12 / 23
第11話、短い旅路
しおりを挟む
「グロリアちゃん、にこーって。ほら、にこーって笑ってみよう!」
「・・・にこー」
「それじゃ口で言ってるだけだよぉー」
食事が終わると、私の顔から笑顔が消えたらしい。
キャスさんがもったいないと、もっと笑おうと何度も言って来る。
でも闘技場で戦ってる時や、美味しい時の感覚が無いので笑えない。
私はあの時、笑おうと思って笑ってた訳じゃない。
どちらも自然に出てくるもの。だから笑えと言われても困る。
困るんだけど・・・嫌じゃないのは何でだろう。
頬をぐにぐにされるがままになりながら、自分が解らなくて首を傾げる。
するとリーディッドさんがキャスさんの頭を軽く叩いた。
「あいたっ。何するのぉー」
「何するのは貴方でしょうが。いい加減にして早く寝なさい。交代の時間になったら寝不足でも叩き起こしますよ。ガンを見習いなさい。もうぐっすりじゃないですか」
「ガンは何も気にしてないだけだと思うけど・・・はーい、おやすみなさーい」
キャスさんの手が離れ、頬から熱が消えていく。
それが何だか残念で、またその気持ちが自分で不思議だ。
今までこんな風に、誰かに何かをされなくて残念、なんて思った事が無い。
むしろされなくて助かった、って思った事しかなかったのに。
「騒がしくてごめんなさいね、グロリアさん。ああ、グロリアさんはゆっくり寝てくれて構いませんからね。何かあればすぐ起こしますし、夜番は私達で交代でしますから」
「・・・寝てれば、良いん、ですか?」
「ええ、ゆっくり寝て下さい」
『グロリア。もし魔獣が近づけば私も起こす。安心して寝てくれ』
リーディッドさんとガライドの二人に指示されたので、コクリと頷いて布の上に転がる。
ふかふかだ。気持ち良い。地面の固さは部屋の床を思い出すけど、全然違う。
うとうとし始めた所で、ふわりと、上から何かをかけられた気がした。
普段なら起きてたと思う。けど何故か、今日は、起きる事が出来なかった。
「グーロリーアちゃーん! あっさっだよー! おっねぼーうさーん!」
朝方に聞き覚えのある鳥の声と、ぐにっと潰された頬。
そして元気なキャスさんの声で目が覚めた。
この人は私の頬をぐにぐにするのが好きなんだろうか。
ただ、何でだろう。この人たちが居る事に、ほっとしてる気がする。
昨日から解らない事だらけだ。私は一体どうしたんだろう。
「お前さっき寝かけてただろうぐっ!」
「余計な事言わない」
「だから、都合が悪くなったら殴んな!」
「おや、元気。打つ位置がずれたかな」
「おまっ、わざとか! みぞおち狙ってたのはわざとか!」
そこでガンと音がして、見るとリーディッドさんが笑顔で何かを叩いていた。
あれは昨日の食事を作った器かな。それと器をかき混ぜてた棒。
彼女は笑顔のはずなのに、何だか怒ってる様に見える。
「はいはい、朝から二人共煩いですよ。グロリアさんの迷惑も考えなさい」
「「すみませんでした」」
「グロリアさん、起きたなら朝食をどうぞ。とはいっても昨日と同じですが」
「・・・食べて、良いん、ですか?」
「お嫌でなければ」
「ありが、とう、ござい、ます」
お礼を言って昨日と同じ物を受け取り、慣れない道具を使って食べる。
暖かい飲み物は胸の奥まで暖かくなる様で、昨日食べたのは夢じゃなかったと思えた。
・・・そっか。私、今の状況が信じられないんだ。美味しい物を食べてる今が。
『グロリア、ゆっくり寝れたようだな』
「・・・ん」
ガライドの言葉に頷きながら、ゆっくりと食べる。
何時もみたいに食べるのが何だかもったいなくて。
魔獣を食べる時はただ食べていた。
美味しいとか、暖かいとか、この料理を食べた時に持つ気持ちは一切無い。
だから何も考えず食べていた。少しでもお腹を膨らませようと。
けどこの食べ物は、そんな風に、食べたくない。
「ふふっ、そんなに幸せそうに食べて貰えると、何だか嬉しいですね」
「美味いは美味いけど、そこまでありがたがる程かなぁ」
「今後ガンの分は無しで良いですね?」
