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伯爵家
第10話 真実と力
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俺はがたがたと揺れる馬車の中で仮面と目の間に黒い穴を作り、屋敷の光景を眺めていた。及第点といったところか……。俺が先ほどの戦いを見た評価を下す。序盤の奇襲は相手の虚を突き完全に自分の流れを作れていたがあのリーダー格の男を初撃で仕留められず心理戦に持ち込まれたのはいただけなかった。
彼女の戦闘技術は盗賊たちより若干ではあるが優れていたため会話をせずに問答無用で追撃していれば問題なく勝利できていた。結局、仕込みを使う羽目になってしまった。まあ、無事に初めての実戦を切り抜けられただけ良しとするか。俺は思考を打ち切ると目の前に空いている黒い穴を閉じる。
さて、俺も俺のやるべきことをするとしよう。
「夫人聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ええ、どうぞ」
「では、お言葉に甘えて。単刀直入に聞きますが私とお嬢様を殺そうと考えてますよね」
さらりと発せられた発言に夫人は一瞬顔をこわばらせたが、すぐに表情を正す。
「何を言っているのかしら。私がそんなことをするわけがないじゃない」
「まあ、すぐに白状するとは思っていませんよ。なので順に私の考えを伝えようと思います。それでもそう思うならその考えを貫いても構いません」
夫人は表情こそ変えなかったが、内心動揺しているのだろう。唇がかすかに震え、心なしか膝の上に乗せた手を握る力が強くなっているようだ。それもそうだ。実際、彼女の状況は処刑を待つ囚人のようなものなのだから。だが、彼女はそれでも平静とした様子を崩さない。ばれはしないと高を括っているのだろう。実に愚かなことだ。
「まず一つ目におかしい点は一週間滞在していてあなたの姿を見た回数が数回しかなかったことです。貴族が屋敷から離れて行う業務はそう多くありません。それに今はまだ当主が死んで一月です。この時期ならば身辺整理や次期当主を迎えるための準備などで忙しいはず。それなのに一週間ほとんど屋敷にいないのは変です」
「それは単にあなたが屋敷に滞在している期間なら安心して屋敷を離れられるから外に出る用事を集中させただけです!」
「夫人、落ち着いて下さい。今のは少し変だと思った程度のことです。ここからが本題なので最後まで聞いてください」
夫人は渋々といった様子で口をつぐむ。まだ、色々と言い訳をしたかったのだろう。俺は確信を持っているため無意味な行為でしかないが夫人はまだそれがわかっていないようだ。
「二つ目ですがこれです」
俺は空中に黒い穴を出現させるとそこから日記帳のようなものを取り出した。表紙には銀糸で竜の姿が描かれており、すべてのページが木から作られた者でなく特別な羊皮紙で作られている。
「これが何かわかりますか。夫人」
「主人の日記帳ですね。使っていないようなのにやけに華美だったので覚えています。それよりもなぜあなたがそれを持っているのですか?」
「すみません。数日前に執事の人に頼んで伯爵のお部屋を見せて頂いたのですよ。そのときに気になる点を見つけたので持ってきてしまいました。夫人がその時にいらしたのなら確認を取ったのですが……」
「持ってきてしまったのは仕方ありません。後で返してもらえれば結構。それで気になる点とは?」
「この日記帳はすべてが白紙で一見使っていないように見えますがこのように魔力を流すと……」
開かれた何も書かれていなかったページに見る見るうちに文字が浮かび上がって来る。
「このように読めるようになります」
夫人の体がびくりと震え、瞳孔が開かれている。自分の知らなかった事実が目の前に現れ動揺しているのだろう。それにこの日記はわざわざ文章を隠してあったのだ。つまりは夫人にとって不都合な事実が書かれている可能性が高い。もし、遺言で財産や次期当主についての指定があればまずいとでも夫人は考えているのだろうが見当外れも甚だしい。
「その中でも私が気になったところを読み上げます。【私は結局冒険者にはなれなかった。死をまじかにしてもこの後悔は晴れない。貴族に生まれて幸せを感じたときは亡き妻と結婚し、最愛の娘が生まれたことだけだろう。だから、私は誓った。最愛の娘を貴族という鎖から解き放とうと。願わくばその生のなかで私の遺志を引き継ぎ、冒険してほしい】これを聞いてどう思いますか?」
夫人は先ほどと違い平然とした様子で答える。
「あの人がそんなことを思っていたとは知りませんでした。亡き夫の願いを私は叶えてあげたい。ですが、この国の法律上不可能なのです。残念でなりません」
