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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?
食事会
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猫神様が招集した野良猫達が一度に押し寄せて、ヴィラ夫人や密密猟者達は猫の大群に襲われていた。
数時間後には目も当てられないほど憔悴し、顔もすっかりしわくちゃで老けこんでいた。
猫の鳴き声を聞くだけで発狂するまでになっていた。
「やり過ぎたかしら?」
グレース皇子が提案した、お仕置き大作戦に加担したシャルロットは苦笑していた。
「フン!自業自得じゃ!」
猫神様はまだまだ怒っていた。
シャルロットは協力してくれた野良猫たちへ、お手製の猫用クッキーを配っていた。
「今夜は猫の集会の日じゃったから、ここへ集まるように声を掛けたんじゃ。フフン、もうアイツらの顔は国中の野良猫たちに知れ渡ったわい。もう表を出歩けないだろう」
グリムやクロウにグレイ、オーギュスト国のワンコ騎士団がヴィラ夫人の隠れ屋敷を特定してくれた。
その屋敷には、横領した金や、脱税するために隠してあった財産、密輸入した商品、東大陸から仕入れた非合法の麻薬、痩せこけて衰弱した動物達が保管されていた。
彼女らをお仕置きしている間に、家宅捜査をしてもらっていた。
*
「私の義妹がーーー本当に申し訳ございません!」
シーザー公爵夫人の屋敷では恙無く、ペット同伴の食事会が開かれていた。
そこにはナージャ王妃と、マース夫人も招かれていた。
手術を終えて元気になったマリアンヌと、シーザー公爵の飼っているキティはソファーの上で寄り添いながらうたた寝している。
2匹は同じ母親から生まれた姉妹で、ナージャ王妃が公爵夫人へ献上したのだ。
一人息子は仕事ばかりでつれないし、娘達は全員外国へ嫁いでしまい、寂しい隠居生活を送っていた公爵夫人は大喜び。
白猫キティを皮切りに公爵夫人は猫をたくさん飼い始め、喧嘩ばかりしていたナージャ王妃とも今はペット友だ。
今回の事件にはシーザー公爵夫人も怒っており、協力してくれた。
マース夫人は席に着くなり、弟嫁のヴィラ夫人の件に関して頭を深く下げて謝罪をした。
「頭をお上げなさい、あなたは関係ない話でしょ」
ナージャ王妃は言った。
苦笑いするマース夫人を心配したのか、マース夫人の飼い犬オーロラがご主人の顔を覗き込み不安げな鳴き声を出す。
「ほら、その子も心配してるわ。もう謝罪はお腹いっぱいよ」
「王妃…」
「おまたせしました。バースデーケーキです」
シャルロットとユーシン、キャロル、公爵家に仕える侍女がケーキを運んできた。
「まあ、猫の形のケーキだわ。可愛いわね」
「こちらのミニケーキはマリアンヌちゃんとキティちゃん、オーロラちゃん用のケーキよ」
「あら、美味しそうね」
「お野菜とササミで作ったの。周りのクリームはヨーグルトですわ」
人間用のケーキに似せて作ったペット用のケーキ。
夫人らは物珍しそうにケーキを見ていた。
「えっと……それから、もう一人招待している方がいるの」
シャルロットが腕を引っ張って連れて来たのは浅黒い肌の大男だった。
男は借りて来た猫みたいにおとなしく俯いていた。
「海の精霊ポセイドンです。この国では、祠に封印されていた人喰いイルカって呼ばれているわね」
ナージャ王妃とシーザー公爵夫人は驚愕した。
マース夫人は王妃らの反応を見て苦笑すると、彼を自分の隣に座らせた。
「この前、海で王夫妻を助けてくれたのは彼なんです。私達はずっと彼のことを誤解し、忌避していました。ーー彼は人喰いイルカや化け物なんかじゃないわ。人間をとても好いているし、慈しみ、守ってくれる、心優しい神様よ」
マース夫人はポセイドンに笑いかけた。
「ミレンハン国に加護をいただけるようにーー、私は御犬様の巫女として、海の精霊ポセイドンと契約を交そうと思っております」
「王妃様。この国の海原や大地に祝福を授けよう。契約の対価として、俺がこの地に住まうことを許して欲しいんだ」
王妃は驚いていたが、優しく微笑むと頷いた。