「すみませんでしたリーディッド様。どうかお許しを」
「よろしい。さて、ではグロリアさんの食事が終わったら出発、という事で」
「「意義なーし」」
私の食事が終わったら出発に決まったらしい。とてもありがたい。
食べている間に三人は広げていた物を片付け、小さくまとめてしまった。
あんなに沢山あった物が、どうやったらあんなに小さくなるんだろう。不思議だ。
荷物はたいていガンさんが持っている。
勿論二人も荷物を持っているけど、ガンさんの半分ぐらいかな。
そういえば私は何も持ってない。持った方が良いんだろうか。
『グロリア、魔獣の反応だ。群れが近くを通る。方向的にすれ違う可能性の方が大きいとは思うが、一応警戒しておいてくれ』
ガライドが『まっぷ』を出して、赤い点を見せる。
少し離れた所に沢山赤い点がある。いっぱい魔獣が居る。
何時もなら走って倒しに行くけど、今日はあんまりそんな気にならない。
多分さっき食べたからだと思う。美味しかったから、だと思う。
『・・・私としては、この変化は喜びたいのだが・・・むう』
「・・・ガライド、どうか、しましたか?」
『いや、まあ、今は気にする程ではない。グロリアが快くいられる事が一番だ』
「・・・? わかり、ました」
ガライドが何か気にしているみたいだけど、気にするなと言われたので頷き返した。
そのまま赤い点を見ながら歩くと、三人はそれから離れる様に歩いて行く。
偶々じゃなくて、三人で話しながら魔獣に会わない様に動いてるみたい。
『成程、歩き慣れている。本来は戦闘を避けて行くスタンスなのだな。あの場での戦闘は仕事の為に致し方なく、といった所か。だとしてもここまで慣れているのであれば、その危険も考えた策を取りそうなものだが。いや、切り札を斬る前に我々が手を出した可能性も―――――』
そんな様子を見ながら、またガライドが私の頭で独り言を呟いている。
相変らず難しくて解らない事が多いけど、段々慣れて来た。
むしろガライドが傍に居てくれる気がして落ち着く。
「ガライド」
『――――いやだが・・・む、どうした。珍しいな、そちらから話しかけて来るのは』
「ガライドは、どこかに、行きますか?」
『・・・どうした。何か不安にでもなったか』
「不安・・・これは不安、なんで、しょうか」
『さてな。その心根はグロリアにしか解らん。だから私が言えることは一つだ。私は君が私の事を必要無いと言うまで共に居よう。いや、要らないと言われても居てやろう。相棒』
「・・・そう、ですか」
解らない。解らない事が、多い。
胸の内がうにうにするこの感じは、不安なのかな。
でも居てくれると言われて、また違う感じがする。
自分の事が自分で全く解らなくなって来た。
『グロリア、君の悩みは、きっとすぐに出る答えではない。時間をかけて学ぶ事だ』
「・・・時間を、かけて・・・わかり、ました」
ガライドの言葉を聞いて、何故か安心する自分が居た。
解らなくて良い。今は解らなくて良いんだと言われて。
やっぱり、自分が良く解らない。でも、何時か、解るんだろう。
そんな不思議な気持ちを抱えながら、数日5人で歩き続けた。
草原を、谷を、川を、橋を、その数日だけで知らない物を沢山見た。
そしてある日、道に出た。整備されている街道だとガンさんが言う道に。
そこで前から凄い勢いで走る物が見え、私達に近付くにつれゆっくりになっている。
大きな犬の魔獣が、移動の為の道具を引っ張っている様だ。
闘技場に行く際に乗せられた物に似ているから、多分そうだと思う。
『・・・変異獣・・・魔獣、だな。人と共存している魔獣が居るのか』
犬の上には人が乗っていて、笑顔で手を振っている。
ガンさんが応える様に手を振っているから知ってる人らしい。
「おお、お前ら帰って来たのか。遅いから魔獣に食われたのかと思ったぞ」
「縁起でもない事を言うなおっさん!」
「そーだそーだー。これでも何だかんだ私達長く活動してるんだからねー」
「この二人が食べられても私は一人で生き残りますよ」
「「リーディッド!!」」
