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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?
大蛇を討伐!
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シャルロット達の乗った遊覧船を追い掛けながら、魔物の大蛇は雄叫びをあげる。
「ヒィ~!」
ミレンハン王の付き人は怯えながら懸命に遊覧船の舵を回す。
魔物の姿は見えないが、恐ろしい叫び声は聞こえるし、船を狙って攻撃されていることは分かる。
グレース皇子とアヴィが魔法で結界を張って、船が壊されることを防いでくれている。
陸が見えてきて、シャルロットはハッと目を見開いた。
「ね、ねえ、待って!向こうには王子様達が……!」
浅瀬でゲーテ王子の弟王子やトラ猫、付き人らが屈んで貝拾いをしている。
彼らは魔物の姿が見えないので、こちらの異変には気付いていない様子だ。
彼らまで巻き添いにしてしまうかもしれないーー。
「ポセイドン!背中に乗せて!」
「おう!マスター!」
シャルロットはピンクイルカの背に飛び乗った。
「シャルロット!何やってるんだ!戻れ!」
グレース皇子はシャルロットに向かって叫ぶ。
「私が囮になるわ!グレース様は王様と王妃様を守って!みんなで早く陸へ避難して!」
グレース皇子も海へ飛び込もうとするが、結界を解くわけにはいけない。
ゲーテはグレース皇子に「俺に任せろ」と呟くと、すぐに海へ飛び込む。
「なっ……ゲーテ!あなたも避難しなさい!」
「俺様はお前の騎士だ!お前を置いて逃げるわけないだろ!必ずお前を守るから」
「わ、わかったわ」
シャルロットはイルカにしっかり捕まると、遊覧船を攻撃し続ける魔物の背後に回った。
「ウェスタ!お願い!力を貸して!」
シャルロットが叫ぶと、海面の上に浮かぶように火の精霊ウェスタが出現した。
「シャルロットちゃん、どうしたの……え?ギャア!蛇?」
大蛇を見てウェスタは驚いていた。
「ふふん、丸焼きにしてやるわ!」
ウェスタは大蛇の背中に火を放つ。
大蛇は悲鳴をあげながら、こちらを振り向いた。
「あいつを倒すのは困難だろう、どうにかして遠くへ追いやろう」
ポセイドンはそう言って、全力で沖合へ向かって泳いだ。
ウェスタは大蛇の背中に火を浴びせ続けた。大蛇は熱がって、暴れながらウェスタから逃げる。
遊覧船は順調に陸へ進む。
海の中に潜って、後を追っていたゲーテは海底に伸びた謎の糸を見つけた。
姿は見えないが、その糸はウェスタが攻撃する先に続いている。
ゲーテは腰に携えていた短剣を取り出すと、その糸を思い切り斬りつけて断った。
恐らく砂の中に身を潜めているものが大蛇の本体だろう。
「ギャアアアアアア」
大蛇が悲鳴をあげると、海底が激しく縦横に揺れる。
「きゃ……!」
大蛇は泡になって消えたがーー海は風もないのに高波になり、シャルロットはイルカの背中から落ちてしまった。
「シャルル…!」
ゲーテは波に逆らうように泳ぎ、海の底へ飲まれていくシャルロットの腕をなんとか捕まえて抱き寄せた。
そして海面に顔を出した。
「ハァ……ありがとう……ゲーテ」
「バカ!お前といると心臓が止まりかけるわ……なんでいつも無謀な真似ばっかするんだ」
シャルロットの身体を背中から抱えて、ゲーテは浮かんでいた。
苦笑するシャルロット。
「マスター!」
イルカが引き返して来た。
「ありがとう、ポセイドン…。あなたのおかげでみんなが助かったわ」
多分、あの魔物が近くにいることを知らせるためにーー人間を助けるために、船や人に近付いたんじゃないだろうか?
