シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?

(小話)西大陸最恐の鬼嫁王妃のうわさ

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『悪徳王妃の手先ーー卑しい化け猫たちに制裁を』ーー例のメッセージカードをグレース皇子に見せると、彼は顔色ひとつ変えずにカードをゲーテに突っ返した。

「これはマース夫人の筆跡ではない。このメッセージは新大陸語で書かれている。マース夫人が普段使っているのは旧大陸語だ」

新大陸語は、エスター国など、旧クリシア帝国の従属国が使っている公用語だ。
旧大陸語を新大陸の先住民が覚えやすいようにシンプルに改変した簡易版。
似ているが、微妙に綴りや発音が異なるのだ。

そして、西大陸の人々が話すのは旧大陸語。

「でも…魔法で透視をすると、カードからはやはりマース夫人の屋敷と女性の姿が見えますが……」

アーサーは言った。

「誰かに頼んで書かせたとか?」

「いや…でも、こんなにあからさまな行動を取るか?マース夫人は先代王の愛人で、宮殿ではかなり人望もあり地位の高い方だ。御犬様の巫女だし…。他所の国から嫁いできたナージャ王妃よりも、貴族や民からの信頼は上だと思う。それにこんな汚い手段は取らないだろう。何か思うところがあれば王妃に直接物申す性格だろう?」

グレース皇子はマース夫人を弁護した。

「野良猫にイタズラをしてナージャ王妃を怒らせて、マース夫人を犯人に仕立てて……、罪を被せて断罪させようとしてる……?」

シャルロットは考えをまとめるように呟く。

「その場合、1番得をする人物こそ犯人でしょうね?」

グリムはにっこり笑った。

「マース夫人を追放したいナージャ王妃の自演とか?」

「それは絶対無いからな。母上は今までセクハラ発言をかましてきた無礼な国賓や長老会の重鎮の股間を、ヒールで思い切り蹴飛ばして瀕死にさせたぞ。ちなみに国王である父上にも大衆の前で3度やらかした。そんな陰湿なことはしない!」

ゲーテは言い切った。

「そうですとも!ナージャ王妃の逆鱗に触れて、国外追放や金的攻撃された貴婦人や官僚は星の数です。宰相である僕でもナージャ王妃には逆らえません」

「前に兄上を暗殺しようと企んでいた従兄や執事たちも、漁船に乗せられてしばらくは陸に帰れない過酷な社会奉仕活動の刑ですよ」

王子やグリムらは顔を真っ青にしてガクガク震えている。

「まあ、こんな恐怖政治を強いるような王妃様でも、筋は通っているし正義感はあるから慕われているんです。犯人な訳ないです!むしろ犯人は今のうちに国外へ逃げるべきですね、王妃様カンカンなんですよ~。死ぬより恐ろしい断罪が待っています!全裸で拘束されて、サメが潜んでいる海の中へ放り投げられるやもしれないですね~」

グリムは黒い笑みを浮かべた。
シャルロットとグレース皇子は顔面蒼白する。

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