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新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?
海の国 ミレンハン国
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これは、シャルロットとグレース皇子がエスター国へ旅立つ前のお話。
以前、「新婚旅行先にミレンハン国はいかがですか?」とミレンハン国の王妃ーーゲーテの母からお誘いを受けていたのだ。
ーーミレンハン国の宮殿に到着した。
夏仕様のワンピースを着たシャルロットは、ポメラニアンの姿になったグレイを胸に抱いて馬車から降りた。
続いて黒チワワのクロウとグレース皇子が外へ出る。
馬車を護衛していた親衛隊も馬から降りた。
「ゲーテ、久しぶりの実家ね」
シャルロットはゲーテに笑いかけた。
「ああ……」
「おかえりなさいませ!ゲーテ王子!」
真っ赤な赤珊瑚風の宮殿の中に入ると使用人らが一斉に頭を下げた。
その後すぐに来訪者にも丁寧に挨拶をした。
宮殿の中は王妃が飼ってる家猫がうじゃうじゃいた。
それぞれ上質なリボンや宝石のついたアクセサリーを身に付けて、各々自由に過ごしていた。
「ここは王妃の宮殿なんだ」
「え?この宮殿ぜんぶが?」
「ああ、元は王の妾たちが住む後宮だったが、父上は昔から母上一筋だからな」
奥へ進むと、王妃が待機している部屋があった。
南国リゾート風のお洒落な空間、開けっ放しの外窓からは海の地平線が見えて、陽光が差し込む。
中へ進むとマンチカンの猫を膝の上に乗せ、大きな椅子に座っていた。
「あら、いらっしゃい」
「お招きいただきありがとうございます、ナージャ王妃」
椅子から立ち上がった王妃に向かってグレース皇子は言った。
王妃はニコニコ楽しそうに笑ってる。
「ゲーテも久しぶりね。グレース皇子、シャルロットさん、今回は外交なんかじゃなく私の友人として個人的にお呼びしたの。どうぞ、気楽にバカンスを楽しんでちょうだい。海の側にミレンハン国の離宮があるわ。そこに宿泊しなさいね」
「ありがとうございます」
「おい、ババア、その猫……」
「ミャア!」
猫は愛らしく甘えるような声で鳴いた。
ゲーテは王妃が抱っこしているマンチカンの猫を凝視していた。
マンチカンの猫はゲーテ王子に飛び付いた。
そして獣化を解くと、すらっと細身でしなやかなラインの身体でプラチナブロンドの髪の美少年の姿になった。
オーギュスト国のヴェル王弟殿下だ。
「ゲーテ王子!久しぶり~!わー!本当に騎士になったんだね!」
ゲーテ王子にベタベタとくっ付いて、はしゃいでいる。
「ヴェル殿下!まあ、すごく身長が伸びたわね」
成長期だからだろう20センチくらいは背が伸びていた。
顔付きも大人びて、声もすっかり男の人みたいだ。
「うん!シャルロット妃殿下、グレース皇子、結婚おめでとう~」
ゲーテ王子の胸に抱き着きながらニッコリ笑っている。
「僕達もバカンスにやってきたの。猫神様も一緒だよ」
テーブルの下からひょっこりと三毛猫が顔を出した。
その後ろにはデブ猫がいる、オーギュスト国の官僚トムだ。
「久しぶりじゃな、娘」
真っ赤な鈴付きの首輪をしている。
「ユハに作ってもらった首輪だよ。これなら猫神様も神殿の外に出られるし、精霊が見えない人間にも見えるようになるみたい」
「へえ……、オーギュスト国もここにいらっしゃるなんて知らなかったわ」