海難の場に毎度ピンクイルカが現れるから、きっと『人喰いイルカ』なんて誤解されて、恐れられるようになったのかしら…?
シャルロットはそう思いながらイルカの頭を撫でた。
「シャルル、俺につかまってろ」
ゲーテはシャルロットを背負うと、泳ぎ始めた。
シャルロットはゲーテの肩にしっかり捕まった。
「ヒィ~!」
ミレンハン王の付き人は怯えながら懸命に遊覧船の舵を回す。
魔物の姿は見えないが、恐ろしい叫び声は聞こえるし、船を狙って攻撃されていることは分かる。
グレース皇子とアヴィが魔法で結界を張って、船が壊されることを防いでくれている。
陸が見えてきて、シャルロットはハッと目を見開いた。
「ね、ねえ、待って!向こうには王子様達が……!」
浅瀬でゲーテ王子の弟王子やトラ猫、付き人らが屈んで貝拾いをしている。
彼らは魔物の姿が見えないので、こちらの異変には気付いていない様子だ。
彼らまで巻き添いにしてしまうかもしれないーー。
「ポセイドン!背中に乗せて!」
「おう!マスター!」
シャルロットはピンクイルカの背に飛び乗った。
「シャルロット!何やってるんだ!戻れ!」
グレース皇子はシャルロットに向かって叫ぶ。
「私が囮になるわ!グレース様は王様と王妃様を守って!みんなで早く陸へ避難して!」
グレース皇子も海へ飛び込もうとするが、結界を解くわけにはいけない。
ゲーテはグレース皇子に「俺に任せろ」と呟くと、すぐに海へ飛び込む。
「なっ……ゲーテ!あなたも避難しなさい!」
「俺様はお前の騎士だ!お前を置いて逃げるわけないだろ!必ずお前を守るから」
「わ、わかったわ」
シャルロットはイルカにしっかり捕まると、遊覧船を攻撃し続ける魔物の背後に回った。
「ウェスタ!お願い!力を貸して!」
シャルロットが叫ぶと、海面の上に浮かぶように火の精霊ウェスタが出現した。
「シャルロットちゃん、どうしたの……え?ギャア!蛇?」
大蛇を見てウェスタは驚いていた。
「ふふん、丸焼きにしてやるわ!」
ウェスタは大蛇の背中に火を放つ。
大蛇は悲鳴をあげながら、こちらを振り向いた。
「あいつを倒すのは困難だろう、どうにかして遠くへ追いやろう」
ポセイドンはそう言って、全力で沖合へ向かって泳いだ。
ウェスタは大蛇の背中に火を浴びせ続けた。大蛇は熱がって、暴れながらウェスタから逃げる。
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姿は見えないが、その糸はウェスタが攻撃する先に続いている。
ゲーテは腰に携えていた短剣を取り出すと、その糸を思い切り斬りつけて断った。
恐らく砂の中に身を潜めているものが大蛇の本体だろう。
「ギャアアアアアア」
大蛇が悲鳴をあげると、海底が激しく縦横に揺れる。
「きゃ……!」
大蛇は泡になって消えたがーー海は風もないのに高波になり、シャルロットはイルカの背中から落ちてしまった。
「シャルル…!」
ゲーテは波に逆らうように泳ぎ、海の底へ飲まれていくシャルロットの腕をなんとか捕まえて抱き寄せた。
そして海面に顔を出した。
「ハァ……ありがとう……ゲーテ」
「バカ!お前といると心臓が止まりかけるわ……なんでいつも無謀な真似ばっかするんだ」
シャルロットの身体を背中から抱えて、ゲーテは浮かんでいた。
苦笑するシャルロット。
「マスター!」
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多分、あの魔物が近くにいることを知らせるためにーー人間を助けるために、船や人に近付いたんじゃないだろうか?
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シャルロットはそう思いながらイルカの頭を撫でた。
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ゲーテはシャルロットを背負うと、泳ぎ始めた。
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