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獣人の国・オーギュスト国からの使節団〜ニャンコ王配殿下の焼きたて手作りパン
ゲーテ王子とデート
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城下町へ続く道に馬のつま音が響く。
シャルロットはゲーテ王子と騎士団所有の黒い馬に乗り城下を目指していた。
「寒…」
「ごめんなさい、付き合わせてしまって…」
「いんや、しかし見たかあのクソ野郎どもの負けて落胆する顔!コハンのあの悔しそうな顔!スカッとしたわ!」
ゲラゲラとゲーテ王子は笑った。
トランプは圧倒的にコハンとゲーテ王子が強かった、結局僅差でゲーテ王子が勝利しシャルロットとのデート権を手に入れたのだった。
「ゲーテ王子はカードがお強いのね」
「昔からグリムを相手にしてたからな!脳みそまで筋肉が詰まった騎士らに負けてたまるか!」
馬は街の中に入った。
「わぁっ」
街路樹やお店の軒下には朧げな光を放つパールがいくつも連なったような装飾品が設置されている。
まるでイルミネーションのようだ。
それから光の道を馬でぐるりと巡った。
以前もグレース皇子と来たことがあった青空市場も以前より賑わっていて、子供たちが楽しそうに駆け回っている。
「リディから聞いて見てみたかったのよね!クリスマスみたいだわ」
「なんだ?それは。こんなもの見るだけで面白いのか?女ってよくわからんな」
「ゲーテ王子って王子のくせにガサツだしロマンチックのかけらもありませんわね」
「なんだと?王子は関係ないだろ!」
しばらく街をぶらついていた二人だが突然空に上向きの雷が走った。
そして頭上で突然ドカン!と爆音のような大きな雷鳴が轟いた。
「ぎゃあ!」
ゲーテ王子がビクッと身体を震わせる。
「雪起こしだわ、雪でも降るのかしら?もう帰りましょうか」
ゲーテ王子は馬を城の方へ引き返した。
来た時よりも日が傾いていて薄暗い林の中。
パラパラと空から雪が降ってきた。どこからか獣の遠吠えも聞こえる。
「近道するか。しっかり掴まってろよ」
ぐいっと強引に身体を押さえられゲーテ王子の胸に抱き寄せられた。
「ええ!?」
馬がスピードを上げて獣道を突き進む。
荒っぽい操縦。
「きゃあ!ちょっと!!ゆっくり走ってちょうだい!危ないわ!」
必死で抗議するが、ゲーテ王子は楽しそうに笑ってる。
「めんどくせー」
「あなたね~!」
ミャア、ミャア……
ふと木々の奥からか細い子猫の鳴き声が聞こえた。
「ゲーテ王子、停まってくださる?」
「なんだ?」
「猫の鳴き声が聞こえるわ」
鳴き声の方へ進むと、ぽっかりと空いた大きな穴に子猫が落ちていた。
白いマンチカンの子猫だ。
ゲーテ王子は子猫を見つけたと同時に真っ先に穴の中へ飛び降りた。
人間が入るとちょうど腰あたりに掛かる深さ。
ゲーテ王子は子猫を抱えて、穴から脱出した。
そして着ていた騎士服の上着を脱いで寒さに凍える子猫を包んだ。
「まあ、かわいい、怪我はない?」
「大丈夫だろ」
ゲーテ王子は子猫の顎の下を指で撫でる。
子猫はゴロゴロと喉を鳴らした。
愛らしい子猫に表情筋を緩ませている。意外にも猫好きのようだ。
「ヴェル!」
突然草陰から男が飛び出してきた。
「ヴェル!?」
黒い外套に身を包み、グリーンの瞳とグレーの髪をした男だった。
子猫はゲーテ王子の腕から飛び降りで一目散に男の脚に縋った。
「アル~!」
子猫が喋った!
シャルロットとゲーテ王子は驚く。
子猫を抱き上げた男の前で棒立ちしていると、そこへワラワラと大型犬が集まってきた。
そして大型犬の姿から次々と大男の姿に変化した。
皆同じ紋章入りの黒い外套を着ている。
「なんだ!?お前らは…」
「獣人?」
「その服は……クライシア大国の騎士か?」
ゲーテ王子の着ている騎士服を見て男は呟いた。
「我はオーギュスト国のアルハンゲルだ。殿下が雷に驚いて林に逃げてしまって探していたのだ」
殿下?その子猫が?
