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想定外
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「おはよう、後藤」
「おはよう」
教室に入り、いつもの様に挨拶をくれた北島さんに返事を返す。
「何か、今日機嫌悪くない?」
「機嫌は悪くないよ」
そう、別に機嫌が悪いわけじゃ無い。
今日はいつもの通学路で、いつもの時間に、春さんに会えなかった。
それがとても怖いだけだ。
偶々今日は会えなかったなら良い。それなら全然構わない。
もし私に顔を合わせない為に時間をずらしたのかもしれないと思うと、心臓が締め付けられるような気分になる。
昼休みが怖い。せめてお昼休みはいつもの所に居てほしい。
「何が有ったのか知らないけど、そんな顔してたらあんたの言う通り怖がられるよ」
「そんなに酷い?」
「酷い。女がする顔じゃ無いね」
そこまで酷いのか。北島さんはストレートに言うからきっと事実だろう。
自分の額を触り、眉間に皴がよっているのを自覚する。
ああ、これじゃ普段から目つきの悪い私、一層目つきが悪くなってるな。
確かに酷い顔だろう。間違いなく怖がられる。
「うん、酷いね」
「でしょ」
意識して、普段通りの表情にするようにする。
出来ない事は無い筈だ。
軽く深呼吸もして、心もなるべく落ち着けようと努める。
北島さんには礼も言っておこう。
「ありがとう」
「礼にはおよばんよー。相談に乗る気はあんまりないからねー」
「ふふっ、うん、知ってる」
この人は単に自分の言いたい事、思ってる事を言うだけだ。
だからこそ、気楽で好きなのだけど。
ともあれ、事は昼休みに先延ばしだ。
ああ胸が辛い。息が辛い。早く、早く時間が過ぎてほしい。
でもどこかで、まだ来ないでと思っている自分も居る。
春さんに会うのが怖い・・・。
「おはよう」
教室に入り、いつもの様に挨拶をくれた北島さんに返事を返す。
「何か、今日機嫌悪くない?」
「機嫌は悪くないよ」
そう、別に機嫌が悪いわけじゃ無い。
今日はいつもの通学路で、いつもの時間に、春さんに会えなかった。
それがとても怖いだけだ。
偶々今日は会えなかったなら良い。それなら全然構わない。
もし私に顔を合わせない為に時間をずらしたのかもしれないと思うと、心臓が締め付けられるような気分になる。
昼休みが怖い。せめてお昼休みはいつもの所に居てほしい。
「何が有ったのか知らないけど、そんな顔してたらあんたの言う通り怖がられるよ」
「そんなに酷い?」
「酷い。女がする顔じゃ無いね」
そこまで酷いのか。北島さんはストレートに言うからきっと事実だろう。
自分の額を触り、眉間に皴がよっているのを自覚する。
ああ、これじゃ普段から目つきの悪い私、一層目つきが悪くなってるな。
確かに酷い顔だろう。間違いなく怖がられる。
「うん、酷いね」
「でしょ」
意識して、普段通りの表情にするようにする。
出来ない事は無い筈だ。
軽く深呼吸もして、心もなるべく落ち着けようと努める。
北島さんには礼も言っておこう。
「ありがとう」
「礼にはおよばんよー。相談に乗る気はあんまりないからねー」
「ふふっ、うん、知ってる」
この人は単に自分の言いたい事、思ってる事を言うだけだ。
だからこそ、気楽で好きなのだけど。
ともあれ、事は昼休みに先延ばしだ。
ああ胸が辛い。息が辛い。早く、早く時間が過ぎてほしい。
でもどこかで、まだ来ないでと思っている自分も居る。
春さんに会うのが怖い・・・。
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