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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?
遊覧船でダブルデート〜至福の浜焼き
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海辺でナージャ王妃とゲーテの弟王子2人が待っていた。
第4王子マオ、第5王子のカルーは小学生くらいの年齢だろう、宝石のついた派手な耳飾りをつけていて上半身は裸で裸足。
2人の足元には2匹のトラ猫がぴったりとくっ付いている。
シャルロットとグレース皇子の後ろに立っていたゲーテは弟らに声を掛けた。
「お前らもコンテストに出るんだってな」
「ウン!兄上たちには負けねーからな!」
「フン!無謀な勝負だな。弟だからって情けはかけねえよ!」
ヤンチャそうな小さな王子様たちだ。
可愛らしくて、思わずシャルロットは微笑んだ。
「おお!王妃よ。待たせて悪かったな!」
ミレンハン王はナージャ王妃に力強くハグをした。
「アンタ!」
王夫妻は人目もはばからず、ブチュブチュと激しく情熱的なキッスを交わし始めた。
シャルロットとグレース皇子はビックリして目を点にしていた。
ゲーテによれば、イチャイチャするのも喧嘩も全力でぶつかる、お熱い夫婦のようだ。
ミレンハン国の王子らは気にも留めずに海に向かって走り出した。
王が所有する鮮やかなオレンジ色の遊覧船に乗り沖へ進んだ。
「わあ~」
ミレンハン王とゲーテは海に潜り、次々と貝を獲ってくる。
「タツノオトシゴだわ、可愛い」
ゲーテはタツノオトシゴを摘んでシャルロットの手のひらに乗せた。
しかし、シャルロットの膝の上に乗っていたポメラニアンのグレイがタツノオトシゴを咥えて、そのまま丸呑みにしてしまう。
「あっこら、食べちゃダメよ」
グレイは悪食癖があって、なんでも食べてしまう。
それを見ていた、ユーシンが笑った。
「俺、昔、どっかの国でタツノオトシゴの唐揚げを食べたことがあるっす。結構美味しかったですよ」
「まあ、そうなの?」
「まあ、こんな可愛い生き物を食べちゃうなんて!」
ナージャ王妃は驚いていた。
生き物好きの王妃にはショッキングな話だろう。
「ソレイユ国や北の国だとウミガメも食べるわ。イルカやクジラを食べる地域もあるわね」
シャルロットは苦笑した。
「あり得ないわ」
王妃はドン引きしている。
「ハハ、ウミガメは美味いよなあ!昔はスープにして食べていたわ」
笑うミレンハン王を、王妃は責めるような視線でギロッと睨んだ。
「アハハ、まあ、今はこの辺でウミガメを捕まえて食べたり売り捌くのも禁止されている。野鳥を狩って食べる習慣も昔はあったが、今はそれも禁じているよ」
ナージャ王妃は、犬や猫、野鳥やイルカなどを乱獲から守るために、周辺国に自ら赴いて条約を制定したそうだ。
「動物愛護と食肉の問題ってどこにでもあるのね……」
クライシア大国では、白鳥は王家のシンボルであり王様の所有する大切なペット。
だから、白鳥を食べたり捕まえることは重罪。白鳥を食べた貴族が斬首刑にされたっていう真偽不明の噂まで流れていた。
ユハが幼い頃、川にいた白鳥が食べたくて勝手に捕まえて実家の厨房に持ち込んだら、料理人は顔面蒼白になり泡を吹いてぶっ倒れ、大問題になって公爵邸は大騒ぎ。
ユハはお城の地下牢に閉じ込められて、3ヶ月間 家族とも面会を許されず、軟禁された経験があるそうだ。
「グレース皇子、酒は飲めるだろう?おら」
ミレンハン王はグラスに麦で出来た酒を注ぐと、グレース皇子に差し出した。
「ミレンハン王、ありがとうございます。いただきます」
獲れたてのサザエもどきや貝を七輪で焼いて、ニンニクと香辛料とオリーブオイルを混ぜたエスニックなソースを垂らして食べた。