俺は心の中でため息をついた。せっかく丁寧に説明しているのにまだ気づかないとは。このままでは埒が明かない。早く話の核心をつくかと俺は決断する。
「……そうですか。まだそんなことが言えるとはあなたの面の皮は随分厚いようですね。では、もう一つ気になった点をお話しします。【策は考えた。そしてそれを王子に託した。あいつは腹黒だが約束は守る男だ。あいつならフランシスを上手く利用し、私の策以上のことをやってのけるだろう。結末を見届けられないのは残念だがこれで安心して最後を迎えられる】これでどうでしょうか。理解できましたか? 今の状況を」
「そんな……まさか……そんなことが……」
夫人は唇をわなわなと震わせ、その顔には絶望の表情を浮かべていた。つまりはようやく理解したのだ。俺やお嬢様を殺そうとしようとしたこと自体が王子の策だということを。おそらく王子は夫人がお嬢様を殺害する日取りを調整し、その日に俺を緊急の依頼と称して派遣することで計画を崩して焦らせたのだ。
あと数日で月が替わり、シンシアが十五になる日が来てしまう。そのことを利用しようと考えたのだろう。日程の調整はあの人がいるため簡単であろうし、王子が気にかけて指南役まで送る令嬢なら婚約相手もすぐに見つかり、その人物が当主になってしまう。そうなれば彼女の目的であるアイヴァー伯爵家の当主になることが実現不可能になってしまい、彼女が伯爵と結婚した意味がなくなる。まあ、この情報はある人物が雑談で話していたことだったのだが以外にも役に立った。人生いつ何が必要になるかわからないものだ。
「……こうなったら!」
夫人は胸元から小さな球体を取り出し、床にたたきつけた。球体は粉々に砕け破片をまき散らした。おそらくは連絡用の魔導具だろう。外の奴らに合図を送ったの可能性が高い。その直後、その考えを肯定するように俺の肩を背後から馬車の壁を突き破り槍が貫いた。その穂先からはぽたぽたと血が滴り落ちる。
「あなたには予定通り死んでもらいます。確かに王子がこの状況を作った以上爵位は諦めなければなりません。仕方がないので伯爵家の財産とあなたの装備を回収して国外逃亡でもしましょう。あなたの装備はさぞ高く売れるのでしょうね」
夫人は演技をやめたのか見せたことのない歪んだ笑みを浮かべていた。まさに悪党、そう言いたくなる態度の豹変だ。だが、俺にはその様子がひどく滑稽に見えた。何故なら今彼女が殺そうとしている相手は国でさえ正面から戦おうとはしない本物の強者なのだから。
「夫人、盛り上がっているところすみませんがあなたに勝ち目はありません。それをお見せしましょう」
その瞬間世界が黒く染まり、夫人の体は宙に投げ出される。焦げ茶色をした木製の馬車が一瞬で赤黒く変化し、馬車を引いていた馬型ゴーレムが崩れ落ちる。その衝撃で夫人は馬車の外にいつのまにか放り出されていた。頭を強く打ったせいか、意識が混濁している。
「何が起きたの! あいつはどこに!」
夫人は傷ついた体をふらふらと起こし目の前の光景に驚愕した。黒く変色した馬車から針山のように無数の棘のようなものが生えており、それに数十人の人間が貫かれぶら下がっていた。
「ひっ!」
思わす目の前の凄惨な光景に後ずさる。その時何がを踏みつけてしまい転倒する。
「今度はな……に……」
そこには人の首が転がっていた。それも一つではない見渡して見ると少なくとも数十人分は転がっていた。夫人が用意した人数は五十人である。つまり、ほとんどあるいはすでに全滅したということだ。
「……こんなことが」
夫人が悲痛な声を漏らしたその時、背後から忌々しい声が聞こえた。
「あるんですよ。夫人。これが現実です」
振り向くとそこには仮面の男が立っていた。その体には槍で貫かれた以外の傷は見当たらず、手には黒い棒のようなものが握られていた。
「どうやったっていうの! あの数を一瞬でなんて!」
「言うほど一瞬というわけではありませんよ。およそ全滅させるまで一分ほどかかりました。少しの間気絶でもしていたのではないですか。ああ、どうやったのかでしたね。こうやったんです」
そう言うと黒い棒のような物振る。それが鞭のような形状に変化し、数十メートルは離れている木を切断した。
「死にゆくあなたに特別に説明してあげましょう。私の本来の魔法は自らの血が触れた物体を支配しその強度を大幅に強化し形状及び構造を自在に変化させるものです。だから、馬車を針山のように変えれられ、背後から刺された槍も正面から引き抜ける。ああ、そういえばこの魔法を使ったものは例外なく黒くなるという共通点もありますね」
俺は変形した馬車や黒い棒のようなもの見ながらそう発言した。
化け物だ。こんな相手を殺すことなんて不可能だ。今更ながらフランシスは後悔の念に駆られていた。
「さて、ネタ晴らしもしましたし、次はあなたの番ですよ」