どうやら三人共知り合いみたいだ。
全員笑顔で話してる。笑顔・・笑顔・・・出来ない。
「はっはっは。相変らずで何よりだ。いやな、ちょっとおかしな事が起きてるから、もしかしたらと思ってな。無事なら何よりだ」
「おかしな事? 何かあったんですか?」
「お前らが出かけた後ぐらいから魔獣の森の様子がおかしくてな。ここ数日魔獣が森から出て来る頻度が高くなってるらしいんだよ。んでお前らが採取に向かった所って、崖の上とはいえ近くに魔獣の森があるだろ? まあでも無事なら良かったよ」
「ここ数日・・・それは確かに、おかしな事、ですね」
リーディッドさんが考え込む様子を見せると、犬の上に居る人の目がこちらに向いた。
「なあ、このお嬢ちゃん、見ない顔だよな」
「ええ。彼女はグロリアさん。少々助けていただいたので、お礼にと一緒に街に戻る所です」
「助けられた? 助けたじゃなくてか?」
「ええ、助けられました」
「ふーん・・・おっと、余りのんびりしてたら怒られちまう。じゃな。気をつけて帰れよー」
「そちらもお気をつけて」
犬はポンポンと軽く叩かれるとワフッと鳴き、ゆっくりと速度を上げて走って行った。
「これ帰ったらすぐ仕事させられる感じじゃねーか?」
「可能性は高いだろうねぇー。うえー。休みたかったよぅー」
「仕方ないでしょう。私達はそういう存在です、嫌なら別の商売をなさい」
仕事。三人はあの草を取るのが仕事と言っていた。
ならまたあそこに行かないといけない、って事かな。
もしそうなら、また魔獣に襲われるかもしれない。
それは、なんだか、胸がもやもやする。
『・・・魔獣の森・・・おそらくあの森の事か・・・まさかな』
「・・・にこー」
「それじゃ口で言ってるだけだよぉー」
食事が終わると、私の顔から笑顔が消えたらしい。
キャスさんがもったいないと、もっと笑おうと何度も言って来る。
でも闘技場で戦ってる時や、美味しい時の感覚が無いので笑えない。
私はあの時、笑おうと思って笑ってた訳じゃない。
どちらも自然に出てくるもの。だから笑えと言われても困る。
困るんだけど・・・嫌じゃないのは何でだろう。
頬をぐにぐにされるがままになりながら、自分が解らなくて首を傾げる。
するとリーディッドさんがキャスさんの頭を軽く叩いた。
「あいたっ。何するのぉー」
「何するのは貴方でしょうが。いい加減にして早く寝なさい。交代の時間になったら寝不足でも叩き起こしますよ。ガンを見習いなさい。もうぐっすりじゃないですか」
「ガンは何も気にしてないだけだと思うけど・・・はーい、おやすみなさーい」
キャスさんの手が離れ、頬から熱が消えていく。
それが何だか残念で、またその気持ちが自分で不思議だ。
今までこんな風に、誰かに何かをされなくて残念、なんて思った事が無い。
むしろされなくて助かった、って思った事しかなかったのに。
「騒がしくてごめんなさいね、グロリアさん。ああ、グロリアさんはゆっくり寝てくれて構いませんからね。何かあればすぐ起こしますし、夜番は私達で交代でしますから」
「・・・寝てれば、良いん、ですか?」
「ええ、ゆっくり寝て下さい」
『グロリア。もし魔獣が近づけば私も起こす。安心して寝てくれ』
リーディッドさんとガライドの二人に指示されたので、コクリと頷いて布の上に転がる。
ふかふかだ。気持ち良い。地面の固さは部屋の床を思い出すけど、全然違う。
うとうとし始めた所で、ふわりと、上から何かをかけられた気がした。
普段なら起きてたと思う。けど何故か、今日は、起きる事が出来なかった。
「グーロリーアちゃーん! あっさっだよー! おっねぼーうさーん!」
朝方に聞き覚えのある鳥の声と、ぐにっと潰された頬。
そして元気なキャスさんの声で目が覚めた。
この人は私の頬をぐにぐにするのが好きなんだろうか。
ただ、何でだろう。この人たちが居る事に、ほっとしてる気がする。
昨日から解らない事だらけだ。私は一体どうしたんだろう。
「お前さっき寝かけてただろうぐっ!」
「余計な事言わない」
