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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?

王様の晩餐会

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ーー帰国する日も、あと数日後に近付いて来た。

今晩の晩餐会は、特別にミレンハン国の王様の私室に招かれた。
宮殿の中央にある離宮が丸ごと王様のプライベートな空間であり、国賓どころか、王妃や王子達も許可なく立ち入ることはできない。

「わあ~!グレース様、クロウ。見て、魚拓だわ」

真っ赤な絨毯が敷かれた長い廊下の壁には、沢山の魚拓が飾られていた。
ミレンハン王は自慢げにひとつひとつ見せびらかし、豪快に笑う。

「釣りが趣味なんだ。全部俺が釣ったんだぞ。すごいだろう」

「ええ、とっても!うわあ~!うわぁ~!どれも大振りだわ。美味しそう~!」

魚好きのシャルロットは目を輝かせ、魚拓に食いついていた。
ミレンハン王は満足そうに、シャルロットの横顔を見て微笑む。

魚拓の長廊下を過ぎると、広い応接間に通された。
部屋の中央には巨大な水槽があり、その中を色鮮やかな魚やクラゲが気持ち良さそうに泳いでいた。

その前には金色の豪華なソファーセット、その周りには15匹のダルメシアンが座っていて、犬達はミレンハン王の姿を見るなり嬉しそうに尻尾を振りながら群がってきた。

「王妃様は猫を、王様は犬を飼ってるんだね」

クロウは呟いた。
ミレンハン国の王は、大昔から伝統的にダルメシアンの犬を飼っているそうだ。

「猫好きのナージャ王妃の手前、大きな声では言えんが……俺は俄然犬派なんだ。うちの子達はみんな可愛いだろう」

「ああ、可愛い」

犬好きなグレース皇子は自分に興味津々に寄ってくるダルメシアンの頭や背中を撫でた。
黒チワワのクロウは、他の犬を撫でて楽しげに笑うグレース皇子が気に入らず、気を悪くしてキャンキャン吠えた。

『ヤキモチは見苦しいぞ。バカチワワ』

『やーい、短足ドチビ』

『ふん。王子様の飼ってる犬がこんなピーマン頭のちんちくりんだなんて』

人間のミレンハン王やグレース皇子には犬の言葉は届かないがーーダルメシアン達は鼻で笑いながら黒チワワを取り囲んで小馬鹿にした。

「わーん!ピーマンじゃないもん!短足じゃないもんっ、バカ~!」

シャルロットに泣きつくクロウ。

「どうしたの?クロウ」

「シャルロット~!あいつらがいじめる~!」

「もう、仲良くしなきゃダメよ」

ーー晩餐会として招待されたが、使用人達も部屋から払って、完全にプライベートの宅飲みだった。
ミレンハン王が手ずから酒を注いでくれた。

さっきまで憤慨していたチワワも、ミレンハン王の膝の上でお腹を撫でられご機嫌そうだ。

「新婚旅行は楽しめたか?」

ミレンハン王に尋ねられたシャルロットとグレース皇子は顔を見合わせると、笑って頷く。

「また遊びに来たいわ!」

「いつでも来るといい、盛大に持て成そう」

「ふふ、ありがとうございます」

和やかに笑い合うと、ミレンハン王は入り口付近に姿勢良く立ち、シャルロットの護衛をしていた息子のゲーテに話し掛けた。

「ゲーテ、お前みたいな不良どら息子が、シャルロットちゃんの騎士になると聞いた時は不安しかなかったが、しっかり騎士としての務めは果たしているようだな…、安心したぞ」

「フン、当たり前だ」

「ガハハ、クビにならないように、せいぜい頑張れよ。もしクビになって戻ってきたら、容赦なくマグロ漁船に送り込んでやるぞ」

「ハァ?俺様がクビになるわけないだろう?」

言い合いながらも仲が良さそうな親子を見て、シャルロットは思わず笑ってしまった。

盛えた首都に豪華な宮殿のあるミレンハン国ーー夫婦仲も良好、大家族のアットホームな雰囲気で、シャルロットが憧れる家族像そのもの。

(グレース様やクロウとも、こんな家庭を築いていきたいわ…)

改めてそう願う、シャルロットだった。
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