夫人は恐怖のあまり硬直して動けない。そこに俺は容赦なく黒い槍を振るう。だが、それは夫人の首すれすれで止まった。殺すわけはない。こいつには今回の犯人として裁かれてくれなければならないのだから。
これで任務完了だな
俺は泡をぶくぶくと吹き、気絶している夫人を前にそう思った。
彼女の戦闘技術は盗賊たちより若干ではあるが優れていたため会話をせずに問答無用で追撃していれば問題なく勝利できていた。結局、仕込みを使う羽目になってしまった。まあ、無事に初めての実戦を切り抜けられただけ良しとするか。俺は思考を打ち切ると目の前に空いている黒い穴を閉じる。
さて、俺も俺のやるべきことをするとしよう。
「夫人聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ええ、どうぞ」
「では、お言葉に甘えて。単刀直入に聞きますが私とお嬢様を殺そうと考えてますよね」
さらりと発せられた発言に夫人は一瞬顔をこわばらせたが、すぐに表情を正す。
「何を言っているのかしら。私がそんなことをするわけがないじゃない」
「まあ、すぐに白状するとは思っていませんよ。なので順に私の考えを伝えようと思います。それでもそう思うならその考えを貫いても構いません」
夫人は表情こそ変えなかったが、内心動揺しているのだろう。唇がかすかに震え、心なしか膝の上に乗せた手を握る力が強くなっているようだ。それもそうだ。実際、彼女の状況は処刑を待つ囚人のようなものなのだから。だが、彼女はそれでも平静とした様子を崩さない。ばれはしないと高を括っているのだろう。実に愚かなことだ。
「まず一つ目におかしい点は一週間滞在していてあなたの姿を見た回数が数回しかなかったことです。貴族が屋敷から離れて行う業務はそう多くありません。それに今はまだ当主が死んで一月です。この時期ならば身辺整理や次期当主を迎えるための準備などで忙しいはず。それなのに一週間ほとんど屋敷にいないのは変です」
「それは単にあなたが屋敷に滞在している期間なら安心して屋敷を離れられるから外に出る用事を集中させただけです!」
「夫人、落ち着いて下さい。今のは少し変だと思った程度のことです。ここからが本題なので最後まで聞いてください」
夫人は渋々といった様子で口をつぐむ。まだ、色々と言い訳をしたかったのだろう。俺は確信を持っているため無意味な行為でしかないが夫人はまだそれがわかっていないようだ。
「二つ目ですがこれです」
俺は空中に黒い穴を出現させるとそこから日記帳のようなものを取り出した。表紙には銀糸で竜の姿が描かれており、すべてのページが木から作られた者でなく特別な羊皮紙で作られている。
「これが何かわかりますか。夫人」
「主人の日記帳ですね。使っていないようなのにやけに華美だったので覚えています。それよりもなぜあなたがそれを持っているのですか?」
「すみません。数日前に執事の人に頼んで伯爵のお部屋を見せて頂いたのですよ。そのときに気になる点を見つけたので持ってきてしまいました。夫人がその時にいらしたのなら確認を取ったのですが……」
「持ってきてしまったのは仕方ありません。後で返してもらえれば結構。それで気になる点とは?」
「この日記帳はすべてが白紙で一見使っていないように見えますがこのように魔力を流すと……」
開かれた何も書かれていなかったページに見る見るうちに文字が浮かび上がって来る。
「このように読めるようになります」
夫人の体がびくりと震え、瞳孔が開かれている。自分の知らなかった事実が目の前に現れ動揺しているのだろう。それにこの日記はわざわざ文章を隠してあったのだ。つまりは夫人にとって不都合な事実が書かれている可能性が高い。もし、遺言で財産や次期当主についての指定があればまずいとでも夫人は考えているのだろうが見当外れも甚だしい。
「その中でも私が気になったところを読み上げます。【私は結局冒険者にはなれなかった。死をまじかにしてもこの後悔は晴れない。貴族に生まれて幸せを感じたときは亡き妻と結婚し、最愛の娘が生まれたことだけだろう。だから、私は誓った。最愛の娘を貴族という鎖から解き放とうと。願わくばその生のなかで私の遺志を引き継ぎ、冒険してほしい】これを聞いてどう思いますか?」
夫人は先ほどと違い平然とした様子で答える。
「あの人がそんなことを思っていたとは知りませんでした。亡き夫の願いを私は叶えてあげたい。ですが、この国の法律上不可能なのです。残念でなりません」
俺は心の中でため息をついた。せっかく丁寧に説明しているのにまだ気づかないとは。このままでは埒が明かない。早く話の核心をつくかと俺は決断する。