「もちろんよ」
この夜、マース夫人と海の精霊は契約を交わした。
数時間後には目も当てられないほど憔悴し、顔もすっかりしわくちゃで老けこんでいた。
猫の鳴き声を聞くだけで発狂するまでになっていた。
「やり過ぎたかしら?」
グレース皇子が提案した、お仕置き大作戦に加担したシャルロットは苦笑していた。
「フン!自業自得じゃ!」
猫神様はまだまだ怒っていた。
シャルロットは協力してくれた野良猫たちへ、お手製の猫用クッキーを配っていた。
「今夜は猫の集会の日じゃったから、ここへ集まるように声を掛けたんじゃ。フフン、もうアイツらの顔は国中の野良猫たちに知れ渡ったわい。もう表を出歩けないだろう」
グリムやクロウにグレイ、オーギュスト国のワンコ騎士団がヴィラ夫人の隠れ屋敷を特定してくれた。
その屋敷には、横領した金や、脱税するために隠してあった財産、密輸入した商品、東大陸から仕入れた非合法の麻薬、痩せこけて衰弱した動物達が保管されていた。
彼女らをお仕置きしている間に、家宅捜査をしてもらっていた。
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「私の義妹がーーー本当に申し訳ございません!」
シーザー公爵夫人の屋敷では恙無く、ペット同伴の食事会が開かれていた。
そこにはナージャ王妃と、マース夫人も招かれていた。
手術を終えて元気になったマリアンヌと、シーザー公爵の飼っているキティはソファーの上で寄り添いながらうたた寝している。
2匹は同じ母親から生まれた姉妹で、ナージャ王妃が公爵夫人へ献上したのだ。
一人息子は仕事ばかりでつれないし、娘達は全員外国へ嫁いでしまい、寂しい隠居生活を送っていた公爵夫人は大喜び。
白猫キティを皮切りに公爵夫人は猫をたくさん飼い始め、喧嘩ばかりしていたナージャ王妃とも今はペット友だ。
今回の事件にはシーザー公爵夫人も怒っており、協力してくれた。
マース夫人は席に着くなり、弟嫁のヴィラ夫人の件に関して頭を深く下げて謝罪をした。
「頭をお上げなさい、あなたは関係ない話でしょ」
ナージャ王妃は言った。
苦笑いするマース夫人を心配したのか、マース夫人の飼い犬オーロラがご主人の顔を覗き込み不安げな鳴き声を出す。
「ほら、その子も心配してるわ。もう謝罪はお腹いっぱいよ」
「王妃…」
「おまたせしました。バースデーケーキです」
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「まあ、猫の形のケーキだわ。可愛いわね」
「こちらのミニケーキはマリアンヌちゃんとキティちゃん、オーロラちゃん用のケーキよ」
「あら、美味しそうね」
「お野菜とササミで作ったの。周りのクリームはヨーグルトですわ」
人間用のケーキに似せて作ったペット用のケーキ。
夫人らは物珍しそうにケーキを見ていた。
「えっと……それから、もう一人招待している方がいるの」
シャルロットが腕を引っ張って連れて来たのは浅黒い肌の大男だった。
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「海の精霊ポセイドンです。この国では、祠に封印されていた人喰いイルカって呼ばれているわね」
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「この前、海で王夫妻を助けてくれたのは彼なんです。私達はずっと彼のことを誤解し、忌避していました。ーー彼は人喰いイルカや化け物なんかじゃないわ。人間をとても好いているし、慈しみ、守ってくれる、心優しい神様よ」
マース夫人はポセイドンに笑いかけた。
「ミレンハン国に加護をいただけるようにーー、私は御犬様の巫女として、海の精霊ポセイドンと契約を交そうと思っております」
「王妃様。この国の海原や大地に祝福を授けよう。契約の対価として、俺がこの地に住まうことを許して欲しいんだ」
王妃は驚いていたが、優しく微笑むと頷いた。
「もちろんよ」
この夜、マース夫人と海の精霊は契約を交わした。
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