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妬いちゃう彼女は猫のよう

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「……ねぇ、遼なにしてるの?」

「うん?さっき買った雑誌読んでる」

「へぇ、どんな雑誌読んでいるの……ってグラビア雑誌?」

「そう、ちょっと表紙に惹かれちゃってね」

「……ふぅん、そうなんだ……ちょっと見せて」

「お、おう」

澪は俺が読んでいた雑誌を横から奪い取る。

「……へぇ、私と違ってロングなんだ。それにクリッとした目、所謂犬系っているやつね。こういう子が好みなの?」

「いや、そういう訳じゃないけど。まぁ、可愛いとは思うよね」

「ふーん……」

「え、なに、どうしたの?」

「……うぅん、何でもない」

そう言いながらも澪はツーンとそっぽを向いてしまう。

これは、もしかして妬いてる?
何と言うか彼女が妬いてくれていることに嬉しく思っている俺がいる。

「えっと、もしかして妬いてる?」

「はぁ?何言ってんの?別に妬いてないし」

「そうなの?」

「そうよ。別に私はこんな別の子を可愛いって言われて嫉妬するほど子供じゃないし」

「ほんと?」

「ほんと。それに遼の彼女は他でもない私だから嫉妬する必要もないもんね」

嘘だ、さっきから全然こっちに顔を向けてくれない。
まったくどうしたものか。

そう思って少し黙っていると澪が急にこちらに振り向く。

「ねぇ、ハグして」

「えっ?」

「だからギューして、ギュー」

「いきなりどうしたの?」

「なんかギューしたくなったから。ほら、早く」

そう言って澪は両手をこっちに伸ばしてハグを待つ。
俺は少し苦笑しながら澪のことをハグする。

俺がハグをした瞬間、澪は俺の首元に顔をうずめる。

「ハァー、君の匂いは落ち着くなぁー、いつでも嗅いでいられる」

そう言いながら俺の首元で深呼吸するもんだから、鼻息が当たって少しこそばゆい。

「それにしても、モデルさんだから可愛いと思うのは別にいいよ?でも君の彼女は今は私なんだよ?今というかこれからもだけどさ」

スッと嬉しいことを言ってくれる。

「だからさ、他の雌に目移りするのは良くないと思うんですけど、思うんですけど~」

「それは……ごめん……」

「むぅ、別に謝ってほしいわけじゃないんだけど……あぁ、もう!キスして」

「えっ、キス?」

「うん、キス!ほら早く、早く!」

「わ、分かった」


チュッ


「えへへ、君とのキスはやっぱり良いな~。ねぇ、もう一回!」

「は、はい」


チュッ


「ふわぁー、なんか気持ちがぽわぽわする。溶けちゃいそう」

「それはようござんした」

「遼も気持ちよかった?」

「そりゃあ、好きな子とキスするのは気持ち良いに決まってるでしょ」

俺がそう言うと澪はまるで花のような笑顔で「えへへ」と微笑む。


「よっし!それじゃあ、さっそく晩御飯作っちゃおうかな」

「おっ、今日の晩御飯は何?」

「うふふ、それは作ってからのお楽しみという事で」

そう言って澪はルンルンでキッチンへ向かう。


はぁ、感情がコロコロと変わるな。
そう言うところも可愛いのだが。


彼女のそんな姿はまるで猫のようだ。






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