「……そうですか。まだそんなことが言えるとはあなたの面の皮は随分厚いようですね。では、もう一つ気になった点をお話しします。【策は考えた。そしてそれを王子に託した。あいつは腹黒だが約束は守る男だ。あいつならフランシスを上手く利用し、私の策以上のことをやってのけるだろう。結末を見届けられないのは残念だがこれで安心して最後を迎えられる】これでどうでしょうか。理解できましたか? 今の状況を」
「そんな……まさか……そんなことが……」
夫人は唇をわなわなと震わせ、その顔には絶望の表情を浮かべていた。つまりはようやく理解したのだ。俺やお嬢様を殺そうとしようとしたこと自体が王子の策だということを。おそらく王子は夫人がお嬢様を殺害する日取りを調整し、その日に俺を緊急の依頼と称して派遣することで計画を崩して焦らせたのだ。
あと数日で月が替わり、シンシアが十五になる日が来てしまう。そのことを利用しようと考えたのだろう。日程の調整はあの人がいるため簡単であろうし、王子が気にかけて指南役まで送る令嬢なら婚約相手もすぐに見つかり、その人物が当主になってしまう。そうなれば彼女の目的であるアイヴァー伯爵家の当主になることが実現不可能になってしまい、彼女が伯爵と結婚した意味がなくなる。まあ、この情報はある人物が雑談で話していたことだったのだが以外にも役に立った。人生いつ何が必要になるかわからないものだ。
「……こうなったら!」
夫人は胸元から小さな球体を取り出し、床にたたきつけた。球体は粉々に砕け破片をまき散らした。おそらくは連絡用の魔導具だろう。外の奴らに合図を送ったの可能性が高い。その直後、その考えを肯定するように俺の肩を背後から馬車の壁を突き破り槍が貫いた。その穂先からはぽたぽたと血が滴り落ちる。
「あなたには予定通り死んでもらいます。確かに王子がこの状況を作った以上爵位は諦めなければなりません。仕方がないので伯爵家の財産とあなたの装備を回収して国外逃亡でもしましょう。あなたの装備はさぞ高く売れるのでしょうね」
夫人は演技をやめたのか見せたことのない歪んだ笑みを浮かべていた。まさに悪党、そう言いたくなる態度の豹変だ。だが、俺にはその様子がひどく滑稽に見えた。何故なら今彼女が殺そうとしている相手は国でさえ正面から戦おうとはしない本物の強者なのだから。
「夫人、盛り上がっているところすみませんがあなたに勝ち目はありません。それをお見せしましょう」
その瞬間世界が黒く染まり、夫人の体は宙に投げ出される。焦げ茶色をした木製の馬車が一瞬で赤黒く変化し、馬車を引いていた馬型ゴーレムが崩れ落ちる。その衝撃で夫人は馬車の外にいつのまにか放り出されていた。頭を強く打ったせいか、意識が混濁している。
「何が起きたの! あいつはどこに!」
夫人は傷ついた体をふらふらと起こし目の前の光景に驚愕した。黒く変色した馬車から針山のように無数の棘のようなものが生えており、それに数十人の人間が貫かれぶら下がっていた。
「ひっ!」
思わす目の前の凄惨な光景に後ずさる。その時何がを踏みつけてしまい転倒する。
「今度はな……に……」
そこには人の首が転がっていた。それも一つではない見渡して見ると少なくとも数十人分は転がっていた。夫人が用意した人数は五十人である。つまり、ほとんどあるいはすでに全滅したということだ。
「……こんなことが」
夫人が悲痛な声を漏らしたその時、背後から忌々しい声が聞こえた。
「あるんですよ。夫人。これが現実です」
振り向くとそこには仮面の男が立っていた。その体には槍で貫かれた以外の傷は見当たらず、手には黒い棒のようなものが握られていた。
「どうやったっていうの! あの数を一瞬でなんて!」
「言うほど一瞬というわけではありませんよ。およそ全滅させるまで一分ほどかかりました。少しの間気絶でもしていたのではないですか。ああ、どうやったのかでしたね。こうやったんです」
そう言うと黒い棒のような物振る。それが鞭のような形状に変化し、数十メートルは離れている木を切断した。
「死にゆくあなたに特別に説明してあげましょう。私の本来の魔法は自らの血が触れた物体を支配しその強度を大幅に強化し形状及び構造を自在に変化させるものです。だから、馬車を針山のように変えれられ、背後から刺された槍も正面から引き抜ける。ああ、そういえばこの魔法を使ったものは例外なく黒くなるという共通点もありますね」
俺は変形した馬車や黒い棒のようなもの見ながらそう発言した。
化け物だ。こんな相手を殺すことなんて不可能だ。今更ながらフランシスは後悔の念に駆られていた。
「さて、ネタ晴らしもしましたし、次はあなたの番ですよ」
夫人は恐怖のあまり硬直して動けない。そこに俺は容赦なく黒い槍を振るう。だが、それは夫人の首すれすれで止まった。殺すわけはない。こいつには今回の犯人として裁かれてくれなければならないのだから。
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