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【第1部】~ 再起をかけた5回転半ジャンプ ~
金色のスケート靴
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お父さんとお母さんは倒壊した家の大きな柱に体が挟まれて、もう身動きが取れない状態だったの!
そんな両親に猛烈な炎が着実に迫っていて、お父さんとお母さんを呑み込むのはもう時間の問題だった。
『琴音ーーーっ! 明日の国内戦! 絶対に優勝するんだっ! いいな~っ!!』
そして、オリンピックで金メダルを獲れっ!!
世界一になって、お前のことを馬鹿にした連中を見返してやるんだっ!!』
『琴ちゃん、体に気を付けて、長生きしてね…
無理しちゃ駄目よ。自分を大事にしてね…
お父さんとお母さんは、空からあなたのことをちゃんと見ているからね…』
「お父さーーーん! お母さーーーん! いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
・・・・・ それが、お父さんとお母さんの最期の言葉だった…
大粒の涙を流す琴音。そんな彼女を優しく包み込む優。
「お父さんとお母さんはもういないけど、私には、フィギュアスケートがあるの。
お父さんとお母さんからの魂の込められた、このフィギュアスケートが!」
金色に輝く自分専用のスケート靴を握りしめる琴音。
「大好きだった両親を突然一度に亡くしてしまって、私は深い悲しみに落ちたわ。
そんな状態で、翌日の国内戦に出場するなんて、私には到底考えられなかったの。
頭が真っ白になってしまって、もうフィギュアスケートもオリンピックの夢のことも諦めようかと。」
『琴音ーーっ! お前は両親の遺言に背くのかぁーーっ!?
天国にいる両親は、お前がオリンピックで金メダルを獲るのを心待ちにしているんだぞっ!!』
「…って、コーチが私を説得して、結局、国内戦には出場することになったんだけど、
一瞬の心の迷いかな? 5回転半ジャンプでミスして足に大ケガをしたという惨めな結末になってしまって。
情けないね…(笑)」
「無理もないよ。 琴音さんはよく頑張ったよ。 でも、お父さんとお母さんのことは、気の毒だったね…
真冬だったんだよね? 火事の原因は、きっと暖房器具か何かだったんだろうね。」
「放火よ…」
視線を下の方へ反らし、哀しげにそう呟く琴音。
つづく…
そんな両親に猛烈な炎が着実に迫っていて、お父さんとお母さんを呑み込むのはもう時間の問題だった。
『琴音ーーーっ! 明日の国内戦! 絶対に優勝するんだっ! いいな~っ!!』
そして、オリンピックで金メダルを獲れっ!!
世界一になって、お前のことを馬鹿にした連中を見返してやるんだっ!!』
『琴ちゃん、体に気を付けて、長生きしてね…
無理しちゃ駄目よ。自分を大事にしてね…
お父さんとお母さんは、空からあなたのことをちゃんと見ているからね…』
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・・・・・ それが、お父さんとお母さんの最期の言葉だった…
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そんな状態で、翌日の国内戦に出場するなんて、私には到底考えられなかったの。
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「無理もないよ。 琴音さんはよく頑張ったよ。 でも、お父さんとお母さんのことは、気の毒だったね…
真冬だったんだよね? 火事の原因は、きっと暖房器具か何かだったんだろうね。」
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つづく…
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