションという物の存在自体、彼女がいなければまだ知らなかっただろう。
そういえばケア用のローションとかじゃダメなのかな。粘性が違うからまた用途が違うのか?
「・・・明ちゃんでしょ」
「は!?」
「うっわ、解り易。あんたあの子と付き合ってから前より馬鹿になって無い?」
「うぐっ」
今のは自分でも馬鹿だと思う。あまりに反応が解り易すぎる。
いやでも、明ちゃん関連と知られただけだからまだ大丈夫だ。
「明ちゃんの趣味から、マッサージ、と、なるとー」
姉貴は天井を見上げながら考える素振りを見せる。
何か、すごく、嫌な予感がしてきた。
そしてこういう時の嫌な予感は、大体当たる事が多い。
「ローション使って、何かやったりとか、そういう話したのかな」
「まあ、そうだな。ローション使ってのマッサージだってさ」
ちらっと見ながらニヤついた顔で言う姉貴に、なるべく平常心を保って応える。
俺の反応につまらなそうな顔をするが、そうそう遊ばれてたまるか。
だが姉貴は、微妙に馬鹿にするような笑みを見せながら口を開いた。
「あんたさぁ、最近反応が解り易いよ、ほんと。わざとそっけなくしてるのバレバレで、余計に意識してますって言ってるようなもんじゃん」
「な、うそだろ!?」
「うん、嘘だよ」
「はあ!?」
驚きの声を上げてから、自分がはめられたのだと気が付く。
そしてそんな俺を見て、姉貴はさっきよりいやらしい笑みを見せた。
「ばっかでー」
俺の反応にケラケラを笑う姉貴。またやられた・・・。
くっそむかつく。
「ま、それで何となく落ち着かなくて、どうしたら良いのか解んなくて、なんとなーく頼りになるおねーちゃんに聞いてしまったと」
「頼りにはしてない」
「まあ、お姉ちゃんを頼るのは仕方ないね。なんたって頼りになるからね、あたし」
俺の言葉を聞いちゃいねぇ。
いやまあ、たまには頼りになるけど、基本は全く頼りにはしていない。
「もういい、言った俺がばかだった」
「あー、はいはい、悪かったって」
本気でもうどうでもいいやと思って姉貴から離れようとすると、揶揄い過ぎたと思ったのか俺の肩を掴んで止める。
ていうか、痛い痛い痛い。爪が食い込んでる。
「まあ、何となくだけど、どうせあの子が何か張り切った事を、あんたがやってもらうの緊張してるとかそんなんでしょ?」
「何で見てないのにそんなに解るんだよ・・・」
「だって咲さんと情報交換してるし、あんたらの今までの事考えたらそんな所でしょ」
「否定できねぇ・・・」
ていうか咲さん、姉貴とも連絡とってんのかよ。
何となくそうなんじゃないかなぁとは思ってたけどさ。
「でも所詮マッサージでしょ?」
「いや、姉貴にはそうかもしれねぇけどさ・・・」
好きな子に全身されるって予告されてるんだぞ。
緊張しない方がおかしいだろ。色々と。
「大丈夫大丈夫。明ちゃんが真剣であればあるほど、多分あんたそんな事考える余裕なくなると思うから」
「・・・どういう事?」
「まあ当日になればわかるって」
「何か腑に落ちねえ・・・」
姉貴の奴、なーんか知ってそうな気がするんだけどなぁ。
まあでもこればっかりは言う通り、今更じたばたしてもしょうがないか。
・・・でもなぁ、やっぱ緊張しないのは無理だよなぁ。
「なにー」
姉貴に声をかけるが、興味がなさそうな返事が返ってくる。
こっちが構って欲しくない時は来るくせに、こっちに用があるときは向きやがらねぇ。
まあいいか、あんまり根掘り葉掘り聞かれても困る。
「姉貴ってマッサージとかして貰いに行った事あったっけ」
「あー、一応あるにはあるよ。であれ当たり外れがあんのよね。外れに当たった時はほんと酷いよ。途中で止めて金叩きつけて帰った」
当たりはずれか。免許持ってる人間でもそういう事があるんだな。
まあ人間がやる事だしそういう事も有るか。
「どうしたの、どっか体でも痛いの?」
「いや、そういうわけじゃないけど、最近マッサージのやり方を聞いてな。普通に揉み解すぐらいしか知らなかったから、ちょっと聞いてみたかっただけ」
「ふーん・・・まあ、マッサージって言っても国が違えばやり方も変わるし、エステとかもマッサージだしねー」
一口にマッサージって言っても色々種類があるんだな。
いや、俺も全く知らないわけじゃないけど、そんなに数は知らない。
彼女に言った通り、ローションを使ったマッサージなんて初めて知ったわけだし。
そもそもその、ああいった行為の為のローションという物の存在自体、彼女がいなければまだ知らなかっただろう。
そういえばケア用のローションとかじゃダメなのかな。粘性が違うからまた用途が違うのか?