困惑する二人にグレーの髪の男はぺこりと会釈をした。
「申し訳ないが、クライシア城まで案内していただけないか?」
*
応接間にはシャルロット、左王、ゲーテ王子、グレース皇子とその膝の上でうたた寝するクロウ、アルハンゲル王配、そして白い子猫から変化した冒頭の美少年・オーギュスト国の王弟殿下ヴェル。
オーギュスト国から表敬訪問にやってきた彼らの背後には身長二メートル越えの迫力ある見た目の騎士が立っている。
美しいプラチナブロンドの猫っ毛に澄んだ茶色の丸い瞳の美少年がジッとこちらを見ている。
フリル多用の白いブラウスがよく似合ってる。
(カワイイ!)
シャルロットは心の中で叫び、プルプルと身体を震わせて悶えた。
「……ヴェル、ご挨拶をしなさい」
アルハンゲル王配は冷たい口調だが地声らしい。
不機嫌そうな表情もデフォのようだ。
「ヴェル・ウィ・オーギュストです。この度は助けていただきありがとうございます」
か細い声、緊張してるみたい。
まるで借りてきた猫ね。
見知らぬ国で知らない大人にたくさん囲まれたらそりゃ緊張するだろう。
「はじめまして!わたしはシャルロットですわ。オリヴィア小国の王女で、この国の皇子さまの婚約者です」
にこやかに笑うと、ヴェルはホッとしたように少し笑顔になった。
女性の方が緊張しないわよね?シャルロットなりの配慮だった。
「よろしく……お願いします。ね、ねえ、シャルロット姫様、幻狼様は?クライシア大国には王家に仕える狼がいるんでしょう!?僕、ずっと見てみたかったんです!すごくお強くてかっこいいんでしょ!?」
「え?」
キラキラとした瞳。
シャルロットは何も考えずにグレース皇子の膝の上のクロウを指差した。
クロウはフフンと自慢げにくるりと一回転するがどこからどう見てもただのチワワだ、チワワと目が合ったヴェルの顔からサーっと表情が抜け落ちる。
「犬!?」
「あっこれは幻狼の仮の姿ですわ!」
「じゃあ狼の姿を見せてよ!」
「ごめんなさい、今この子は幻狼の資格を免停中なの。狼の姿になれないのよ」
「幻狼は免許制じゃないよ!?」
クロウは反論する。
ヴェルは露骨にガッカリしている。
「ちぇっ、せっかくクライシア大国まで来たのに……」
「ヴェル!要人の前だぞ!」
「気にすることない。長旅で疲れただろう、食事会は明日へ延期しよう。今夜はゆっくりしてくれ。迎賓館に案内する」
グレース皇子が淡々と述べる。
ヴィルはソファーから軽やかに立ち上がり、立っていたゲーテ王子の腕をぎゅっと掴んだ。
「僕この騎士さまと一緒がいい」
「俺様は騎士じゃない!王子だ!」
ゲーテ王子に早速懐いたようだ。
「申し訳ない、甘やかされて育ったのでワガママなんだ」
アルハンゲル王配が言う。
「まあ、ゲーテ王子みたいね!」
「聞こえているぞ!女!俺はワガママじゃない!一緒にすんなっ。俺は騎士団の詰め所に戻らないといけない、お前に構ってる暇はない!」
「僕も騎士団の所に連れてって!コハンもいるんでしょ?」
駄々をこねるヴェル。
「良いだろう、俺が連れてってやる」
グレース皇子は席を立ち言った。
「やったぁ~、ねえ、今夜はゲーテと一緒に寝てもいい?」
「ハァ!?なんでお前とっ!」
ヴェルは再び猫化した。
オーギュスト国は一般的な公爵や伯爵などと言った身分とは別に、獣人が変化する獣の種類で身分が決まるらしい。
頂点の王族や公爵は猫、次いで中層の貴族が犬、下層の貴族以下は猫犬以外の動物らしい。
ヴェルは猫の姿でゲーテ王子の脚にあざと可愛く擦り寄り甘えた鳴き声を出す。
ゲーテ王子はグッと唇を噛み締め、猫を抱き上げた。
「一緒に寝てくれたら、肉球触らせてあげる」
ヴェルはゲーテ王子の胸の中で腕に顔をスリスリしながら言った。
ワンコの騎士達がその周りをうろつく。
「殿下!自分を安売りしてはいけません!」
「殿下のやんごとない肉球をプニプニできるなど、この上ない幸せと思え!」
「ぐっ……」
