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小屋の結界
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「この紐、俺も欲しいな」
俺たちは動物たちを後にして、のんびり森の散歩然と小屋への帰り道。
「どうぞ」
「いいの?ありがとう!」
もうイヴに物ねだるのに慣れてきた自分が怖い。
ガルナ初心者の五歳児だから、許してほしい。
でも自分で紐を扱えるようになったから、どうしても欲しかったんだ。
どんな形にもイメージ通りに変形する紐なんて、無駄にクネクネさせたくなってしまう。
因みに長さもある程度、変化可能だ。
貰った紐は1メートルくらいだけど、10メートルくらいまでは伸ばせた。
その分細くなるから、魔力を通すのが少し難しくなる。
真っ直ぐ正面に伸ばしたら、先っぽの方がちょっと垂れ下がってしまう。
距離なのか魔力量なのかは分からないが、それくらいが俺の限界らしい。
「この紐を"万能紐"と名付けよう!」
まんますぎる名前である。イヴのこと言えない。
「はい」
あっさりと俺の命名を受け入れるイヴ。果物の時と同じだ。
あ、魚も名付けておけばよかった。
でも"種"ではなく"個"でしか存在しないんじゃないかってくらいバラエティ豊かだったからな。
全部違う魚で、同じ魚は一度も捕れなかったんだ。
「森には他にも動物いるの?」
「はい」
「何がいる?」
「名前は分かりません」
「えぇぇ…」
イヴはだいたい固有名詞に疎い。
「あんな大きな獣がいたくらいだから、その餌になる動物もいるんだろうね」
「はい」
「小屋まで来たりしないの?」
「結界があるので来ません」
「そういえば小屋は安全だって言ってたね」
「はい」
「あれ?なんでスーリは入れたんだろ」
「結界より、スーリの方が強いからだと思います」
「はぁ。あいつ、とことん化け物だな。侵入されて結界壊れたりしてない?」
「壊れるような結界ではないです」
「どんな結界?」
「領分を知らせる結界と聞きました。自分より強い者の住処に、無暗に入ってくる者はいません」
「動物の縄張り主張みたいなもんかな?入ってきたからって、ダメージ受けるとかじゃないんだね。ってか「聞いた」って?イヴが結界張ったんじゃないの?」
「お婆さんの結界だと思います。私は幼かったので、覚えていません」
随分長持ちする結界だな。魔法ってのは時間によって消耗したりしないんだろうか?
そして俺はこの小屋に来てから、その結界の存在を感じたことは一切ない。
「俺も小屋の結界感じたことないけど、強いから?」
「私がアベルを許容しているせいです」
「そ、そうか…。結界かぁ。俺も覚えたいな。その結界のお陰で、小屋に害虫もいないのかな」
「害虫とはなんですか?」
「えーと害をなす虫」
「わかりません」
害虫がいたとしても、この子は動じることなく、振り払うんだろう。
あの小鳥にしたみたいに。
小鳥を可愛がりながら虫を邪険にするより、どっちもフェアに慣れ合わないのは、イヴらしい気がする。
小屋に帰りついても、スーリは戻ってなかった。
焼いておいた山盛りの魚もそのままだ。
どうせあの食欲モンスターが暴食すると思ったから、沢山捕ってきてやったのに、もう日が暮れそうだ。
火を通してあるから少しは余裕あるだろうが、冷蔵庫もないこの小屋だと腐っちゃいそうだな。
「イ…」
またイヴを頼りそうになって、思い直した。
俺だってもう魔法を使えるんだ。
あとは何が出来て、何が出来ないかを自分で模索すればいい。
まず紐で箱型を作ってみる。小型冷蔵庫のイメージだ。
辺のみで作った箱が出来た。
いや球体がいいな。隅がないから内部の状態が均一になりそうだ。
しゅるしゅると紐の形を変える。
ビーチボールサイズの球が出来た。
あとは内部の温度を下げるだけだ。
……どうやって?
