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恐怖のアンデットライン農園へ!首無し騎士と拗らせ女神のアイスクリームパーラー
アトランテのラブアタック
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農園にある屋敷の談話室で、左王はマンツーマンでエリザに新大陸語を教えていた。
その後ろで、側近のイルカルはエリザの赤ちゃんを抱っこして、子守りをしている。
「大公様に直に勉強を見てもらえるなんて、本当に光栄ですわ。ありがとうございます」
オリヴィア小国の左王は有名人だ、その美貌と数々の勇者伝説で知らない者はいなかった。
もちろんソレイユ国で田舎の男爵家の娘だったエリザも知っていて、少女時代は憧れていたものだ。
「暇だから別に良い。……それより、お前の旦那をどうにかしてくれ。ずっと扉の合間からこちらを監視していて鬱陶しいぞ」
「え?……あ……、あなた……?」
談話室の扉の向こうには、エリザの旦那が張り付いていた。
彼は、エリザと目が合うとキョドりだした。
自分の妻が、左王と談話室に閉じこもっていると聞いて、慌てて駆け付けたんだろう。
「あっ……いや、すみません……左王様……。えっと、エリザ……」
「勉強なら、後は旦那に教わればいいだろう。俺はもう席を外すぞ」
エリザ夫妻は顔を見合わせ、お互いにはにかんでいた。
「はい。貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」
左王とイルカルは、談話室に夫妻を残し、外へ出た。
そして、階段の手前で待ち伏せしていたアトランテがイノシシの如く襲いかかる。
「アーン♡左王様~、ここにいたんですね~♡」
両手を広げて抱き着かれそうになった左王は、イルカルを盾に彼女の突進をかわした。
「避けちゃうなんて、やーん♡」
「何度頼まれようが、俺は結婚するつもりはないぞ。諦めろ」
「うふふ♡いやでーす!」
こうやって、四六時中アトランテに猛アプローチされ続けていた左王は、もううんざりといった様子だった。
「俺と結婚してどうするつもりなんだ」
「うへへ♡スキな人と結ばれたいって望むのは自然なことじゃない♡みんなに祝福されながら結婚式だって挙げたいし~ステキなウェディングドレスを着るのは女の子の憧れよ♡」
「俺には何のメリットもないな」
「あるわ!シーズ様と結婚したら~、妻として、そばで旦那様の身の回りのお世話をするし、精一杯サポートするわ♡それにぃ~、アタシ、昔はそこそこ腕のある騎士だったから守ってもあげられるし~♡」
「それなら、俺にはもう側近のイルカルがいるから間に合っている。必要ない」
「ハァ?」
さっきまでデレデレとした表情だったアトランテの顔は恐ろしい形相になり、左王の隣に立っていたイルカルを視線で殺すくらいの鋭さで、睨み付けた。
イルカルは蛇に睨まれたネズミのように硬直した。
「へ、へえ~…そう~?じゃあ、ソイツを消せばぁ~、アタシがシーズ様の妻になれるってこと~?」
「ヒィ~!?」
物騒なことを呟いている。
イルカルは絶叫していた。
「そうだな、じゃあ、俺は外を散歩してくる」
テキトーな返答をし、左王はさっさと階段を下りて行った。
イルカルは悲鳴をあげながら左王の背中を追いかける。
「もう~!左王様ってば~」
その後ろで、側近のイルカルはエリザの赤ちゃんを抱っこして、子守りをしている。
「大公様に直に勉強を見てもらえるなんて、本当に光栄ですわ。ありがとうございます」
オリヴィア小国の左王は有名人だ、その美貌と数々の勇者伝説で知らない者はいなかった。
もちろんソレイユ国で田舎の男爵家の娘だったエリザも知っていて、少女時代は憧れていたものだ。
「暇だから別に良い。……それより、お前の旦那をどうにかしてくれ。ずっと扉の合間からこちらを監視していて鬱陶しいぞ」
「え?……あ……、あなた……?」
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彼は、エリザと目が合うとキョドりだした。
自分の妻が、左王と談話室に閉じこもっていると聞いて、慌てて駆け付けたんだろう。
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「勉強なら、後は旦那に教わればいいだろう。俺はもう席を外すぞ」
エリザ夫妻は顔を見合わせ、お互いにはにかんでいた。
「はい。貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」
左王とイルカルは、談話室に夫妻を残し、外へ出た。
そして、階段の手前で待ち伏せしていたアトランテがイノシシの如く襲いかかる。
「アーン♡左王様~、ここにいたんですね~♡」
両手を広げて抱き着かれそうになった左王は、イルカルを盾に彼女の突進をかわした。
「避けちゃうなんて、やーん♡」
「何度頼まれようが、俺は結婚するつもりはないぞ。諦めろ」
「うふふ♡いやでーす!」
こうやって、四六時中アトランテに猛アプローチされ続けていた左王は、もううんざりといった様子だった。
「俺と結婚してどうするつもりなんだ」
「うへへ♡スキな人と結ばれたいって望むのは自然なことじゃない♡みんなに祝福されながら結婚式だって挙げたいし~ステキなウェディングドレスを着るのは女の子の憧れよ♡」
「俺には何のメリットもないな」
「あるわ!シーズ様と結婚したら~、妻として、そばで旦那様の身の回りのお世話をするし、精一杯サポートするわ♡それにぃ~、アタシ、昔はそこそこ腕のある騎士だったから守ってもあげられるし~♡」
「それなら、俺にはもう側近のイルカルがいるから間に合っている。必要ない」
「ハァ?」
さっきまでデレデレとした表情だったアトランテの顔は恐ろしい形相になり、左王の隣に立っていたイルカルを視線で殺すくらいの鋭さで、睨み付けた。
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「へ、へえ~…そう~?じゃあ、ソイツを消せばぁ~、アタシがシーズ様の妻になれるってこと~?」
「ヒィ~!?」
物騒なことを呟いている。
イルカルは絶叫していた。
「そうだな、じゃあ、俺は外を散歩してくる」
テキトーな返答をし、左王はさっさと階段を下りて行った。
イルカルは悲鳴をあげながら左王の背中を追いかける。
「もう~!左王様ってば~」
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