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シャルロットと精霊博士のサンクスギビング・ターキーデー
ご馳走ローストターキー
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ベンジャミンが出来上がったローストターキーを、真っ赤なテーブルクロスを引いた上に置くと、美味しそうな匂いに誘われて幻狼のオオカミ達がわらわらと集まって来た。
壁際にお行儀よく横並びになって、ちょこんとお座りして、床の上に置かれた小さな卓の前でゴハンを待っていた。
「ほらよ、お前らは1匹で1羽な」
ベンジャミンは幻狼達にターキー配った。赤ちゃんオオカミのスノウには一口大にカットしたターキーのモモ肉。
大食いな幻狼なら大きな七面鳥もペロリと骨ごと食べてしまうだろう。
「美味しそう~!」
クロウとエステルは笑顔で尻尾を振った。
こんがりとローストされた立派な七面鳥の丸焼き。
おなかにはリンゴやレモン、セロリなど、野菜や果物の詰め物がいっぱい入っている。
ホクホクのマッシュジャガイモ添えられている、溶けたバターと七面鳥の肉汁が絡んでいて美味しそうな匂いがした。
ジュリアンはカボチャのパイを、シャルロットは温かい根菜スープとコーンブレッドを作ってテーブルに並べた。
「オリヴィア小国からお土産にスパークリングワイン持ってきたんです、どうぞ」
「わあ、ありがとうございます!イルカルさん」
ジュリアンの祖母は最初はかなり緊張していた様子だったが、今は騎士のユーシンとゲーテと仲良くなって楽しそうにお喋りしてる。
「ゲーテとキャロルさんにはお魚料理を作ったの、どうぞ」
シャルロットはグリルした魚や根菜を白い皿に盛り、2人へ出した。
ミレンハン国は伝統的に冬が始まる前に断肉する仕来りがあり、今はちょうどその期間に当たるので肉が食べられない。
キャロルはあまり お肉を好まないので、シャルロットは彼らのために、みんなとは別でご馳走をこさえた。
「ありがとうございます。姫様」
「おいシャルル。俺様もあのチキンの丸焼きが食べたい。ちょっとくらい食っても怒られねえだろ」
「ダメよ。ミレンハン国のグリムさんからお手紙で再三忠告されてるのよ。また作ってあげるわ。このお魚も高いのよ?美味しいと思うわ」
盛り付ける際にシャルロットの手の甲に、ローストターキーの肉汁ソースがついてしまっていたようだ。
ゲーテはニヤッと笑うとシャルロットの手を掴み、ペロリと彼女の手の甲を舐めた。
「きゃ!何するの!?バカ!」
シャルロットは料理を運ぶためのトレーでゲーテの頭を殴る。
「ソースくらいは味見したっていいだろ!」
「だからって、お行儀が悪いわ!」
シャルロットのエプロンの裾を、隣にいたグレース皇子が引っ張った。
「シャルロット、このチキンを切り分けてくれ」
「グレース様、はい、今カットするわね」
グレース皇子はゲーテを睨んでいた。
ゲーテは余裕そうに笑っているだけだ。
「シャルロットにちょっかい出さないでくれ、お前は騎士なんだろ!」
「フン、小さい男だな」
「なんだと!?」
睨み合っているとシャルロットが再び2人の間に現れた。
そして彼らの前にケールとオレンジ芋のマッシュに、根菜のバター炒めやサラダボウルを置いた。
「はい、この野菜を完食するまでお肉とデザートは抜きよ。2人ともしっかり食べてね」
野菜嫌いの王子様達に難題を押し付け、ターキーを切り分け始めた。
「クロウにあげたり、お残しは許さないわ。私、ちゃんと見てますからね」
「うっ……」
2人の顔が青くなる。
「ジュリアンのお祖母さんの農園で今朝採れた野菜よ。新鮮で美味しいわ」
可笑しそうに向かいに座ってるキャロルやアヴィがケラケラと笑った。
「食べる前に、食べ物や作ってくれた人、家族に感謝とお祈りをしてから食べるそうよ」
しかめっ面のまま料理に向かってお祈りをして、2人は食事を始めた。
楽しいディナーはたった今、始まったばかりーー。
壁際にお行儀よく横並びになって、ちょこんとお座りして、床の上に置かれた小さな卓の前でゴハンを待っていた。
「ほらよ、お前らは1匹で1羽な」
ベンジャミンは幻狼達にターキー配った。赤ちゃんオオカミのスノウには一口大にカットしたターキーのモモ肉。
大食いな幻狼なら大きな七面鳥もペロリと骨ごと食べてしまうだろう。
「美味しそう~!」
クロウとエステルは笑顔で尻尾を振った。
こんがりとローストされた立派な七面鳥の丸焼き。
おなかにはリンゴやレモン、セロリなど、野菜や果物の詰め物がいっぱい入っている。
ホクホクのマッシュジャガイモ添えられている、溶けたバターと七面鳥の肉汁が絡んでいて美味しそうな匂いがした。
ジュリアンはカボチャのパイを、シャルロットは温かい根菜スープとコーンブレッドを作ってテーブルに並べた。
「オリヴィア小国からお土産にスパークリングワイン持ってきたんです、どうぞ」
「わあ、ありがとうございます!イルカルさん」
ジュリアンの祖母は最初はかなり緊張していた様子だったが、今は騎士のユーシンとゲーテと仲良くなって楽しそうにお喋りしてる。
「ゲーテとキャロルさんにはお魚料理を作ったの、どうぞ」
シャルロットはグリルした魚や根菜を白い皿に盛り、2人へ出した。
ミレンハン国は伝統的に冬が始まる前に断肉する仕来りがあり、今はちょうどその期間に当たるので肉が食べられない。
キャロルはあまり お肉を好まないので、シャルロットは彼らのために、みんなとは別でご馳走をこさえた。
「ありがとうございます。姫様」
「おいシャルル。俺様もあのチキンの丸焼きが食べたい。ちょっとくらい食っても怒られねえだろ」
「ダメよ。ミレンハン国のグリムさんからお手紙で再三忠告されてるのよ。また作ってあげるわ。このお魚も高いのよ?美味しいと思うわ」
盛り付ける際にシャルロットの手の甲に、ローストターキーの肉汁ソースがついてしまっていたようだ。
ゲーテはニヤッと笑うとシャルロットの手を掴み、ペロリと彼女の手の甲を舐めた。
「きゃ!何するの!?バカ!」
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「ソースくらいは味見したっていいだろ!」
「だからって、お行儀が悪いわ!」
シャルロットのエプロンの裾を、隣にいたグレース皇子が引っ張った。
「シャルロット、このチキンを切り分けてくれ」
「グレース様、はい、今カットするわね」
グレース皇子はゲーテを睨んでいた。
ゲーテは余裕そうに笑っているだけだ。
「シャルロットにちょっかい出さないでくれ、お前は騎士なんだろ!」
「フン、小さい男だな」
「なんだと!?」
睨み合っているとシャルロットが再び2人の間に現れた。
そして彼らの前にケールとオレンジ芋のマッシュに、根菜のバター炒めやサラダボウルを置いた。
「はい、この野菜を完食するまでお肉とデザートは抜きよ。2人ともしっかり食べてね」
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可笑しそうに向かいに座ってるキャロルやアヴィがケラケラと笑った。
「食べる前に、食べ物や作ってくれた人、家族に感謝とお祈りをしてから食べるそうよ」
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