シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

文字の大きさ
上 下
207 / 262
新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?

epilogue

しおりを挟む
シャルロットとグレース皇子が新婚旅行から帰国して1カ月ほど過ぎた頃ーー。

クライシア大国の城に、ミレンハン国から番犬として10匹の犬と、害獣駆除のために3匹の猫が献納された。
犬達は第一騎士団の寮舎の庭に新たに犬小屋が造られ、騎士団が世話をすることになった。
騎士達はみんな可愛いワンコにメロメロだった。
今日も騎士と番犬がペアになり楽しそうに城内を巡回している。

「ワンちゃんたちみんな良い子だし、お城の中に活気が溢れていいわね」

ただ、クロウはとても不満げだったーー。

今まではチワワ姿で城内を歩けば使用人や騎士や門番からキャッキャッと持て囃されてかまってもらえたり、お菓子をもらえたのに…今では人気や注目を騎士団のワンコ達に奪われてしまっている。

「なんで~?私の方が幻狼だから強いし、国のシンボルだし、かっこいいし可愛いのに~!」

「ふふ、クロウはとてもかっこいいわよ。みんなの分も、私が遊んであげるわ」

シャルロットはオオカミ姿のクロウの首に抱きついた。
単純な性格のクロウの機嫌はすっかり直った。

「うふふ~っ、シャルロット~大好き~」

クロウと2人で回廊を歩いていると、中庭に人集りが出来ていた。

「あら…。陛下だわ。コボルトさんやバルキリー夫人も一緒ね。お茶会かしら」

お日様が照らす中庭、白いパラソルの下でクライシア王と公妾バルキリーが茶会をしていた。
周りには親衛隊や第一騎士団の騎士、侍女らが取り囲む。

クライシア王のプライベートな時間なんだろう、いつもより軽装でニコニコ穏やかに笑いながら騎士団のワンコ数匹と戯れていた。

「ははは、賢い子たちだなあ~」

クライシア王も犬が好きなんだろう。
普段あまり見ることのできないデレデレとした表情で、犬達の顔を撫でていた。
犬達も尻尾を無邪気に振って、王の顔や手をベロベロ舐めている。

そこに幻狼姿のコボルトが唸りながら、割って入った。

「王の身体を無遠慮に舐めるなんて…躾のなってない犬けら共め!退け!退け!野蛮な獣共よ~!レイメイは私の主人だ!近寄るな!」

コボルトは犬達に向かって敵意を剥き出しにして、感情的に吠えている。
クライシア王の身体に自分の身体を擦り付け、犬達からガードしていた。

「コボルト、犬に嫉妬とは大人げないぞ」

クライシア王が苦笑しながらコボルトのおでこに手刀を落とすと、コボルトは魔法にかかりミニチュアピンシャーの犬の姿に変化した。
そしてバルキリー夫人の膝の上に乗せられ、しょんぼりしている。

そんなコボルトを見て、みんな愉快そうに笑っている。
シャルロットも、コボルトの意外な一面を見て、おかしくて笑みをこぼした。

「幻狼はね~、やきもち焼きなの」

クロウが言った。

「ふふ、デジャブだわ」

クロウも、グレース皇子が犬とじゃれ合っていた時にヤキモチ焼いて怒り狂っていたっけ。
シャルロットは旅先での出来事を思い出して、おかしくなった。

そして、ふと考えた。

「ねえ、クロウ。もし私がグレース様の子供を産んだら、その子にも、クロウやグレイや、コボルトさんみたいな幻狼がパートナーになってくれるのかしら?」

「うん、そうなるね~」

「楽しみだわ」

そう遠くない未来、ーー早くそんな幸せな光景が見てみたいとシャルロットは思っていた。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!

宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。 そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。 慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。 貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。 しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。 〰️ 〰️ 〰️ 中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。 完結しました。いつもありがとうございます!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...