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【過去編】転生先はオリヴィア小国のお姫様?シャルロットとお兄様のホームメイド・トンプース
ホッと朝ごはん
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ここはどこだろう……?
シャルロットは寝間着を着せられ、大きなベッドの上に寝かされた。
世話をするのは10歳前後くらいの少女。メイドさんのような衣装を着ているので使用人だろう、それにここは西洋のお城のようだ。
「シャルロット様、何か飲みますか?」
彼女はみんなからリリーって呼ばれていた。
城の使用人の子供で、シャルロットの世話係をしているそうだ。
「は、はい」
「元気がないですね。心配いらないですよ。結婚の話は破談になったらしいです。今、大人たちで話し合いをしてますよ」
優しく毛布を掛け直してくれた。
落ち着いて来たら、徐々に記憶が戻って来た。
ここはオリヴィア小国という北国で、自分はこの国の王女だと…。
お城って言っても、思っていたより古くて広いけれど、生活感があって落ち着く雰囲気だ。
家族や使用人、騎士のような人も居たけどみんな仲が良くてフレンドリーで大きな家族のようだ。
(ここは天国なの?それとも夢?)
確かに仕事帰りに横断歩道で事故にあって即死だった。それなのに何故お城でお姫様になってるんだろう?冷静になっても、やっぱり理解が出来なかった。
(…陽太、どうしてるだろう?)
はじめに息子の顔が浮かんだ。
(早く家に帰って晩ごはん作らないと…、この不思議な夢はいつ覚めるんだろう?)
明らかに日本ではないし、言語も違うのにすんなりと会話ができた。
リリーが持ってきてくれたホットミルクを飲んだ。ハチミツの香りと、濃厚な牛乳の味。
「おいしい……」
スーパーの安売りの牛乳とは全然違う。
「朝の搾りたてです。シャルロット様がお世話してた乳牛マーガレットのミルクよ」
「このお城…牛?がいるの?」
「……」
リリーがびっくりした顔をしてる。
「ええ、そうですよ。シャルロット様、やっぱり崖から落ちて頭が混乱してるのね」
「あ……大丈夫です。えっと…リリー……」
「ふふ。痛むところがあれば言ってくださいね」
「うん」
その日はそのまま眠った。
*
翌朝、ニワトリの鳴き声で目が覚めた。
ベッドから降りて私室を出ると、広い木の廊下をペタペタ歩いた。
部屋を出る前に大きな鏡の前に立って自分の姿を見て驚いた。鏡に写っていたのは金髪碧眼の白人の女の子だった。
「あ!シャルロット!」
1階に降りると昨日の双子のイケメンがいた。
「お……お兄様……」
シャルロットの頭の片隅にぼやっと残る身体の記憶の中では、双子のことをそう呼んで懐いてた。
「もう起きても平気か?」
「ごめんねー!シャルロット!お母様の頭グリグリの刑、痛かった~」
双子にギュッと抱きしめられてシャルロットは戸惑う。
「……」
「おいで。お腹が空いただろ。朝ご飯を食べに行こう」
シーズはシャルロットの手を優しく握ると廊下を歩き出した。
「今朝は、シャルロットが好きな料理を作らせたよ」
シャルロットは照れ笑いしながらコクコクと頭を縦に振った。
「ああ~!シャルロット!お早う!」
シャルロットの父も双子で同じ顔の金髪のおじ様が横並びに座っていた。
彼らがオリヴィア小国の王。
それぞれの妻が使用人と一緒に料理をテーブルに並べて朝食の用意をしていた。
大きな木のテーブルに椅子。
テーブルクロスは暖かみのある色。
どんなに忙しくても、みんなで一緒にご飯を食べるのが伝統だ。
厨房では使用人らも一緒に食事をしている。
「おいしそう~」
思わず笑顔になるシャルロット。
温かみのある田舎料理がテーブルに並んでいた。
(甘くて…ちょっとパサパサな食パン?)
ブラウンパンにバターがたっぷり塗られている。
砂糖入りバターでジャリジャリした食感だ。
(パンの食感は日本のパンと違うし、ライ麦の酸っぱさがあるけど……身体が慣れているせいか美味しい?)
