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【過去編】転生先はオリヴィア小国のお姫様?シャルロットとお兄様のホームメイド・トンプース
プロローグ
しおりを挟むーーオリヴィア小国 首都トゥエルフスナイト
国といっても下町風の田舎。人口も少なくて人間よりも乳牛の数の方が多い。酪農家が多く、どこもかしこも牧場や田園や果樹園などが広がっている。
オリヴィア小国の双子の王子シャリーとシーズは新大陸にあるエスター国へ留学し、全寮制のアカデミーに通っていた。
故郷オリヴィア小国に帰省するのは夏の長期休暇だけだった。
そして双子が13歳になる年に、妹のシャルロットが産まれた。
昔から娘を欲しがっていた父と母の待望の女の子、オリヴィア小国のお姫様だ。
両親の喜びようは凄まじかった。
手紙で妹が出来たと報告を受けた時は、実感もなくて特に感情はなかったが、翌年の夏に帰省して妹の顔を見た瞬間、電撃が走った。
「☆%^_^&~~~!」
金髪碧眼、長い睫毛に、ぷくぷくほっぺの人懐こいベイビー。
言葉にならないほど可愛くて、双子の王子は妹に夢中になった。
勉強が苦手なシャリー王子と授業をサボってばかりのシーズ王子は留年の危機もあったが、早く帰国して可愛い妹と暮らしたいという強い願望のパワーでなんとか卒業し帰国できた。
小さなシャルロットとのお昼寝権を巡ってよく双子は喧嘩した。
いち早く自分の名前を呼ばせようと、必死になってシャルロットに教え込んでいた日々が懐かしいーー。
けれど、オリヴィア小国の王家と親戚関係にあるソレイユ国の王家に招かれて、宮殿のパーティーにシャルロットを連れて行ったのがまずかった。
オリヴィア小国は元ソレイユ国の公爵領だった小さな田舎の国だが、精霊王の由緒正しい血筋。
オリヴィア小国の王家は代々男系だからプリンセスはかなり珍しい。 それに、直系の女の子は精霊王の加護を持って産まれてくると言い伝えられている。
魔法が使える訳ではないが、精霊から愛されて、召喚して使役することもできるらしい。
特に魔人の国はその加護を喉から手が出るほど欲しがっていた。
なので、政略結婚や見合いの打診や、それに準ずる手紙は余裕で百通を超えていた。
「シャルロットは他国なんぞに嫁に出さんぞ!!」
もちろん、親バカ&シスコンな父と兄は全力で拒んだ。
しかし大人の事情で断り切れない縁談もあった。
シャルロットが5歳の冬の終わり、同じ大陸の東側にあるペレー国の王家からお見合いの話が舞い込んだ。
相手は30歳の独身の第二王子で本人が申し出てきた。小児性愛という性癖があると大陸中でもっぱらの噂。
もちろん双子は大激怒した。
「お父様!噂のロリコン王子だよ!お見合いさせるって正気?」
「でもなぁ~、シャリー、ペレー国には借りがあるから拒否はできん。もちろん会うだけ会って断るつもりだよ」
断るつもりだと無理やり納得させられたのだが、この弱気で及び腰の父が不安でーーお見合い当日の早朝、双子のシャリーとシーズは小さなシャルロットを馬に乗せて外国へ逃亡する事にした。
そして冷たい森の中、国境付近で、シャリーとシャルロットが乗った馬が崖から滑落してしまう……。
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