シャルロットは幸せそうに笑っている。
「わあ~!美味しいわ」
美しい海に囲まれた豪華な船の上。
昼間から酒を飲み、美味しい浜焼きを食べるーー夢のような時間だ。
「マスター!マスター!」
海面から突然ピンクイルカが顔を出した。
海の精霊ポセイドンだ。
そして船の上のシャルロットに声を掛ける。
「ひぃ!人食いイルカか?」
王夫妻は顔を青くした。
「だ、大丈夫です。害はありませんわ!……ポセイドン、何か用?」
「早く陸に戻るんだ!近くに危険な魔物が潜んでいるぞ!渦を巻いて船を飲み込むんだ。これ以上進むと危ない!」
「え?」
シャルロットとグレース皇子、ユーシンらは驚愕した。
しかし魔力のない王夫妻やゲーテにはポセイドンの言葉は通じない。
「ミレンハン王、早く引き返しましょう?海が荒れるわ」
「こんなに天気も良いし、凪いでいるのにか……?」
王夫妻は首を傾げた。
「陛下、戻りましょう」
「しかし」
「キャア!」
突如、遊覧船に何かがぶつかり激しく揺れた。
そして、海面から銀色のウロコを持つ恐ろしい大蛇が現れ、こちらを向いて威嚇した。
「うわっ……!」
急な揺れに、船の上で立ち上がっていたミレンハン王はバランスを崩して海に落ちてしまった。
脚が萎縮し、引き攣ってしまっているようで上手く泳げないようだ。
どんどんと海の底へ沈んでいくーー。
「父上!」
すぐに父を助けようと船から身を乗り出したゲーテを王妃は止めた。
「あんたはシャルロットさんの騎士でしょ?彼女を護りなさい!」
ナージャ王妃はドレスを脱いで下着姿になり身を軽くすると、海へ迷わず飛び込んだ。
そして海の中へ沈んでいた王を抱えて、水面に顔を出した。
「アンタ!アンタ!しっかりしなさいよ、大丈夫?」
「お……王妃?……」
ミレンハン王は飲み込んでいた海水を吐き出し、意識を取り戻した、
グレース皇子は魔法で王夫妻の身体を浮かせて、船の上に乗せた。
大蛇は船を集中的に揺さぶり、海面のあちこちに渦が出現する。
あの渦に巻き込まれたら船ごと海底に沈んでしまうーー。
「ど、どうしよう?……」
シャルロットは困惑していた。
第4王子マオ、第5王子のカルーは小学生くらいの年齢だろう、宝石のついた派手な耳飾りをつけていて上半身は裸で裸足。
2人の足元には2匹のトラ猫がぴったりとくっ付いている。
シャルロットとグレース皇子の後ろに立っていたゲーテは弟らに声を掛けた。
「お前らもコンテストに出るんだってな」
「ウン!兄上たちには負けねーからな!」
「フン!無謀な勝負だな。弟だからって情けはかけねえよ!」
ヤンチャそうな小さな王子様たちだ。
可愛らしくて、思わずシャルロットは微笑んだ。
「おお!王妃よ。待たせて悪かったな!」
ミレンハン王はナージャ王妃に力強くハグをした。
「アンタ!」
王夫妻は人目もはばからず、ブチュブチュと激しく情熱的なキッスを交わし始めた。
シャルロットとグレース皇子はビックリして目を点にしていた。
ゲーテによれば、イチャイチャするのも喧嘩も全力でぶつかる、お熱い夫婦のようだ。
ミレンハン国の王子らは気にも留めずに海に向かって走り出した。
王が所有する鮮やかなオレンジ色の遊覧船に乗り沖へ進んだ。
「わあ~」
ミレンハン王とゲーテは海に潜り、次々と貝を獲ってくる。
「タツノオトシゴだわ、可愛い」
ゲーテはタツノオトシゴを摘んでシャルロットの手のひらに乗せた。
しかし、シャルロットの膝の上に乗っていたポメラニアンのグレイがタツノオトシゴを咥えて、そのまま丸呑みにしてしまう。
「あっこら、食べちゃダメよ」
グレイは悪食癖があって、なんでも食べてしまう。
それを見ていた、ユーシンが笑った。
「俺、昔、どっかの国でタツノオトシゴの唐揚げを食べたことがあるっす。結構美味しかったですよ」
「まあ、そうなの?」
「まあ、こんな可愛い生き物を食べちゃうなんて!」
ナージャ王妃は驚いていた。