「だから、都合が悪くなったら殴んな!」
「おや、元気。打つ位置がずれたかな」
「おまっ、わざとか! みぞおち狙ってたのはわざとか!」
そこでガンと音がして、見るとリーディッドさんが笑顔で何かを叩いていた。
あれは昨日の食事を作った器かな。それと器をかき混ぜてた棒。
彼女は笑顔のはずなのに、何だか怒ってる様に見える。
「はいはい、朝から二人共煩いですよ。グロリアさんの迷惑も考えなさい」
「「すみませんでした」」
「グロリアさん、起きたなら朝食をどうぞ。とはいっても昨日と同じですが」
「・・・食べて、良いん、ですか?」
「お嫌でなければ」
「ありが、とう、ござい、ます」
お礼を言って昨日と同じ物を受け取り、慣れない道具を使って食べる。
暖かい飲み物は胸の奥まで暖かくなる様で、昨日食べたのは夢じゃなかったと思えた。
・・・そっか。私、今の状況が信じられないんだ。美味しい物を食べてる今が。
『グロリア、ゆっくり寝れたようだな』
「・・・ん」
ガライドの言葉に頷きながら、ゆっくりと食べる。
何時もみたいに食べるのが何だかもったいなくて。
魔獣を食べる時はただ食べていた。
美味しいとか、暖かいとか、この料理を食べた時に持つ気持ちは一切無い。
だから何も考えず食べていた。少しでもお腹を膨らませようと。
けどこの食べ物は、そんな風に、食べたくない。
「ふふっ、そんなに幸せそうに食べて貰えると、何だか嬉しいですね」
「美味いは美味いけど、そこまでありがたがる程かなぁ」
「今後ガンの分は無しで良いですね?」
「すみませんでしたリーディッド様。どうかお許しを」
「よろしい。さて、ではグロリアさんの食事が終わったら出発、という事で」
「「意義なーし」」
私の食事が終わったら出発に決まったらしい。とてもありがたい。
食べている間に三人は広げていた物を片付け、小さくまとめてしまった。
あんなに沢山あった物が、どうやったらあんなに小さくなるんだろう。不思議だ。
荷物はたいていガンさんが持っている。
勿論二人も荷物を持っているけど、ガンさんの半分ぐらいかな。
そういえば私は何も持ってない。持った方が良いんだろうか。
『グロリア、魔獣の反応だ。群れが近くを通る。方向的にすれ違う可能性の方が大きいとは思うが、一応警戒しておいてくれ』
ガライドが『まっぷ』を出して、赤い点を見せる。
少し離れた所に沢山赤い点がある。いっぱい魔獣が居る。
何時もなら走って倒しに行くけど、今日はあんまりそんな気にならない。
多分さっき食べたからだと思う。美味しかったから、だと思う。
『・・・私としては、この変化は喜びたいのだが・・・むう』
「・・・ガライド、どうか、しましたか?」
『いや、まあ、今は気にする程ではない。グロリアが快くいられる事が一番だ』
「・・・? わかり、ました」
ガライドが何か気にしているみたいだけど、気にするなと言われたので頷き返した。
そのまま赤い点を見ながら歩くと、三人はそれから離れる様に歩いて行く。
偶々じゃなくて、三人で話しながら魔獣に会わない様に動いてるみたい。
『成程、歩き慣れている。本来は戦闘を避けて行くスタンスなのだな。あの場での戦闘は仕事の為に致し方なく、といった所か。だとしてもここまで慣れているのであれば、その危険も考えた策を取りそうなものだが。いや、切り札を斬る前に我々が手を出した可能性も―――――』
そんな様子を見ながら、またガライドが私の頭で独り言を呟いている。
相変らず難しくて解らない事が多いけど、段々慣れて来た。
むしろガライドが傍に居てくれる気がして落ち着く。
「ガライド」
『――――いやだが・・・む、どうした。珍しいな、そちらから話しかけて来るのは』
「ガライドは、どこかに、行きますか?」
『・・・どうした。何か不安にでもなったか』
「不安・・・これは不安、なんで、しょうか」
『さてな。その心根はグロリアにしか解らん。だから私が言えることは一つだ。私は君が私の事を必要無いと言うまで共に居よう。いや、要らないと言われても居てやろう。相棒』
