シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

恐怖のアンデットライン農園へ！首無し騎士と拗らせ女神のアイスクリームパーラー

(小話)伝説の騎士団の呪い

　強欲な王に陥れられ、無実の罪の汚名を着せられ、処刑された伝説の騎士団ーー。

　総長は最期の瞬間、絶命する寸前ーー“呪い”を遺した。

　伝承では、騎士団を滅ぼした王家にかけた呪術だと言い伝えられている。
　彼の呪いの作用か、それとも偶然か。
　1年も経たないうちに王は崩御ーーその血を引く王族の人間も次々に命を落とし、王家は没落。

　王家の人間達の間では『騎士団の呪い』だと恐れて、騎士達の怨霊に付き纏われ、夜な夜な悪夢に魘されて、気を狂わせてしまう者も居たとか。

　ーーしかし、総長が遺した呪いはそんなものではなかった。

　『何がなんでも生きろ、幸せになるんだ。これが死んだマスターからの最期の命令だ。全うするのが騎士の宿命だ』

　総長は、自身の命を対価に禁じられた魔法〈呪い〉を発動した。
　処刑場で、火に炙られた総長の遺体は、魔法の作用で灰すら残されていなかった…。

「マスターが死んで、総長まで失ってーー、それなのに、僕たちは死ぬ事も許されずーーこのまま、永遠に生き続けろというのですか？…」

　救貧院で育った騎士達には帰る場所や、待ってくれている家族なんていない。

　ーーこれは“呪い”だ。
　“やさしい呪い”。