こちとら科学者でもない建築屋だ。
気温を下げる方法と言ったら、土壁にするとか地下にコンクリ繋ぐ、とかしか思いつかないぞ。
あ、真空ならどうだ。食品の保存にも良さそうだ。
俺は紐ボールに手をかざし、中の空気を追い出すイメージをした。
球を形成していた紐が内側にたわむ。内容量に従って形を変えるならそりゃそうか。
俺は魔力をより流し込むイメージで球体に戻した。
脳内に完全な球体を思い描き、それを維持させる。
……困った。空気も透明だから内部がどう変化してるか、目視じゃさっぱり分からん。
真空球体はあきらめた。
しばらく試行錯誤してみたが、何より中身の出し入れに非常に不向きだ。
イヴを見ると、なんか縫い物してる。
目が合った。彼女も俺が何してるか見てたらしい。
「何作ってるの?」
「スーリの服を作っています」
縫っていた布を、持ち上げて見せてくれる。
袖のないワンピースだ。ランプシェードみたいに裾が広がってる。
あいつ肌に布が触れるの嫌がってたしな。きっと着心地は良さそうだ。
「スーリはともかく、リマの顔は可愛いからきっと似合うと思うよ」
すぐ森の土でドロドロにするから、着替えも複数用意しておくつもりなのかな。
それにしても魔法があっても、手作業で裁縫するなんてアナログだ。
何の気なしに、その手元を見て驚いた。
針使ってない。
縫い合わせる生地を指で押さえて、すっと横に動かすと、糸がするすると生地を縫い合わせていく。
その動きは均一でありながら、イヴの指の指示に細かく従ってる。
「それどうやってんの?」
「万能紐と同じように、糸に魔力を通しています」
"万能紐"という名称を早速使ってくれて嬉しい。
イヴが裁縫作業が早かったことも納得がいった。
魔力通して紐を動かせるんだから、糸だって出来るはずだよな。
そこまで細かい操作を、俺はまだ出来ないけど。
文明の発展ってのは、突然科学を利用して進むもんじゃない。
何だって最初は、身近な生活における、作業の効率化から始まる。
科学よりポテンシャルを秘めてる魔法があるのなら、なおさら日々の雑事にだって、それは色濃く反映されてるはずだ。
「この魚、腐らないように冷やしたいんだけど、どうすればいいかな?」
結局イヴの知恵に頼ることにした。しょうがない。
俺はごりごりの現代日本人の思考が抜けきらない。
もう少し教示を受けてから自己流にするのが、やっぱり合理的だ。
「雪や氷を知っていますか?」
「うん。俺の世界でも雪は降ったし、氷が溶けない地域もあった」
ここでも雪は降るんだな。
今気付いたが、俺がこの世界のそういう当たり前を知らないように、イヴだって地球の当たり前を知らない。
すなわち"俺が分からないこと"も分からないわけだ。
「その冷たさをイメージすればいいと思います」
そんな単純な話なの?仕組みは?冷やすってプロセスは不要なの?
あまり納得が出来ないまま、また紐球体を作って、手をかざしてみる。
冷たいイメージ。ひやっとする感じ。
自分でも稚拙な想像力だが、魔力が俺から激しく吸い出される感覚がした。
球の中に手を入れて確認してみると、冷たくなってる。成功だ。
「出来たっぽい」
「すごいです」
「いやイメージしかしてないよ」
「それがすごいと思います」
どゆこと?そう教えてくれたのは君じゃないか。
球の内部は涼しかったが、俺が差し入れた手の温度のせいか、徐々に温くなってる気がする。再び魔力を送り込むと、温度が下がってきた。
「これ維持が大変だね。魔力がごりごり持ってかれてる感じがする」
「はい」
さっさと帰って来いよ。スーリ。俺の魔力が枯渇しちゃいそうだぞ。
俺たちは動物たちを後にして、のんびり森の散歩然と小屋への帰り道。
「どうぞ」
「いいの?ありがとう!」
もうイヴに物ねだるのに慣れてきた自分が怖い。
ガルナ初心者の五歳児だから、許してほしい。
でも自分で紐を扱えるようになったから、どうしても欲しかったんだ。
どんな形にもイメージ通りに変形する紐なんて、無駄にクネクネさせたくなってしまう。
因みに長さもある程度、変化可能だ。
貰った紐は1メートルくらいだけど、10メートルくらいまでは伸ばせた。
その分細くなるから、魔力を通すのが少し難しくなる。
真っ直ぐ正面に伸ばしたら、先っぽの方がちょっと垂れ下がってしまう。
距離なのか魔力量なのかは分からないが、それくらいが俺の限界らしい。
「この紐を"万能紐"と名付けよう!」
まんますぎる名前である。イヴのこと言えない。
「はい」
あっさりと俺の命名を受け入れるイヴ。果物の時と同じだ。
あ、魚も名付けておけばよかった。
でも"種"ではなく"個"でしか存在しないんじゃないかってくらいバラエティ豊かだったからな。
全部違う魚で、同じ魚は一度も捕れなかったんだ。
「森には他にも動物いるの?」
「はい」
「何がいる?」
「名前は分かりません」
「えぇぇ…」
イヴはだいたい固有名詞に疎い。
「あんな大きな獣がいたくらいだから、その餌になる動物もいるんだろうね」
「はい」
「小屋まで来たりしないの?」
「結界があるので来ません」
「そういえば小屋は安全だって言ってたね」
「はい」
「あれ?なんでスーリは入れたんだろ」
「結界より、スーリの方が強いからだと思います」
「はぁ。あいつ、とことん化け物だな。侵入されて結界壊れたりしてない?」
「壊れるような結界ではないです」
「どんな結界?」
「領分を知らせる結界と聞きました。自分より強い者の住処に、無暗に入ってくる者はいません」
「動物の縄張り主張みたいなもんかな?入ってきたからって、ダメージ受けるとかじゃないんだね。ってか「聞いた」って?イヴが結界張ったんじゃないの?」
「お婆さんの結界だと思います。私は幼かったので、覚えていません」
随分長持ちする結界だな。魔法ってのは時間によって消耗したりしないんだろうか?