「・・・そう、ですか」
解らない。解らない事が、多い。
胸の内がうにうにするこの感じは、不安なのかな。
でも居てくれると言われて、また違う感じがする。
自分の事が自分で全く解らなくなって来た。
『グロリア、君の悩みは、きっとすぐに出る答えではない。時間をかけて学ぶ事だ』
「・・・時間を、かけて・・・わかり、ました」
ガライドの言葉を聞いて、何故か安心する自分が居た。
解らなくて良い。今は解らなくて良いんだと言われて。
やっぱり、自分が良く解らない。でも、何時か、解るんだろう。
そんな不思議な気持ちを抱えながら、数日5人で歩き続けた。
草原を、谷を、川を、橋を、その数日だけで知らない物を沢山見た。
そしてある日、道に出た。整備されている街道だとガンさんが言う道に。
そこで前から凄い勢いで走る物が見え、私達に近付くにつれゆっくりになっている。
大きな犬の魔獣が、移動の為の道具を引っ張っている様だ。
闘技場に行く際に乗せられた物に似ているから、多分そうだと思う。
『・・・変異獣・・・魔獣、だな。人と共存している魔獣が居るのか』
犬の上には人が乗っていて、笑顔で手を振っている。
ガンさんが応える様に手を振っているから知ってる人らしい。
「おお、お前ら帰って来たのか。遅いから魔獣に食われたのかと思ったぞ」
「縁起でもない事を言うなおっさん!」
「そーだそーだー。これでも何だかんだ私達長く活動してるんだからねー」
「この二人が食べられても私は一人で生き残りますよ」
「「リーディッド!!」」
どうやら三人共知り合いみたいだ。
全員笑顔で話してる。笑顔・・笑顔・・・出来ない。
「はっはっは。相変らずで何よりだ。いやな、ちょっとおかしな事が起きてるから、もしかしたらと思ってな。無事なら何よりだ」
「おかしな事? 何かあったんですか?」
「お前らが出かけた後ぐらいから魔獣の森の様子がおかしくてな。ここ数日魔獣が森から出て来る頻度が高くなってるらしいんだよ。んでお前らが採取に向かった所って、崖の上とはいえ近くに魔獣の森があるだろ? まあでも無事なら良かったよ」
「ここ数日・・・それは確かに、おかしな事、ですね」
リーディッドさんが考え込む様子を見せると、犬の上に居る人の目がこちらに向いた。
「なあ、このお嬢ちゃん、見ない顔だよな」
「ええ。彼女はグロリアさん。少々助けていただいたので、お礼にと一緒に街に戻る所です」
「助けられた? 助けたじゃなくてか?」
「ええ、助けられました」
「ふーん・・・おっと、余りのんびりしてたら怒られちまう。じゃな。気をつけて帰れよー」
「そちらもお気をつけて」
犬はポンポンと軽く叩かれるとワフッと鳴き、ゆっくりと速度を上げて走って行った。
「これ帰ったらすぐ仕事させられる感じじゃねーか?」
「可能性は高いだろうねぇー。うえー。休みたかったよぅー」
「仕方ないでしょう。私達はそういう存在です、嫌なら別の商売をなさい」
仕事。三人はあの草を取るのが仕事と言っていた。
ならまたあそこに行かないといけない、って事かな。
もしそうなら、また魔獣に襲われるかもしれない。
それは、なんだか、胸がもやもやする。
『・・・魔獣の森・・・おそらくあの森の事か・・・まさかな』
1
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
業腹
ごろごろみかん。
恋愛
夫に蔑ろにされていた妻、テレスティアはある日夜会で突然の爆発事故に巻き込まれる。唯一頼れるはずの夫はそんな時でさえテレスティアを置いて、自分の大切な主君の元に向かってしまった。
置いていかれたテレスティアはそのまま階段から落ちてしまい、頭をうってしまう。テレスティアはそのまま意識を失いーーー
気がつくと自室のベッドの上だった。
先程のことは夢ではない。実際あったことだと感じたテレスティアはそうそうに夫への見切りをつけた
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる