シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

文字の大きさ
上 下
198 / 262
新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?

食事会

しおりを挟む
猫神様が招集した野良猫達が一度に押し寄せて、ヴィラ夫人や密密猟者達は猫の大群に襲われていた。
数時間後には目も当てられないほど憔悴し、顔もすっかりしわくちゃで老けこんでいた。

猫の鳴き声を聞くだけで発狂するまでになっていた。

「やり過ぎたかしら?」

グレース皇子が提案した、お仕置き大作戦に加担したシャルロットは苦笑していた。

「フン!自業自得じゃ!」

猫神様はまだまだ怒っていた。
シャルロットは協力してくれた野良猫たちへ、お手製の猫用クッキーを配っていた。

「今夜は猫の集会の日じゃったから、ここへ集まるように声を掛けたんじゃ。フフン、もうアイツらの顔は国中の野良猫たちに知れ渡ったわい。もう表を出歩けないだろう」

 グリムやクロウにグレイ、オーギュスト国のワンコ騎士団がヴィラ夫人の隠れ屋敷を特定してくれた。
その屋敷には、横領した金や、脱税するために隠してあった財産、密輸入した商品、東大陸から仕入れた非合法の麻薬、痩せこけて衰弱した動物達が保管されていた。

彼女らをお仕置きしている間に、家宅捜査をしてもらっていた。

*

「私の義妹がーーー本当に申し訳ございません!」

シーザー公爵夫人の屋敷では恙無く、ペット同伴の食事会が開かれていた。
そこにはナージャ王妃と、マース夫人も招かれていた。

手術を終えて元気になったマリアンヌと、シーザー公爵の飼っているキティはソファーの上で寄り添いながらうたた寝している。

2匹は同じ母親から生まれた姉妹で、ナージャ王妃が公爵夫人へ献上したのだ。
一人息子は仕事ばかりでつれないし、娘達は全員外国へ嫁いでしまい、寂しい隠居生活を送っていた公爵夫人は大喜び。

白猫キティを皮切りに公爵夫人は猫をたくさん飼い始め、喧嘩ばかりしていたナージャ王妃とも今はペット友だ。

今回の事件にはシーザー公爵夫人も怒っており、協力してくれた。



マース夫人は席に着くなり、弟嫁のヴィラ夫人の件に関して頭を深く下げて謝罪をした。

「頭をお上げなさい、あなたは関係ない話でしょ」

ナージャ王妃は言った。

苦笑いするマース夫人を心配したのか、マース夫人の飼い犬オーロラがご主人の顔を覗き込み不安げな鳴き声を出す。

「ほら、その子も心配してるわ。もう謝罪はお腹いっぱいよ」

「王妃…」

「おまたせしました。バースデーケーキです」

シャルロットとユーシン、キャロル、公爵家に仕える侍女がケーキを運んできた。

「まあ、猫の形のケーキだわ。可愛いわね」

「こちらのミニケーキはマリアンヌちゃんとキティちゃん、オーロラちゃん用のケーキよ」

「あら、美味しそうね」

「お野菜とササミで作ったの。周りのクリームはヨーグルトですわ」


人間用のケーキに似せて作ったペット用のケーキ。
夫人らは物珍しそうにケーキを見ていた。

「えっと……それから、もう一人招待している方がいるの」


シャルロットが腕を引っ張って連れて来たのは浅黒い肌の大男だった。
男は借りて来た猫みたいにおとなしく俯いていた。

「海の精霊ポセイドンです。この国では、祠に封印されていた人喰いイルカって呼ばれているわね」

ナージャ王妃とシーザー公爵夫人は驚愕した。
マース夫人は王妃らの反応を見て苦笑すると、彼を自分の隣に座らせた。

「この前、海で王夫妻を助けてくれたのは彼なんです。私達はずっと彼のことを誤解し、忌避していました。ーー彼は人喰いイルカや化け物なんかじゃないわ。人間をとても好いているし、慈しみ、守ってくれる、心優しい神様よ」

マース夫人はポセイドンに笑いかけた。

「ミレンハン国に加護をいただけるようにーー、私は御犬様の巫女として、海の精霊ポセイドンと契約を交そうと思っております」

「王妃様。この国の海原や大地に祝福を授けよう。契約の対価として、俺がこの地に住まうことを許して欲しいんだ」

王妃は驚いていたが、優しく微笑むと頷いた。

「もちろんよ」

この夜、マース夫人と海の精霊は契約を交わした。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。 けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。 というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない? そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。 小説家になろうでも掲載しております。

処理中です...