生き物好きの王妃にはショッキングな話だろう。
「ソレイユ国や北の国だとウミガメも食べるわ。イルカやクジラを食べる地域もあるわね」
シャルロットは苦笑した。
「あり得ないわ」
王妃はドン引きしている。
「ハハ、ウミガメは美味いよなあ!昔はスープにして食べていたわ」
笑うミレンハン王を、王妃は責めるような視線でギロッと睨んだ。
「アハハ、まあ、今はこの辺でウミガメを捕まえて食べたり売り捌くのも禁止されている。野鳥を狩って食べる習慣も昔はあったが、今はそれも禁じているよ」
ナージャ王妃は、犬や猫、野鳥やイルカなどを乱獲から守るために、周辺国に自ら赴いて条約を制定したそうだ。
「動物愛護と食肉の問題ってどこにでもあるのね……」
クライシア大国では、白鳥は王家のシンボルであり王様の所有する大切なペット。
だから、白鳥を食べたり捕まえることは重罪。白鳥を食べた貴族が斬首刑にされたっていう真偽不明の噂まで流れていた。
ユハが幼い頃、川にいた白鳥が食べたくて勝手に捕まえて実家の厨房に持ち込んだら、料理人は顔面蒼白になり泡を吹いてぶっ倒れ、大問題になって公爵邸は大騒ぎ。
ユハはお城の地下牢に閉じ込められて、3ヶ月間 家族とも面会を許されず、軟禁された経験があるそうだ。
「グレース皇子、酒は飲めるだろう?おら」
ミレンハン王はグラスに麦で出来た酒を注ぐと、グレース皇子に差し出した。
「ミレンハン王、ありがとうございます。いただきます」
獲れたてのサザエもどきや貝を七輪で焼いて、ニンニクと香辛料とオリーブオイルを混ぜたエスニックなソースを垂らして食べた。
シャルロットは幸せそうに笑っている。
「わあ~!美味しいわ」
美しい海に囲まれた豪華な船の上。
昼間から酒を飲み、美味しい浜焼きを食べるーー夢のような時間だ。
「マスター!マスター!」
海面から突然ピンクイルカが顔を出した。
海の精霊ポセイドンだ。
そして船の上のシャルロットに声を掛ける。
「ひぃ!人食いイルカか?」
王夫妻は顔を青くした。
「だ、大丈夫です。害はありませんわ!……ポセイドン、何か用?」
「早く陸に戻るんだ!近くに危険な魔物が潜んでいるぞ!渦を巻いて船を飲み込むんだ。これ以上進むと危ない!」
「え?」
シャルロットとグレース皇子、ユーシンらは驚愕した。
しかし魔力のない王夫妻やゲーテにはポセイドンの言葉は通じない。
「ミレンハン王、早く引き返しましょう?海が荒れるわ」
「こんなに天気も良いし、凪いでいるのにか……?」
王夫妻は首を傾げた。
「陛下、戻りましょう」
「しかし」
「キャア!」
突如、遊覧船に何かがぶつかり激しく揺れた。
そして、海面から銀色のウロコを持つ恐ろしい大蛇が現れ、こちらを向いて威嚇した。
「うわっ……!」
急な揺れに、船の上で立ち上がっていたミレンハン王はバランスを崩して海に落ちてしまった。
脚が萎縮し、引き攣ってしまっているようで上手く泳げないようだ。
どんどんと海の底へ沈んでいくーー。
「父上!」
すぐに父を助けようと船から身を乗り出したゲーテを王妃は止めた。
「あんたはシャルロットさんの騎士でしょ?彼女を護りなさい!」
ナージャ王妃はドレスを脱いで下着姿になり身を軽くすると、海へ迷わず飛び込んだ。
そして海の中へ沈んでいた王を抱えて、水面に顔を出した。
「アンタ!アンタ!しっかりしなさいよ、大丈夫?」
「お……王妃?……」
ミレンハン王は飲み込んでいた海水を吐き出し、意識を取り戻した、
グレース皇子は魔法で王夫妻の身体を浮かせて、船の上に乗せた。
大蛇は船を集中的に揺さぶり、海面のあちこちに渦が出現する。
あの渦に巻き込まれたら船ごと海底に沈んでしまうーー。
「ど、どうしよう?……」
シャルロットは困惑していた。
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