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バイトの日
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本日はバイトの日だ。と言っても体質上、屋外と窓の有る場所で仕事は出来ない。
必然的にやれる仕事は屋内になる。
その上制服を着ても問題ない様な地下か、服装自由な仕事で無ければ私は働く事が出来ない。
そんな条件を全て満たしてくれる、地下に有る喫茶店『ももいろ』が私のバイト先だ。
制服は有るものの、下はスラックスで上はカッター、後はエプロンだけだ。
私としてはとても楽だ。
「店長、お客さん来ませんね」
「んー、今日は暇だねー」
カウンターでは無く、客席でコーヒーを飲みながら私の呟きに応える男性。
彼が店長であり私の雇い主だ。
「後藤さんの舎弟も来ないし、今日は夜まで来ないかなー?」
この店は昼は喫茶店で、夜はバーとなっている。
店長の言い方だと夜は賑わっている様に聞こえるが、夜もそこまで流行っているわけでは無い。
実際に客としてきたわけじゃ無いけど、昼も夜も来るお客さんはそう言っていた。
「舎弟じゃないです」
私は店長の言葉を即座に否定する。
彼の言う舎弟とは、この店にちょっかいを出していた不良集団の事だ。
バイトの面接でここに訪れた際、店長を助けて大怪我をさせない程度に撃退した。
その時は雛も居たので特に楽だった。
嬉しくはないがその力を買われ採用されたのだが、後日男達は助っ人を呼んで店にやって来た。
ただ彼らにとっては運の悪い事に、その人物は私の知人で有り母の友人であった為、男達が手痛い目を見る事になった。
それ以降、何故か私はその男達から姐さんと呼ばれている。正直止めて欲しい。
姐さんと言われて喜ぶ女子高生が普通居ると思うのか。
「私としては、彼らは来て欲しくありません」
「でも、お金おいてく以上はお客様だよー?」
「・・・それはそうですけど」
それは解っているが、彼らの目が私は嫌なのだ。
彼らは私に惚れたと一度言って来ていて、私はそれを完全に切り捨てている。
だというのに、未だ変わらずその視線を向けてきている。それが辛い。
「私、ああいう人の迷惑考えない人達、好きじゃないんですよ」
彼らの様に周囲の事を顧みずただ我を通す人間は好きじゃない。
芯の通った人間は好ましいが、それと我が儘は別物だ。
「あっはっは」
店長はそれを聞いて愉快そうに笑う。何故笑うのか。
私は春さんのような可愛くて暖かい人が好きなんだ。あの人の様な優しい人が好きなんだ。
街中で力自慢をする様な人達と付き合う気は一切ない。
少なくとも、女相手に容赦なく手を上げられる人物に想いを寄せる気にはなれない。
「まあ、連中はそういう連中だから、とっとと彼氏でも作った方が早いよ」
「振り向いて貰えないんですよね」
好意はそこそこストレートに伝えてはいるつもりだが、春さんの返しは単純に慣れてない好意を向けられているだけの反応だ。
そうである以上、私はそれ以上は踏み込めない。
あの人が優しい人なだけに、あの人が応えてくれるまでは踏み込んじゃいけないと思う。
もし踏み込んだりしたら、それはただの私の我儘だ。
彼の逃げ道を潰して追い詰めようとするだけの行為だ。
「後藤さん良い体してるんだから、迫れば一発だと思うよ」
「店長、そういうの最近は簡単に訴えられるんで気を付けて下さいね」
此処が潰れられたらバイト先をまた探さなくていけない。
そんなに沢山のお金が要るわけでは無いが、自分の欲しい物の為のお金は自分で稼ぎたい。
私の条件だと探すのが大変なので此処が潰れられると非常に困る。
なので言動には気を付けて頂きたい。
「・・・はい、すみません」
私から顔を逸らし、小さくなる店長。
多分睨まれたと思ったんだろう。私は生まれつき目つきがちょっと悪いだけなんだけど。
