上 下
34 / 38
上司が恋愛対象です

5-3

しおりを挟む
新庄さんから離れて
牧田さんの近くに寄る。

「牧田さん、ごめん。一緒に行けない。」と
断ると

「アオくん、一緒に行けないのは、好きな人が出来たから?」と牧田さんが新庄さんの方を見ながら俺に耳元で聞いてくる。

驚きすぎて咄嗟に耳を押さえる。

バ、バレてる!

瞬間、ボッと顔が熱くなった。

「な、な、なぜ、それを、、、!!」

「ふぅ~ん。さっきのアレはそう言う事、そっか。うん。おめでとう。」と牧田さんは1人で納得しておめでとうと言ってくれる。

「、、、ありがとうございます?」とよくわからなくて曖昧にお礼をすると

「時間だ。」と言って新庄さんが首根っこ掴んでくる。

「ふふ。もし、慰めが欲しくなったら僕の所においで。」と牧田さんが微笑むと

「それは無い。」と新庄さんが断言して
俺の手を引いてその場から連れ出される。


店から出る時、少し騒がしかったが、
俺はそれどころではなく
牧田さんにバレた事も
新庄さんが怒っている事も
俺の心を乱した。

~~~~~~

気まずい。

2人っきりになって

気まずさが2人の間に流れている。

非常に声をかけづらいのは

新庄さんが俺の手を引いたまま

無言で俺の前を歩いて

背中から怒りのオーラを感じまくってるせいなのだが

店での会話を聞かれたのか確認したくても

答えてくれる状況ではないし、

一向に、手は離してくれないし、

どうしたら良いのか分からず、

ただ、気まずい。

俺が全面的に悪いのは分かっている。

新庄さんを怒らせた。

自分の家に帰るなんて言って

帰ってなかったんだから、嘘ついたも同然だし

怒るのは当たり前だ。

新庄さんを怒らせて、嫌われたら

俺、生きていけるかな。

その前に、生きてる意味ある?俺、オメガだし。

気持ちが沈めば、同様に目線は下がるもので

新庄さんに進行方向は任せっきりになる。

あぁ。

あのの返事はどうするんだろ。

羨ましいくらい

お似合いだったもんな。

新庄さんの下の名前、、、


、、章人あきとさん。

ははっ。似合わねえ。

やっぱり俺には過ぎた望みだよな。

「碧。」

立ち止まった新庄さんの背中にギリギリで

衝突しなかった俺は名前を呼ばれて

顔を上げる。

気がつけば、新庄さんのマンションの前にいた。

「碧。話があるから、今日は泊まって行け。」と

それだけ言うと、また、新庄さんは歩き出す。

「えっ。」

いつもは俺の意見を聞くのに、

一方的に言って俺の手を離さない。

怖い。

新庄さんの話を聞きたくない。

聞くのが怖い。

「し、新庄さん。お、俺帰っ。」

「ダメだ。逃がさない。」














しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

聖女との婚約を破棄したが余は悪魔ではない!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:353

お前らなんか好きになるわけないだろう

BL / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:143

婚約破棄が多すぎる

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:324

不憫少年は異世界で愛に溺れる

BL / 連載中 24h.ポイント:220pt お気に入り:2,745

深淵を泳ぐ鳥たち

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:53

いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

BL / 連載中 24h.ポイント:1,556pt お気に入り:10,029

運命に翻弄される俺達は

BL / 完結 24h.ポイント:1,718pt お気に入り:25

【完結】薔薇の花をあなたに贈ります

恋愛 / 完結 24h.ポイント:191pt お気に入り:2,525

処理中です...