オリヴィア小国は小麦が育ち難いから、主食はライ麦パンか、畑で採れたジャガイモを蒸して潰したマッシュポテトの日が多い。
領地は寒さが厳しくて穀物が育ち難い土地なので、肉や魚、牛乳やチーズなどの乳製品を多く食べている。
王族だが、大昔から庶民的な暮らしをしているようだ。
「お兄様……、あの人は?」
「ああ、ペレー国の王子か?賓客用の館に泊まってるよ」
「お、お礼……言わなきゃ!まだ言ってない…。私、会いに行ってもいい?」
あの時、呆気にとられてお礼を言いそびれていた事を思い出していた。
「よし、お兄様が連れてってあげる」
「う、うん…」
「そうだ。シャルロット、これ、ルートヴィヒ王子からの贈り物だ」
「わあ!」
星の形をしたクッキーだ。
一つ味見をすると甘くて、シナモンの香りがした。
シャルロットはニコニコ笑った。
シャルロットは寝間着を着せられ、大きなベッドの上に寝かされた。
世話をするのは10歳前後くらいの少女。メイドさんのような衣装を着ているので使用人だろう、それにここは西洋のお城のようだ。
「シャルロット様、何か飲みますか?」
彼女はみんなからリリーって呼ばれていた。
城の使用人の子供で、シャルロットの世話係をしているそうだ。
「は、はい」
「元気がないですね。心配いらないですよ。結婚の話は破談になったらしいです。今、大人たちで話し合いをしてますよ」
優しく毛布を掛け直してくれた。
落ち着いて来たら、徐々に記憶が戻って来た。
ここはオリヴィア小国という北国で、自分はこの国の王女だと…。
お城って言っても、思っていたより古くて広いけれど、生活感があって落ち着く雰囲気だ。
家族や使用人、騎士のような人も居たけどみんな仲が良くてフレンドリーで大きな家族のようだ。
(ここは天国なの?それとも夢?)
確かに仕事帰りに横断歩道で事故にあって即死だった。それなのに何故お城でお姫様になってるんだろう?冷静になっても、やっぱり理解が出来なかった。
(…陽太、どうしてるだろう?)
はじめに息子の顔が浮かんだ。
(早く家に帰って晩ごはん作らないと…、この不思議な夢はいつ覚めるんだろう?)
明らかに日本ではないし、言語も違うのにすんなりと会話ができた。
リリーが持ってきてくれたホットミルクを飲んだ。ハチミツの香りと、濃厚な牛乳の味。
「おいしい……」
スーパーの安売りの牛乳とは全然違う。
「朝の搾りたてです。シャルロット様がお世話してた乳牛マーガレットのミルクよ」
「このお城…牛?がいるの?」
「……」
リリーがびっくりした顔をしてる。
「ええ、そうですよ。シャルロット様、やっぱり崖から落ちて頭が混乱してるのね」
「あ……大丈夫です。えっと…リリー……」
「ふふ。痛むところがあれば言ってくださいね」
「うん」
その日はそのまま眠った。
*
翌朝、ニワトリの鳴き声で目が覚めた。
ベッドから降りて私室を出ると、広い木の廊下をペタペタ歩いた。
部屋を出る前に大きな鏡の前に立って自分の姿を見て驚いた。鏡に写っていたのは金髪碧眼の白人の女の子だった。
「あ!シャルロット!」
1階に降りると昨日の双子のイケメンがいた。
「お……お兄様……」
シャルロットの頭の片隅にぼやっと残る身体の記憶の中では、双子のことをそう呼んで懐いてた。
「もう起きても平気か?」
「ごめんねー!シャルロット!お母様の頭グリグリの刑、痛かった~」
双子にギュッと抱きしめられてシャルロットは戸惑う。
「……」
「おいで。お腹が空いただろ。朝ご飯を食べに行こう」
シーズはシャルロットの手を優しく握ると廊下を歩き出した。
「今朝は、シャルロットが好きな料理を作らせたよ」
シャルロットは照れ笑いしながらコクコクと頭を縦に振った。
「ああ~!シャルロット!お早う!」
シャルロットの父も双子で同じ顔の金髪のおじ様が横並びに座っていた。
彼らがオリヴィア小国の王。
それぞれの妻が使用人と一緒に料理をテーブルに並べて朝食の用意をしていた。
大きな木のテーブルに椅子。
テーブルクロスは暖かみのある色。
どんなに忙しくても、みんなで一緒にご飯を食べるのが伝統だ。
厨房では使用人らも一緒に食事をしている。
「おいしそう~」
思わず笑顔になるシャルロット。
温かみのある田舎料理がテーブルに並んでいた。
(甘くて…ちょっとパサパサな食パン?)
ブラウンパンにバターがたっぷり塗られている。
砂糖入りバターでジャリジャリした食感だ。
(パンの食感は日本のパンと違うし、ライ麦の酸っぱさがあるけど……身体が慣れているせいか美味しい?)
オリヴィア小国は小麦が育ち難いから、主食はライ麦パンか、畑で採れたジャガイモを蒸して潰したマッシュポテトの日が多い。
領地は寒さが厳しくて穀物が育ち難い土地なので、肉や魚、牛乳やチーズなどの乳製品を多く食べている。
王族だが、大昔から庶民的な暮らしをしているようだ。
「お兄様……、あの人は?」
「ああ、ペレー国の王子か?賓客用の館に泊まってるよ」
「お、お礼……言わなきゃ!まだ言ってない…。私、会いに行ってもいい?」
あの時、呆気にとられてお礼を言いそびれていた事を思い出していた。
「よし、お兄様が連れてってあげる」
「う、うん…」
「そうだ。シャルロット、これ、ルートヴィヒ王子からの贈り物だ」
「わあ!」
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シャルロットはニコニコ笑った。
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