そして俺はこの小屋に来てから、その結界の存在を感じたことは一切ない。
「俺も小屋の結界感じたことないけど、強いから?」
「私がアベルを許容しているせいです」
「そ、そうか…。結界かぁ。俺も覚えたいな。その結界のお陰で、小屋に害虫もいないのかな」
「害虫とはなんですか?」
「えーと害をなす虫」
「わかりません」
害虫がいたとしても、この子は動じることなく、振り払うんだろう。
あの小鳥にしたみたいに。
小鳥を可愛がりながら虫を邪険にするより、どっちもフェアに慣れ合わないのは、イヴらしい気がする。
小屋に帰りついても、スーリは戻ってなかった。
焼いておいた山盛りの魚もそのままだ。
どうせあの食欲モンスターが暴食すると思ったから、沢山捕ってきてやったのに、もう日が暮れそうだ。
火を通してあるから少しは余裕あるだろうが、冷蔵庫もないこの小屋だと腐っちゃいそうだな。
「イ…」
またイヴを頼りそうになって、思い直した。
俺だってもう魔法を使えるんだ。
あとは何が出来て、何が出来ないかを自分で模索すればいい。
まず紐で箱型を作ってみる。小型冷蔵庫のイメージだ。
辺のみで作った箱が出来た。
いや球体がいいな。隅がないから内部の状態が均一になりそうだ。
しゅるしゅると紐の形を変える。
ビーチボールサイズの球が出来た。
あとは内部の温度を下げるだけだ。
……どうやって?
こちとら科学者でもない建築屋だ。
気温を下げる方法と言ったら、土壁にするとか地下にコンクリ繋ぐ、とかしか思いつかないぞ。
あ、真空ならどうだ。食品の保存にも良さそうだ。
俺は紐ボールに手をかざし、中の空気を追い出すイメージをした。
球を形成していた紐が内側にたわむ。内容量に従って形を変えるならそりゃそうか。
俺は魔力をより流し込むイメージで球体に戻した。
脳内に完全な球体を思い描き、それを維持させる。
……困った。空気も透明だから内部がどう変化してるか、目視じゃさっぱり分からん。
真空球体はあきらめた。
しばらく試行錯誤してみたが、何より中身の出し入れに非常に不向きだ。
イヴを見ると、なんか縫い物してる。
目が合った。彼女も俺が何してるか見てたらしい。
「何作ってるの?」
「スーリの服を作っています」
縫っていた布を、持ち上げて見せてくれる。
袖のないワンピースだ。ランプシェードみたいに裾が広がってる。
あいつ肌に布が触れるの嫌がってたしな。きっと着心地は良さそうだ。
「スーリはともかく、リマの顔は可愛いからきっと似合うと思うよ」
すぐ森の土でドロドロにするから、着替えも複数用意しておくつもりなのかな。
それにしても魔法があっても、手作業で裁縫するなんてアナログだ。
何の気なしに、その手元を見て驚いた。
針使ってない。
縫い合わせる生地を指で押さえて、すっと横に動かすと、糸がするすると生地を縫い合わせていく。
その動きは均一でありながら、イヴの指の指示に細かく従ってる。
「それどうやってんの?」
「万能紐と同じように、糸に魔力を通しています」
"万能紐"という名称を早速使ってくれて嬉しい。
イヴが裁縫作業が早かったことも納得がいった。
魔力通して紐を動かせるんだから、糸だって出来るはずだよな。
そこまで細かい操作を、俺はまだ出来ないけど。
文明の発展ってのは、突然科学を利用して進むもんじゃない。
何だって最初は、身近な生活における、作業の効率化から始まる。
科学よりポテンシャルを秘めてる魔法があるのなら、なおさら日々の雑事にだって、それは色濃く反映されてるはずだ。
「この魚、腐らないように冷やしたいんだけど、どうすればいいかな?」
結局イヴの知恵に頼ることにした。しょうがない。
俺はごりごりの現代日本人の思考が抜けきらない。
もう少し教示を受けてから自己流にするのが、やっぱり合理的だ。
「雪や氷を知っていますか?」
「うん。俺の世界でも雪は降ったし、氷が溶けない地域もあった」
ここでも雪は降るんだな。
今気付いたが、俺がこの世界のそういう当たり前を知らないように、イヴだって地球の当たり前を知らない。
すなわち"俺が分からないこと"も分からないわけだ。
「その冷たさをイメージすればいいと思います」
そんな単純な話なの?仕組みは?冷やすってプロセスは不要なの?
あまり納得が出来ないまま、また紐球体を作って、手をかざしてみる。
冷たいイメージ。ひやっとする感じ。
自分でも稚拙な想像力だが、魔力が俺から激しく吸い出される感覚がした。
球の中に手を入れて確認してみると、冷たくなってる。成功だ。
「出来たっぽい」
「すごいです」
「いやイメージしかしてないよ」
「それがすごいと思います」
どゆこと?そう教えてくれたのは君じゃないか。
球の内部は涼しかったが、俺が差し入れた手の温度のせいか、徐々に温くなってる気がする。再び魔力を送り込むと、温度が下がってきた。
「これ維持が大変だね。魔力がごりごり持ってかれてる感じがする」
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