ゲーテ王子は葛藤している。
「ふふふ、僕のお腹に顔うずめてもいいよ?」
「…………今夜だけだぞ」
屈辱的!と言わんばかりの顔と声で凄んで言った。
ゲーテ王子が負けた。
天使の顔した小悪魔ね。
猫も可愛いが犬派で良かったとシャルロットは心の中で呟き、苦笑した。
シャルロットはゲーテ王子と騎士団所有の黒い馬に乗り城下を目指していた。
「寒…」
「ごめんなさい、付き合わせてしまって…」
「いんや、しかし見たかあのクソ野郎どもの負けて落胆する顔!コハンのあの悔しそうな顔!スカッとしたわ!」
ゲラゲラとゲーテ王子は笑った。
トランプは圧倒的にコハンとゲーテ王子が強かった、結局僅差でゲーテ王子が勝利しシャルロットとのデート権を手に入れたのだった。
「ゲーテ王子はカードがお強いのね」
「昔からグリムを相手にしてたからな!脳みそまで筋肉が詰まった騎士らに負けてたまるか!」
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「わぁっ」
街路樹やお店の軒下には朧げな光を放つパールがいくつも連なったような装飾品が設置されている。
まるでイルミネーションのようだ。
それから光の道を馬でぐるりと巡った。
以前もグレース皇子と来たことがあった青空市場も以前より賑わっていて、子供たちが楽しそうに駆け回っている。
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「なんだと?王子は関係ないだろ!」
しばらく街をぶらついていた二人だが突然空に上向きの雷が走った。
そして頭上で突然ドカン!と爆音のような大きな雷鳴が轟いた。
「ぎゃあ!」
ゲーテ王子がビクッと身体を震わせる。
「雪起こしだわ、雪でも降るのかしら?もう帰りましょうか」
ゲーテ王子は馬を城の方へ引き返した。
来た時よりも日が傾いていて薄暗い林の中。
パラパラと空から雪が降ってきた。どこからか獣の遠吠えも聞こえる。
「近道するか。しっかり掴まってろよ」
ぐいっと強引に身体を押さえられゲーテ王子の胸に抱き寄せられた。
「ええ!?」
馬がスピードを上げて獣道を突き進む。
荒っぽい操縦。
「きゃあ!ちょっと!!ゆっくり走ってちょうだい!危ないわ!」
必死で抗議するが、ゲーテ王子は楽しそうに笑ってる。
「めんどくせー」
「あなたね~!」
ミャア、ミャア……
ふと木々の奥からか細い子猫の鳴き声が聞こえた。
「ゲーテ王子、停まってくださる?」
「なんだ?」
「猫の鳴き声が聞こえるわ」
鳴き声の方へ進むと、ぽっかりと空いた大きな穴に子猫が落ちていた。
白いマンチカンの子猫だ。
ゲーテ王子は子猫を見つけたと同時に真っ先に穴の中へ飛び降りた。
人間が入るとちょうど腰あたりに掛かる深さ。
ゲーテ王子は子猫を抱えて、穴から脱出した。
そして着ていた騎士服の上着を脱いで寒さに凍える子猫を包んだ。
「まあ、かわいい、怪我はない?」
「大丈夫だろ」
ゲーテ王子は子猫の顎の下を指で撫でる。
子猫はゴロゴロと喉を鳴らした。
愛らしい子猫に表情筋を緩ませている。意外にも猫好きのようだ。
「ヴェル!」
突然草陰から男が飛び出してきた。
「ヴェル!?」
黒い外套に身を包み、グリーンの瞳とグレーの髪をした男だった。
子猫はゲーテ王子の腕から飛び降りで一目散に男の脚に縋った。
「アル~!」
子猫が喋った!
シャルロットとゲーテ王子は驚く。
子猫を抱き上げた男の前で棒立ちしていると、そこへワラワラと大型犬が集まってきた。
そして大型犬の姿から次々と大男の姿に変化した。
皆同じ紋章入りの黒い外套を着ている。
「なんだ!?お前らは…」
「獣人?」
「その服は……クライシア大国の騎士か?」
ゲーテ王子の着ている騎士服を見て男は呟いた。
「我はオーギュスト国のアルハンゲルだ。殿下が雷に驚いて林に逃げてしまって探していたのだ」
殿下?その子猫が?
