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【第2部】~ 衝撃の運命 ~
婚約破棄
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「・・・・私、信じられない! 私のこの右足を治してくれた恩人が、私の両親の命を奪った犯人だったなんて…
でも、お父さんは、私以上に負けず嫌いの人だった…
だから、例え自分が正しくない状況だったとしても、周りの人を強引に屈服させるような気質は確かにあったわ…
でも、少なくとも私たち身内の人間にはとても優しい人だった…
私はお父さんがいてくれたからこそ、今の自分があったし、たくさんの敵からずっと私のことを守ってくれたの…
そんなお父さんを、私は今でも尊敬してる。
かと言って、私のこの右足を治してくれた院長先生のことも、私は感謝しています。
でも、そんな院長先生は私の大切なお父さんとお母さんの命を奪った人間…
ごめんなさい… 私、やっぱりあなたとは…
あなたとは、一緒になれない…」
あの小雪の舞うスケートリンクで渡された指輪を、そっと大空優に返す琴音。
そして、泣きながらその場を走り去る琴音。 その彼女を追いかけようとする優。
その彼の肩を抑えて、首を横に振りながら無言で止める母親の美香。
しかし、遠くに走り去り、小さくなったその琴音が、勢いのあまり地面に転倒する!
地面に倒れ込んで苦しむ琴音のところへ全員が走ってゆく。
「大丈夫か?琴音さん!」
「あ、足が、足が痛い…」
「白井さん!救急車を呼んで!」
転倒した勢いで、足と頭を大きく地面に打ち付け、頭からの出血が酷い!
そして、彼女は救急車で大空診療所へ運ばれ、琴音はドクターである美香と優、ナースの白井から応急処置を受ける。
その夜、琴音は病室のベッドで、頭を包帯で巻かれた状態で鎮静剤により眠っていた。
「頭部のケガの方は、軽い挫傷程度で大丈夫。 脳にも影響はないようね。」
医務室で琴音の頭部レントゲン写真を見ながら、美香は優にそう告げた。
「で、でも、母さん! あの時、確か琴音さんは『足が痛い』って言っていたよ!
ま、まさか、完治した右足が再発したんじゃないよね!?」
「違うわ… 火葬場で転倒したあの時、琴音さんが痛みを訴えていたのは…
右足ではなく、左足の方だったのよ…」
「えっ!? ど、どういうこと!?」
「これを見て…」
そう言うと、美香は一枚のレントゲン写真を優に見せた。
「こ、これは!?」
つづく…
でも、お父さんは、私以上に負けず嫌いの人だった…
だから、例え自分が正しくない状況だったとしても、周りの人を強引に屈服させるような気質は確かにあったわ…
でも、少なくとも私たち身内の人間にはとても優しい人だった…
私はお父さんがいてくれたからこそ、今の自分があったし、たくさんの敵からずっと私のことを守ってくれたの…
そんなお父さんを、私は今でも尊敬してる。
かと言って、私のこの右足を治してくれた院長先生のことも、私は感謝しています。
でも、そんな院長先生は私の大切なお父さんとお母さんの命を奪った人間…
ごめんなさい… 私、やっぱりあなたとは…
あなたとは、一緒になれない…」
あの小雪の舞うスケートリンクで渡された指輪を、そっと大空優に返す琴音。
そして、泣きながらその場を走り去る琴音。 その彼女を追いかけようとする優。
その彼の肩を抑えて、首を横に振りながら無言で止める母親の美香。
しかし、遠くに走り去り、小さくなったその琴音が、勢いのあまり地面に転倒する!
地面に倒れ込んで苦しむ琴音のところへ全員が走ってゆく。
「大丈夫か?琴音さん!」
「あ、足が、足が痛い…」
「白井さん!救急車を呼んで!」
転倒した勢いで、足と頭を大きく地面に打ち付け、頭からの出血が酷い!
そして、彼女は救急車で大空診療所へ運ばれ、琴音はドクターである美香と優、ナースの白井から応急処置を受ける。
その夜、琴音は病室のベッドで、頭を包帯で巻かれた状態で鎮静剤により眠っていた。
「頭部のケガの方は、軽い挫傷程度で大丈夫。 脳にも影響はないようね。」
医務室で琴音の頭部レントゲン写真を見ながら、美香は優にそう告げた。
「で、でも、母さん! あの時、確か琴音さんは『足が痛い』って言っていたよ!
ま、まさか、完治した右足が再発したんじゃないよね!?」
「違うわ… 火葬場で転倒したあの時、琴音さんが痛みを訴えていたのは…
右足ではなく、左足の方だったのよ…」
「えっ!? ど、どういうこと!?」
「これを見て…」
そう言うと、美香は一枚のレントゲン写真を優に見せた。
「こ、これは!?」
つづく…
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