「あはは、猫の姿でコッソリお忍び旅行なんだ~!猫を隠すなら猫がいっぱいいるミレンハン国が最適でしょう?ゲーテ王子も帰ってくるって聞いてね、ここに決めたの」
「猫神様は今まで一度もオーギュスト国から出たことがなくって……外国でバカンスがしたいと神殿で大暴れしていたので……ニャア」
デブ猫はげっそりしている。
「まあ、そうだったの」
「布教活動……営業じゃ、猫神の信者を増やすのじゃ!オーギュスト国に閉じ込めて置くのは宝の持ち腐れじゃろう?今後はワールドワイドに活躍するのじゃ!」
猫神様は今やオーギュスト国の国民的アイドルだ。
既にミレンハン国のナージャ王妃はメロメロな様子。
「そうそう、今度ミレンハン国の毎年恒例ビックイベントを催すの。国中の猫好きが集まる美猫コンテストよ。是非、それにエントリーするといいわ」
「楽しそうなイベントね」
「そんにゃん、わしの独り勝ちじゃわ」
「ふふ、グランプリの賞品は最上級のクロマグロ1本よ」
「マグロ?」
シャルロットの目が輝いた。
「シャルロット、マグロ好きだもんね~」
「ええ、ああ……、私も猫だったらコンテストに出られたのに……」
「じゃあ、お前も猫になるか?」
猫神様はくるりとシャルロットに振り返ると、突然魔法をかけた。
シャルロットの身体は発光し、瞬く間にソマリの子猫の姿になってしまった……。
黄金色のふわふわな柔らかい毛に大きな青い瞳の愛らしい猫。
「ミャ!?」
猫になったシャルロットは驚いた顔で腰を抜かしてしまった。
黒チワワのクロウが尻尾を振りながら金色の猫の身体に擦り寄る。
猫と犬がじゃれ合う光景は実に微笑ましい。
「わ~~シャルロット、かわいい~」
「よっしゃ、じゃあ俺様がシャルルの飼い主としてコンテストにエントリーしてやる!」
ゲーテは猫のシャルロットを抱き上げて宣言した。
「げ、ゲーテ?」
「俺様はお前の騎士だ、任せろ!必ずお前にマグロを食わせてやるからな」
「!?」
以前、「新婚旅行先にミレンハン国はいかがですか?」とミレンハン国の王妃ーーゲーテの母からお誘いを受けていたのだ。
ーーミレンハン国の宮殿に到着した。
夏仕様のワンピースを着たシャルロットは、ポメラニアンの姿になったグレイを胸に抱いて馬車から降りた。
続いて黒チワワのクロウとグレース皇子が外へ出る。
馬車を護衛していた親衛隊も馬から降りた。
「ゲーテ、久しぶりの実家ね」
シャルロットはゲーテに笑いかけた。
「ああ……」
「おかえりなさいませ!ゲーテ王子!」
真っ赤な赤珊瑚風の宮殿の中に入ると使用人らが一斉に頭を下げた。
その後すぐに来訪者にも丁寧に挨拶をした。
宮殿の中は王妃が飼ってる家猫がうじゃうじゃいた。
それぞれ上質なリボンや宝石のついたアクセサリーを身に付けて、各々自由に過ごしていた。
「ここは王妃の宮殿なんだ」
「え?この宮殿ぜんぶが?」
「ああ、元は王の妾たちが住む後宮だったが、父上は昔から母上一筋だからな」
奥へ進むと、王妃が待機している部屋があった。
南国リゾート風のお洒落な空間、開けっ放しの外窓からは海の地平線が見えて、陽光が差し込む。
中へ進むとマンチカンの猫を膝の上に乗せ、大きな椅子に座っていた。
「あら、いらっしゃい」
「お招きいただきありがとうございます、ナージャ王妃」
椅子から立ち上がった王妃に向かってグレース皇子は言った。
王妃はニコニコ楽しそうに笑ってる。
「ゲーテも久しぶりね。グレース皇子、シャルロットさん、今回は外交なんかじゃなく私の友人として個人的にお呼びしたの。どうぞ、気楽にバカンスを楽しんでちょうだい。海の側にミレンハン国の離宮があるわ。そこに宿泊しなさいね」