困惑する二人にグレーの髪の男はぺこりと会釈をした。
「申し訳ないが、クライシア城まで案内していただけないか?」
*
応接間にはシャルロット、左王、ゲーテ王子、グレース皇子とその膝の上でうたた寝するクロウ、アルハンゲル王配、そして白い子猫から変化した冒頭の美少年・オーギュスト国の王弟殿下ヴェル。
オーギュスト国から表敬訪問にやってきた彼らの背後には身長二メートル越えの迫力ある見た目の騎士が立っている。
美しいプラチナブロンドの猫っ毛に澄んだ茶色の丸い瞳の美少年がジッとこちらを見ている。
フリル多用の白いブラウスがよく似合ってる。
(カワイイ!)
シャルロットは心の中で叫び、プルプルと身体を震わせて悶えた。
「……ヴェル、ご挨拶をしなさい」
アルハンゲル王配は冷たい口調だが地声らしい。
不機嫌そうな表情もデフォのようだ。
「ヴェル・ウィ・オーギュストです。この度は助けていただきありがとうございます」
か細い声、緊張してるみたい。
まるで借りてきた猫ね。
見知らぬ国で知らない大人にたくさん囲まれたらそりゃ緊張するだろう。
「はじめまして!わたしはシャルロットですわ。オリヴィア小国の王女で、この国の皇子さまの婚約者です」
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女性の方が緊張しないわよね?シャルロットなりの配慮だった。
「よろしく……お願いします。ね、ねえ、シャルロット姫様、幻狼様は?クライシア大国には王家に仕える狼がいるんでしょう!?僕、ずっと見てみたかったんです!すごくお強くてかっこいいんでしょ!?」
「え?」
キラキラとした瞳。
シャルロットは何も考えずにグレース皇子の膝の上のクロウを指差した。
クロウはフフンと自慢げにくるりと一回転するがどこからどう見てもただのチワワだ、チワワと目が合ったヴェルの顔からサーっと表情が抜け落ちる。
「犬!?」
「あっこれは幻狼の仮の姿ですわ!」
「じゃあ狼の姿を見せてよ!」
「ごめんなさい、今この子は幻狼の資格を免停中なの。狼の姿になれないのよ」
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クロウは反論する。
ヴェルは露骨にガッカリしている。
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「気にすることない。長旅で疲れただろう、食事会は明日へ延期しよう。今夜はゆっくりしてくれ。迎賓館に案内する」
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ヴィルはソファーから軽やかに立ち上がり、立っていたゲーテ王子の腕をぎゅっと掴んだ。
「僕この騎士さまと一緒がいい」
「俺様は騎士じゃない!王子だ!」
ゲーテ王子に早速懐いたようだ。
「申し訳ない、甘やかされて育ったのでワガママなんだ」
アルハンゲル王配が言う。
「まあ、ゲーテ王子みたいね!」
「聞こえているぞ!女!俺はワガママじゃない!一緒にすんなっ。俺は騎士団の詰め所に戻らないといけない、お前に構ってる暇はない!」
「僕も騎士団の所に連れてって!コハンもいるんでしょ?」
駄々をこねるヴェル。
「良いだろう、俺が連れてってやる」
グレース皇子は席を立ち言った。
「やったぁ~、ねえ、今夜はゲーテと一緒に寝てもいい?」
「ハァ!?なんでお前とっ!」
ヴェルは再び猫化した。
オーギュスト国は一般的な公爵や伯爵などと言った身分とは別に、獣人が変化する獣の種類で身分が決まるらしい。
頂点の王族や公爵は猫、次いで中層の貴族が犬、下層の貴族以下は猫犬以外の動物らしい。
ヴェルは猫の姿でゲーテ王子の脚にあざと可愛く擦り寄り甘えた鳴き声を出す。
ゲーテ王子はグッと唇を噛み締め、猫を抱き上げた。
「一緒に寝てくれたら、肉球触らせてあげる」
ヴェルはゲーテ王子の胸の中で腕に顔をスリスリしながら言った。
ワンコの騎士達がその周りをうろつく。
「殿下!自分を安売りしてはいけません!」
「殿下のやんごとない肉球をプニプニできるなど、この上ない幸せと思え!」
「ぐっ……」
ゲーテ王子は葛藤している。
「ふふふ、僕のお腹に顔うずめてもいいよ?」
「…………今夜だけだぞ」
屈辱的!と言わんばかりの顔と声で凄んで言った。
ゲーテ王子が負けた。
天使の顔した小悪魔ね。
猫も可愛いが犬派で良かったとシャルロットは心の中で呟き、苦笑した。
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