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「あー、はは、ド直球だなあ…気が抜けた。」
「……?はぁ。」
「もしかしてお客取るの初めてですか?」
「!そ、うです。俺普段は下働きみたいな事してるので…なにか失礼な事を?」
思わず気が抜けて、おおよそ予想のついていた事を聞けば今まで1ミリも変わらなかった鉄仮面が剥がれ落ち、耳まで真っ赤にするグルド。
魔力量が髪の色に関係するこの世界では白と黒、この二色に近付く程魔力量が多い証となる。
そして、隣に座った事で室内のシャンデリアから照らされ輝き揺れるハンサムカット。
グルドの、その髪色は黒に近い赤。
ふうん、つーことは、結構魔力量は多いんだろうな。
それを踏まえた上で見れば、俺の髪色は当初バレた時に騒ぎになったのは当然といえば当然の事なんだろう。神様も迂闊すぎるって言ってたし。
それでも保護だのなんだのとならないのは、俺が魔力量は多いしチートだけど、チートを除けば元の世界じゃ魔力なんて無かったから魔力回路が貧弱との事。単純に、魔力量が多くとも魔力回路が貧弱だと使い物にならないので注目はされど祭り上げられる事はそうそうない。
だからこそこうして俺は自由に歩けている、という訳。
それにしても淫魔だというからには魔力量が多いだろうし、そもそも人の精気を栄養として生きているんだったら少なくとも色事には慣れてないといけないんじゃないか?
顔を真っ赤にしている場合じゃないだろ。
加えて今までの無表情はわざとじゃないらしい。わざとだとしても問題だけど、気を引く為でもなけりゃ、精一杯努力してやってそれなら男娼として後が心配すぎる。太陽は元々売れないし、これじゃあ淫魔というのに興味を引かれてやってきた奴らもリピートはしないだろう。
もっとランクの低い店へ下げ渡される事もあるだろうな。何も言わない俺を見て俯くグルド。
あー、駄目だ。垂れた犬耳が見えてきた。
「失礼というか、なんというか。……まあ、気にしてないから大丈夫ですよ。」
「!良かったです。あ、あの、タメ口でいいです。敬語を使われるのは慣れていなくて。」
「あー、はい。分かりました。んで、今日はどこまでやるのか、だっけ。」
「は、はい!本日は顔合わせのみとなっており…。」
「あーいいよ。そのカンペみたいな決まったセリフ言わなくても。俺もタメ口なんだから、気軽に話して。」
「ありがとうございます。それで、えっと…。」
「今日は話すだけ。訳あって身請けする為の太陽を決めに来たんだよ、俺。今日はその為の顔合わせ。気になったのが君だけだったからさ、身請けするにしろしないにしろもっと肩の力を抜いて。」
「み、身請けですか!?太陽を!?あ、す、すみません。」
「そう。」
まさか身請けされると思っていなかったのか思わずといった感じで立ち上がるグルド。すぐに失態に気付いたのか謝りながら着席する。それでも信じられないと言わんばかりに目は見開かれたままだ。
んー、やっぱり太陽を身請けする奴自体居ないのかな、マスターといい驚き方が尋常じゃない。
しかし話すだけとは言ったものの発情期終わりで、ほんとのところは身体は疼いてる。けど我慢出来ない事はない。明日はひとまず"約束"のアテはあるし、まずはお互いに信用出来るかどうか、そこから確認しなきゃ。
「……?はぁ。」
「もしかしてお客取るの初めてですか?」
「!そ、うです。俺普段は下働きみたいな事してるので…なにか失礼な事を?」
思わず気が抜けて、おおよそ予想のついていた事を聞けば今まで1ミリも変わらなかった鉄仮面が剥がれ落ち、耳まで真っ赤にするグルド。
魔力量が髪の色に関係するこの世界では白と黒、この二色に近付く程魔力量が多い証となる。
そして、隣に座った事で室内のシャンデリアから照らされ輝き揺れるハンサムカット。
グルドの、その髪色は黒に近い赤。
ふうん、つーことは、結構魔力量は多いんだろうな。
それを踏まえた上で見れば、俺の髪色は当初バレた時に騒ぎになったのは当然といえば当然の事なんだろう。神様も迂闊すぎるって言ってたし。
それでも保護だのなんだのとならないのは、俺が魔力量は多いしチートだけど、チートを除けば元の世界じゃ魔力なんて無かったから魔力回路が貧弱との事。単純に、魔力量が多くとも魔力回路が貧弱だと使い物にならないので注目はされど祭り上げられる事はそうそうない。
だからこそこうして俺は自由に歩けている、という訳。
それにしても淫魔だというからには魔力量が多いだろうし、そもそも人の精気を栄養として生きているんだったら少なくとも色事には慣れてないといけないんじゃないか?
顔を真っ赤にしている場合じゃないだろ。
加えて今までの無表情はわざとじゃないらしい。わざとだとしても問題だけど、気を引く為でもなけりゃ、精一杯努力してやってそれなら男娼として後が心配すぎる。太陽は元々売れないし、これじゃあ淫魔というのに興味を引かれてやってきた奴らもリピートはしないだろう。
もっとランクの低い店へ下げ渡される事もあるだろうな。何も言わない俺を見て俯くグルド。
あー、駄目だ。垂れた犬耳が見えてきた。
「失礼というか、なんというか。……まあ、気にしてないから大丈夫ですよ。」
「!良かったです。あ、あの、タメ口でいいです。敬語を使われるのは慣れていなくて。」
「あー、はい。分かりました。んで、今日はどこまでやるのか、だっけ。」
「は、はい!本日は顔合わせのみとなっており…。」
「あーいいよ。そのカンペみたいな決まったセリフ言わなくても。俺もタメ口なんだから、気軽に話して。」
「ありがとうございます。それで、えっと…。」
「今日は話すだけ。訳あって身請けする為の太陽を決めに来たんだよ、俺。今日はその為の顔合わせ。気になったのが君だけだったからさ、身請けするにしろしないにしろもっと肩の力を抜いて。」
「み、身請けですか!?太陽を!?あ、す、すみません。」
「そう。」
まさか身請けされると思っていなかったのか思わずといった感じで立ち上がるグルド。すぐに失態に気付いたのか謝りながら着席する。それでも信じられないと言わんばかりに目は見開かれたままだ。
んー、やっぱり太陽を身請けする奴自体居ないのかな、マスターといい驚き方が尋常じゃない。
しかし話すだけとは言ったものの発情期終わりで、ほんとのところは身体は疼いてる。けど我慢出来ない事はない。明日はひとまず"約束"のアテはあるし、まずはお互いに信用出来るかどうか、そこから確認しなきゃ。
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