「・・・明ちゃんでしょ」
「は!?」
「うっわ、解り易。あんたあの子と付き合ってから前より馬鹿になって無い?」
「うぐっ」
今のは自分でも馬鹿だと思う。あまりに反応が解り易すぎる。
いやでも、明ちゃん関連と知られただけだからまだ大丈夫だ。
「明ちゃんの趣味から、マッサージ、と、なるとー」
姉貴は天井を見上げながら考える素振りを見せる。
何か、すごく、嫌な予感がしてきた。
そしてこういう時の嫌な予感は、大体当たる事が多い。
「ローション使って、何かやったりとか、そういう話したのかな」
「まあ、そうだな。ローション使ってのマッサージだってさ」
ちらっと見ながらニヤついた顔で言う姉貴に、なるべく平常心を保って応える。
俺の反応につまらなそうな顔をするが、そうそう遊ばれてたまるか。
だが姉貴は、微妙に馬鹿にするような笑みを見せながら口を開いた。
「あんたさぁ、最近反応が解り易いよ、ほんと。わざとそっけなくしてるのバレバレで、余計に意識してますって言ってるようなもんじゃん」
「な、うそだろ!?」
「うん、嘘だよ」
「はあ!?」
驚きの声を上げてから、自分がはめられたのだと気が付く。
そしてそんな俺を見て、姉貴はさっきよりいやらしい笑みを見せた。
「ばっかでー」
俺の反応にケラケラを笑う姉貴。またやられた・・・。
くっそむかつく。
「ま、それで何となく落ち着かなくて、どうしたら良いのか解んなくて、なんとなーく頼りになるおねーちゃんに聞いてしまったと」
「頼りにはしてない」
「まあ、お姉ちゃんを頼るのは仕方ないね。なんたって頼りになるからね、あたし」
俺の言葉を聞いちゃいねぇ。
いやまあ、たまには頼りになるけど、基本は全く頼りにはしていない。
「もういい、言った俺がばかだった」
「あー、はいはい、悪かったって」
本気でもうどうでもいいやと思って姉貴から離れようとすると、揶揄い過ぎたと思ったのか俺の肩を掴んで止める。
ていうか、痛い痛い痛い。爪が食い込んでる。
「まあ、何となくだけど、どうせあの子が何か張り切った事を、あんたがやってもらうの緊張してるとかそんなんでしょ?」
「何で見てないのにそんなに解るんだよ・・・」
「だって咲さんと情報交換してるし、あんたらの今までの事考えたらそんな所でしょ」
「否定できねぇ・・・」
ていうか咲さん、姉貴とも連絡とってんのかよ。
何となくそうなんじゃないかなぁとは思ってたけどさ。
「でも所詮マッサージでしょ?」
「いや、姉貴にはそうかもしれねぇけどさ・・・」
好きな子に全身されるって予告されてるんだぞ。
緊張しない方がおかしいだろ。色々と。
「大丈夫大丈夫。明ちゃんが真剣であればあるほど、多分あんたそんな事考える余裕なくなると思うから」
「・・・どういう事?」
「まあ当日になればわかるって」
「何か腑に落ちねえ・・・」
姉貴の奴、なーんか知ってそうな気がするんだけどなぁ。
まあでもこればっかりは言う通り、今更じたばたしてもしょうがないか。
・・・でもなぁ、やっぱ緊張しないのは無理だよなぁ。
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