しかし、今日は本当にお客さんが来ない。掃除も終わったし補充も終わってる。
やる事が無さ過ぎて辛い。
・・・この調子で私にバイト代払っていて大丈夫なんだろうか、この人。
必然的にやれる仕事は屋内になる。
その上制服を着ても問題ない様な地下か、服装自由な仕事で無ければ私は働く事が出来ない。
そんな条件を全て満たしてくれる、地下に有る喫茶店『ももいろ』が私のバイト先だ。
制服は有るものの、下はスラックスで上はカッター、後はエプロンだけだ。
私としてはとても楽だ。
「店長、お客さん来ませんね」
「んー、今日は暇だねー」
カウンターでは無く、客席でコーヒーを飲みながら私の呟きに応える男性。
彼が店長であり私の雇い主だ。
「後藤さんの舎弟も来ないし、今日は夜まで来ないかなー?」
この店は昼は喫茶店で、夜はバーとなっている。
店長の言い方だと夜は賑わっている様に聞こえるが、夜もそこまで流行っているわけでは無い。
実際に客としてきたわけじゃ無いけど、昼も夜も来るお客さんはそう言っていた。
「舎弟じゃないです」
私は店長の言葉を即座に否定する。
彼の言う舎弟とは、この店にちょっかいを出していた不良集団の事だ。
バイトの面接でここに訪れた際、店長を助けて大怪我をさせない程度に撃退した。
その時は雛も居たので特に楽だった。
嬉しくはないがその力を買われ採用されたのだが、後日男達は助っ人を呼んで店にやって来た。
ただ彼らにとっては運の悪い事に、その人物は私の知人で有り母の友人であった為、男達が手痛い目を見る事になった。
それ以降、何故か私はその男達から姐さんと呼ばれている。正直止めて欲しい。
姐さんと言われて喜ぶ女子高生が普通居ると思うのか。
「私としては、彼らは来て欲しくありません」
「でも、お金おいてく以上はお客様だよー?」
「・・・それはそうですけど」
それは解っているが、彼らの目が私は嫌なのだ。
彼らは私に惚れたと一度言って来ていて、私はそれを完全に切り捨てている。
だというのに、未だ変わらずその視線を向けてきている。それが辛い。
「私、ああいう人の迷惑考えない人達、好きじゃないんですよ」
彼らの様に周囲の事を顧みずただ我を通す人間は好きじゃない。
芯の通った人間は好ましいが、それと我が儘は別物だ。
「あっはっは」
店長はそれを聞いて愉快そうに笑う。何故笑うのか。
私は春さんのような可愛くて暖かい人が好きなんだ。あの人の様な優しい人が好きなんだ。
街中で力自慢をする様な人達と付き合う気は一切ない。
少なくとも、女相手に容赦なく手を上げられる人物に想いを寄せる気にはなれない。
「まあ、連中はそういう連中だから、とっとと彼氏でも作った方が早いよ」
「振り向いて貰えないんですよね」
好意はそこそこストレートに伝えてはいるつもりだが、春さんの返しは単純に慣れてない好意を向けられているだけの反応だ。
そうである以上、私はそれ以上は踏み込めない。
あの人が優しい人なだけに、あの人が応えてくれるまでは踏み込んじゃいけないと思う。
もし踏み込んだりしたら、それはただの私の我儘だ。
彼の逃げ道を潰して追い詰めようとするだけの行為だ。
「後藤さん良い体してるんだから、迫れば一発だと思うよ」
「店長、そういうの最近は簡単に訴えられるんで気を付けて下さいね」
此処が潰れられたらバイト先をまた探さなくていけない。
そんなに沢山のお金が要るわけでは無いが、自分の欲しい物の為のお金は自分で稼ぎたい。
私の条件だと探すのが大変なので此処が潰れられると非常に困る。
なので言動には気を付けて頂きたい。
「・・・はい、すみません」
私から顔を逸らし、小さくなる店長。
多分睨まれたと思ったんだろう。私は生まれつき目つきがちょっと悪いだけなんだけど。
しかし、今日は本当にお客さんが来ない。掃除も終わったし補充も終わってる。
やる事が無さ過ぎて辛い。
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