奇跡のクインティプルアクセル ~ 5回転半ジャンプ ~

タヌキのポンちゃん

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【第1部】~ 再起をかけた5回転半ジャンプ ~

更なるサプライズ

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「ゴメンね琴音さん。
 これまで息子の優がリハビリに遅れてきたり、無断で休んだりして。」

「実は優が研修会に行っていたというは、全部ウソなんだ… ^^;」

「それでね、優は琴音さんの退院祝いは絶対この場所でするんだっ!! ってきかなくて、
 琴音さんのリハビリ担当を休んででも、ここに通ってスケートの特訓を受けていたのよ… 
 バカ息子でしょう? ^^;」

微笑みながら琴音へ謝罪する大空正と大空美香。
その粋な計らいに、無言で苦笑いをする琴音。

「じゃが、何でも今日はこのスケート場を貸し切ったそうじゃぞ!!(笑)」
「え~っ!? うちの診療所は患者さんも少ないし、そんな余裕はないはずなのに、
 院長先生と美香先生は奮発したのねぇ~♪」
「コラっ!! 白井さん! ナースのあなたが余計な心配するんじゃないのっ!!」
「すみませ~ん…」

その光景を見て微笑む一行。
そして、その和やかなムードからそっと抜け出し、優のいるリンク中央へとゆっくり滑りながら近づく琴音。

「できるの? フィギュアスケート。(微笑み)」
「じゃあ、お手並みを拝見してみては? お嬢さん?(微笑み)」

優はそっと片手を差し出して、ニッコリ微笑みながらそう答えた。
優の差し出した手をそっと握り返し、二人はゆっくりとリンクを滑り始める…

クリスタルホワイトに輝く氷上を、自由に滑りまわる二人。
琴音は、その長いブランクを全く感じさせないほどの天才的な滑りだった。



ダブルルッツ ⇒ 4回転トウループ ⇒ トリプルアクセル ⇒ 3回転サルコウ ⇒ 4回転アクセル ⇒ レイバックスピン

大技を連発し、小雪の舞う空中を華麗に飛び回る琴音。

その右足は、まるでこれまで何もなかったかように、もうすでに完治していた。
琴音がジャンプをするごとに、その衣装に散りばめられたスワロフスキーがライトに反射して金色に光輝く…

だが驚いたことに、琴音のサポート役になった優だったが、とても短期間で特訓を受けたという初心者の滑りではく、
琴音のリードに見事についてきていた。
そして、お互い初めて滑り合う二人だったが、そのコンビネーションは目を見張るほどの完璧なものだった。

やがて、二人だけの演技をゆっくりと終える…
演技を終えた二人は、再びリンク中央に戻ってくる。

そして、少し息を切らした優が…
その優が琴音に何かを差し出してきた。 それは…

                                  つづく… 
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