シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?

ミレンハン国の王様

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ゲーテのハード過ぎるトレーニングを終えて、ソマリ猫姿のシャルロットは宮殿の中をのそのそと歩いていた。
騎士キャロルもウサギ姿でシャルロットの後ろをぴょんぴょん跳ねながら続く。

子猫のシャルロットはクローバーの絨毯の上にゴロンと転がった。
大きな木が日差しを防いでくれて、静かだし海風が気持ちいい。
人間の姿だとはしたないけれど、猫の姿だったら誰も気に留めないはずだ。

白ウサギはシャルロットの隣で身体を伏せた。

「ふう。もうクタクタだわ…」

「よく頑張りましたね、姫様」

子猫と白ウサギはゴロゴロと冷んやり気持ちいいクローバーの上を転がった。

「ん?見たことがない猫と兎だなあ」

小麦色の肌をしたワイルド系イケオジの顔が真上にあった。

「へ!?」

着ている服は、涼しげでド派手なアロハシャツのようだ。
腕や耳、首には宝飾品をジャラジャラつけてて、もみあげや胸毛や腕毛がモサモサ。
筋肉質な太ももには龍の入れ墨があり、草鞋のような物を履いている。

「ミレンハン国王……陛下……!?」

「ガハハ、ああ、もしかしてお前がシャルロット妃殿下か?はじめて会うな~」

シャルロットとキャロルはびっくりして飛び起きた。
驚愕し過ぎて、顎が外れそうだ。

目の前にいる豪快な笑い方をする派手なおじさんは、ミレンハン国の王で、ゲーテの父だ。
宮殿を留守にしていると事前に聞いていたが、帰国していたようだ。

「今日は久しぶりのホリデーだ。堅苦しいのは大嫌いなのだ。おじちゃんのことはミハと呼んでくれ。シャルロットちゃん。君の父上とはたまに釣りに行く仲なんだ」

「え、えっと……、ミハおじ様」

「ガハハ、悪くないなあ。うちは息子ばっかりだから、娘ができたようで良い気分だ」

陽気で気さくな親戚のおじさんみたいなノリでシャルロットの緊張も解けた。

「シャルロットちゃんもおいで、これから王妃と船に乗ってデートだ」

ミレンハン国の王様は暇さえあれば王妃とデートや旅行をするそうだ。
仲の良い王夫妻だ。

「え?私、お邪魔じゃないかしら?」

「構わん、構わん、グレース皇子も呼んで、ダブルデートしよう」

「まあ…楽しそうですわ」

シャルロットは尻尾を振って喜んだ。
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