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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?
反撃開始!
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どうやら、住み込みで働いている下女の娘エザイラが猫達にスルメやパンを与え続けていたようだ。
毒では無いし、口にしてもすぐに害が出るものではなかったがーー猫に与えるのはあまり良く無い食材だった。
マリアンヌが重症化したのは、食べ過ぎてしまったからなのかもしれない…。
ユーシン達が見つけてくれなければ、手遅れになって死んでいたかもしれないと獣医が言っていた。
事の顛末を知らされたエザイラの母親は床に頭を打ち付けながら必死で謝罪した。
隣で床に座り込む娘のエザイラは訳も分からずパニックになって大泣きしていた。
シャルロットはエザイラを抱き上げて、優しい口調で聞いた。
「ねえ?誰があなたにそのスルメやパンを渡したの?」
「御犬様の巫女様だよ……」
「御犬様の巫女……マース夫人が、その人が王妃様の猫ちゃんにあげなさいって言ったのね?」
「うん……」
何度聞いても同じ回答をするエザイラ。
母親に目配せをするが、彼女は困ったような顔で首を横に振った。
「話してくれてありがとう。大丈夫よ、あなたは悪く無いわ。エザイラちゃんはママや猫ちゃん達を助けたかっただけよね?」
シャルロットは女の子の背中をポンポンと撫でてあげた。
女の子はようやく泣き止んで、ホッとした顔でシャルロットの首にギュッと抱きついた。
「……マース夫人なら春の祭典の日以降に宮殿へ立ち入った記録は無いわよ」
王妃は言った。
「それに…夫人が私のマリアンヌたちに危害を加えるわけないわ!皆が変に誤解しているだけで、私は別に彼女と仲違いしているつもりはないもの。あの腕の良い獣医を教えてくれたのもマース夫人なのよ?むしろ動物を愛する同志だと思ってるわ!」
黒幕はどうしても、マース夫人を陥れたいようだ。
「……ひとり、心当たりのある人物がいるわ」
王妃は鬼のような顔でつぶやく。
「……ヴィラ夫人。マース夫人の弟・アンリ伯爵の妻なの。マース夫人が後宮にいた頃は、弟夫婦が神官として御犬様に使えていたわ」
ヴィラ夫人は新大陸出身の成金資産家の娘で、優雅な宮殿暮らしに憧れてミレンハン国へやってきた。
しかし現在のミレンハン王は王妃一筋で、今後一切愛人は持たないと公言している。
仕方なく伯爵家に嫁いで浪費したり豪遊していたが……。
マース夫人の年季が明けて実家に出戻ると、夫はあっさりと当主の座を明け渡してしまった。
それ以来、彼女は伯爵家で不自由な暮らしを強要されている。
更に、彼女は商団を経営していた。
だが、商品として扱っていた香水や象牙、毛皮や剥製などの売買を王妃が禁じたため、商売ができなくなっていた。
金に困った彼女は、伯爵家の財産や国から支給される祠の管理費を横領している疑惑まであった。
「ぐっ、こっちが大人しくしてりゃあ、好き勝手しやがって……!許さない!」
王妃はカンカンだった。
「ナージャ王妃、ああいう輩は頭ごなしに咎めたところで絶対に反省はしません。悪い事をしている自覚なんてないですから逆上するだけでしょう」
さっきまで黙って静観していたグレース皇子が王妃の前に出ると、ある提案をした。
「自分が今までしてきた行為が、どれだけ残酷な事だったのかーー実際に体験させてあげましょう」
「……グレース様?何をする気なの?」
「いや、俺が小さい頃、クロウが話してくれたーー猫にまつわる童話を思い出してな……」
グレース皇子は大まかなストーリーを説明した。
その物語になぞらえてお仕置きをすれば効果的ではないかとグレース皇子は提案したのだ。
「良いわね、それ!」
「うふふ、面白そうだわ。私も協力するわよ」
シャルロットやナージャ王妃は、それを聞いてニヤリと笑った。
毒では無いし、口にしてもすぐに害が出るものではなかったがーー猫に与えるのはあまり良く無い食材だった。
マリアンヌが重症化したのは、食べ過ぎてしまったからなのかもしれない…。
ユーシン達が見つけてくれなければ、手遅れになって死んでいたかもしれないと獣医が言っていた。
事の顛末を知らされたエザイラの母親は床に頭を打ち付けながら必死で謝罪した。
隣で床に座り込む娘のエザイラは訳も分からずパニックになって大泣きしていた。
シャルロットはエザイラを抱き上げて、優しい口調で聞いた。
「ねえ?誰があなたにそのスルメやパンを渡したの?」
「御犬様の巫女様だよ……」
「御犬様の巫女……マース夫人が、その人が王妃様の猫ちゃんにあげなさいって言ったのね?」
「うん……」
何度聞いても同じ回答をするエザイラ。
母親に目配せをするが、彼女は困ったような顔で首を横に振った。
「話してくれてありがとう。大丈夫よ、あなたは悪く無いわ。エザイラちゃんはママや猫ちゃん達を助けたかっただけよね?」
シャルロットは女の子の背中をポンポンと撫でてあげた。
女の子はようやく泣き止んで、ホッとした顔でシャルロットの首にギュッと抱きついた。
「……マース夫人なら春の祭典の日以降に宮殿へ立ち入った記録は無いわよ」
王妃は言った。
「それに…夫人が私のマリアンヌたちに危害を加えるわけないわ!皆が変に誤解しているだけで、私は別に彼女と仲違いしているつもりはないもの。あの腕の良い獣医を教えてくれたのもマース夫人なのよ?むしろ動物を愛する同志だと思ってるわ!」
黒幕はどうしても、マース夫人を陥れたいようだ。
「……ひとり、心当たりのある人物がいるわ」
王妃は鬼のような顔でつぶやく。
「……ヴィラ夫人。マース夫人の弟・アンリ伯爵の妻なの。マース夫人が後宮にいた頃は、弟夫婦が神官として御犬様に使えていたわ」
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だが、商品として扱っていた香水や象牙、毛皮や剥製などの売買を王妃が禁じたため、商売ができなくなっていた。
金に困った彼女は、伯爵家の財産や国から支給される祠の管理費を横領している疑惑まであった。
「ぐっ、こっちが大人しくしてりゃあ、好き勝手しやがって……!許さない!」
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