BL可哀想なΩを俺が喰ってしまいたい

羅美奈

文字の大きさ
上 下
28 / 38
上司が恋愛対象です

4-6

しおりを挟む
仕事の帰り道、
新庄さんの隣を歩くこの時間が俺は好きだ。

他愛のない話をして

触れるか触れないかくらいの
もどかしい距離にドキドキして

新庄さんの視線を独り占めに出来る。

ポケットにしまった飴玉をポケットの上から

そっと触れた。

「そう言えば今日の夜ご飯は何が良い?」と
新庄さんに聞かれて

「新庄さんが食べたい物を食べたいです。」と
本音が口をついて出た。

あっ、やべ。新庄さんの事考えてたから
変な事言っちゃった!と思いつつ新庄さんをの
反応を見るとやっぱり少し目を見張っている。

訂正か、冗談だったと笑い飛ばすか考えていると

「俺が食べたい物か、、、よし。行くぞ。」と
俺の腕を掴んで引っ張っていく。

「えっ、ちょ、あの!」
突然触れられて驚く俺を無視して
ズンズン進んでいく。


手を繋いでいる訳じゃないのに
触られている腕から新庄さんの体温を感じて
嬉しくなる。

少し強引で、でも触れ方は優しくて、
力の加減も完璧。
周りの視線なんか気にも留めない。

俺の視線に映るのは新庄さんの背中だけ。

身長も肩幅も俺より大きい新庄さんを眺める。

この瞬間、時間が止まって仕舞えばいいのにと
思ってしまう。

大魔王・大天使と書かれた意味深な
のれんの前で止まり新庄さんはその扉を開ける。
「いらっしゃいませ!」と中から声が聞こえて、
女の店員さんが駆け寄る。

「あきくんじゃない!いらっしゃい!いつもの所空いてるよ!って、あら?こちらは?」

と、俺に気付いた女の人が尋ねてくる。
綺麗な顔立ちで、新庄さんと並んでも負けてない。
絵になる2人って感じで、なんとも言えない気持ちになる。

「俺の会社の部下。悪いけど、個室空いてるか?」

と新庄さんが聞くと、確認すると言ってパタパタと離れていった。

「し、新庄さん、手を、、、」

「ん、あぁ。握ったままだったな。悪い。」

そう言って手を離す新庄さんに
名残惜しくなるが、さすがに店の中に入ってまで

腕を掴んでいるのはあらぬ誤解を招きかねないと
自分に言い聞かせる。

「個室大丈夫だっだよー。」と俺たちが靴を仕舞っている所に女の人がお盆を持ちながら戻ってきて席へ案内してくれる。
案内している時にも新庄さんと話は弾んでいるようで、俺が入る隙なんてない。

「おしぼりとお冷です。あきくん。今度、時間ある?」

「ない。」
と、新庄さんは即答するものの、食い下がってくる
女に、イラっとしながら成り行きを見守る。

「えぇ~。連絡するから時間作って!」

と、新庄さんに言う女に愕然とする。

嘘だろ。

俺すら知らない新庄さんの連絡先を
この女知ってんのかよ!

嫉妬と、苛立ちと、悔しさに

耐えられない。

ダメだ。

此処に居たくない。




















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

元ベータ後天性オメガ

桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。 ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。 主人公(受) 17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。 ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。 藤宮春樹(ふじみやはるき) 友人兼ライバル(攻) 金髪イケメン身長182cm ベータを偽っているアルファ 名前決まりました(1月26日) 決まるまではナナシくん‥。 大上礼央(おおかみれお) 名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥ ⭐︎コメント受付中 前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。 宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

処理中です...