「ありがとうございます」
「おい、ババア、その猫……」
「ミャア!」
猫は愛らしく甘えるような声で鳴いた。
ゲーテは王妃が抱っこしているマンチカンの猫を凝視していた。
マンチカンの猫はゲーテ王子に飛び付いた。
そして獣化を解くと、すらっと細身でしなやかなラインの身体でプラチナブロンドの髪の美少年の姿になった。
オーギュスト国のヴェル王弟殿下だ。
「ゲーテ王子!久しぶり~!わー!本当に騎士になったんだね!」
ゲーテ王子にベタベタとくっ付いて、はしゃいでいる。
「ヴェル殿下!まあ、すごく身長が伸びたわね」
成長期だからだろう20センチくらいは背が伸びていた。
顔付きも大人びて、声もすっかり男の人みたいだ。
「うん!シャルロット妃殿下、グレース皇子、結婚おめでとう~」
ゲーテ王子の胸に抱き着きながらニッコリ笑っている。
「僕達もバカンスにやってきたの。猫神様も一緒だよ」
テーブルの下からひょっこりと三毛猫が顔を出した。
その後ろにはデブ猫がいる、オーギュスト国の官僚トムだ。
「久しぶりじゃな、娘」
真っ赤な鈴付きの首輪をしている。
「ユハに作ってもらった首輪だよ。これなら猫神様も神殿の外に出られるし、精霊が見えない人間にも見えるようになるみたい」
「へえ……、オーギュスト国もここにいらっしゃるなんて知らなかったわ」
「あはは、猫の姿でコッソリお忍び旅行なんだ~!猫を隠すなら猫がいっぱいいるミレンハン国が最適でしょう?ゲーテ王子も帰ってくるって聞いてね、ここに決めたの」
「猫神様は今まで一度もオーギュスト国から出たことがなくって……外国でバカンスがしたいと神殿で大暴れしていたので……ニャア」
デブ猫はげっそりしている。
「まあ、そうだったの」
「布教活動……営業じゃ、猫神の信者を増やすのじゃ!オーギュスト国に閉じ込めて置くのは宝の持ち腐れじゃろう?今後はワールドワイドに活躍するのじゃ!」
猫神様は今やオーギュスト国の国民的アイドルだ。
既にミレンハン国のナージャ王妃はメロメロな様子。
「そうそう、今度ミレンハン国の毎年恒例ビックイベントを催すの。国中の猫好きが集まる美猫コンテストよ。是非、それにエントリーするといいわ」
「楽しそうなイベントね」
「そんにゃん、わしの独り勝ちじゃわ」
「ふふ、グランプリの賞品は最上級のクロマグロ1本よ」
「マグロ?」
シャルロットの目が輝いた。
「シャルロット、マグロ好きだもんね~」
「ええ、ああ……、私も猫だったらコンテストに出られたのに……」
「じゃあ、お前も猫になるか?」
猫神様はくるりとシャルロットに振り返ると、突然魔法をかけた。
シャルロットの身体は発光し、瞬く間にソマリの子猫の姿になってしまった……。
黄金色のふわふわな柔らかい毛に大きな青い瞳の愛らしい猫。
「ミャ!?」
猫になったシャルロットは驚いた顔で腰を抜かしてしまった。
黒チワワのクロウが尻尾を振りながら金色の猫の身体に擦り寄る。
猫と犬がじゃれ合う光景は実に微笑ましい。
「わ~~シャルロット、かわいい~」
「よっしゃ、じゃあ俺様がシャルルの飼い主としてコンテストにエントリーしてやる!」
ゲーテは猫のシャルロットを抱き上げて宣言した。
「げ、ゲーテ?」
「俺様はお前の騎士だ、任せろ!必ずお前にマグロを食わせてやるからな」
「!?」
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