シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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シャルロットと精霊博士のサンクスギビング・ターキーデー

ベンジーの診察と小旅行計画

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ベンジャミンの精霊の研究のためにと、シャルロットは自身の身を投じ研究に協力してあげた。
そのために、数日に渡って彼の研究室へ通っていた。

「不妊か……」

シャルロットはエステルを産んだあと2人目の不妊に悩んでいた。
お月のものもちゃんとあったが、人間のグレース皇子の子も精霊であるクロウの子もなかなか授からなかった。

それも良い機会だから医者の彼に相談して、キチンと検査もした。

「人間の赤ちゃんを産むのもそうだけど、幻狼の子を産むって身体にかなり負担がかかって大変なことだからねーー本能的に妃殿下の身体が危険を察して産み控えているのかも。妃殿下の身体自体には、特に異常は何もなかったよ」

「そ、そっか……良かったわ」

「もともと魔人・人間・獣人ーー種族が違うもの同士は妊娠し難いんだ。気にすることないよ」

「は、はい……」

「うーん、後、妃殿下は魔力が自分で作れなくて安定してないから、経口摂取で魔力を増やして行けばいいんじゃないかな?」

「何を食べればいいの?」

「ナッツ類かなぁ、ハシバミの木の実とか?ハシバミの木には魔力が詰まっててね、栄養も多い。俺の祖国のペレー国ではハシバミから取った木材は魔道具造りとか魔法の杖なんかの材料になるし、木の実は魔人が魔力を高めるために食べるよ」

「ハシバミ……?」

植物に疎いシャルロットは首を傾げた。
椅子に座っていたシャルロットの足元にぴったりくっついていたクロウが教えてあげた。

「ハシバミの木は、ヘーゼルナッツの木だよ、シャルロット~」

「まあ、ヘーゼルナッツ、美味しいわよね」

「俺の友人がエスター国の郊外の村でヘーゼルナッツ果樹園やってるんだけど、ちょうど収穫期だし、感謝祭終わったら連れてってあげるよ。木の実を分けてもらえると思うし。採れたての方が詰まってる魔力が多いんだ」

「まあ!本当?嬉しいわ!」

「おいでおいで~!俺の友人ね~、デュラハンって名前なんだけど、コミュ障で友達が少ないんだ。でも、すごく寂しがりやだから、是非 友達になってあげてよ。彼ね、昔は騎士をしてたんだ!だから、妃殿下の騎士たちも連れておいでー。同業者がいたら内気な彼も気安くなるかも?」

「ええ、ぜひお伺いするわ!」

「まあ、ちょーっとビジュアル的にビックリするかもしれないけど、良いやつだからさ。仲良くしてあげてよ」

「……?、ええ……。グレース様に相談してみるわね」

もうすぐアカデミーも冬の長期休暇に入るから小旅行も良いかも……シャルロットはワクワクしてた。

「デュラハン……?どこかで聞いた名前だ……」

クロウは思い出そうとしていたが、やっぱり分からなかった。






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