155 / 262
奪われたお城と皇子の愛を取り戻せ!?〜シャルロットの幸せウエディングパレード
レイナとの接触
しおりを挟む
議会が開かれる本殿の赤の間と呼ばれる部屋にはたくさんの官僚たちが集まっていた。
現在の王、レイメイが10年前に新設した赤の間には真四角に席が配置されており、右側には貴族から選出された議員が大臣らが座り、左側には平民出身の政治家は有識者が座り、主に内政について話し合う。
王が座る席は彼ら1番後ろにあった。
大体のことは宰相が議長を務め皆で話し合い、王は最終的な決定を行う程度でほとんど発言はしない。
かつてこの国が帝国だった前の時代は王(皇帝)がワンマンであれこれ決めていたし、議員も貴族、お気に入りで固めていたのだがーー。
従来の戦争による領土拡大より工業や経済で国を発展する方向へシフトしたりと、レイメイは長く続いていた国の体制をも大きく変えてしまったのだ。
破天荒すぎる彼のことをよく思わない貴族も居た。
「どうぞ」
グレース皇子はワゴンに乗ったティーポットを手にしカップに紅茶を注ぐと、それを議員らの前に置いた。
「あっ……ありがとうございます……グレース皇子」
小太りな大臣が激しく動揺している。
顔は真っ青だ。
グレース皇子はピンと背筋を伸ばし、毅然とした態度で紅茶を淹れている。
その様は一枚の絵のように美しい。
隣り合っている貴族たちの顔も顔面蒼白だったり、冷や汗たっぷりだったりと様々で、窓際の席で足を組みながら座っている白髪頭の貴族だけが小馬鹿にするような笑みを浮かべて不遜な態度だった。
彼はゴルソン侯爵だーー。
「皇子様に手ずからお茶汲みをさせるなど、我が王は何をお考えになっているんでしょうか?」
嫌味っぽく口を出した。
後ろの席に座っている王は黙ったまま紅茶を飲む、その隣にいた補佐官や宰相が苦笑いをしていた。
「大事な話し合いの場に乱入して申し訳ない。国の運営について勉強をさせていただきたく、お茶汲みでも良いから参加させてくれと自分で頼んだんだ」
グレース皇子はゴルソン侯爵に怯むことなく堂々と応えた。
「今まで国のことには全く無関心であった御坊ちゃまが…これはこれはご立派になりましたね」
「今までは皇子としての自覚が足りていませんでした、心を入れ替えて真面目に取り組んでいく所存です」
皮肉たっぷりの笑み、だがグレース皇子はそんなあからさまな嘲笑には煽られなかった。
グレース皇子の側にいた人の良さそうな笑顔を浮かべる年老いた貴族の議員メハードは笑った。
「オホホ、昨日まではヨチヨチ歩きしていた殿下が、もうこんなに立派なになられて…メハードは大変感動しておりますぞ。ああ、陛下、将来も安泰ですなぁ」
心からの発言だろう。
この中で一番力を持つ年配貴族のひと声に、次々と同調するような声が上がる。
グレース皇子は安堵したかのように笑う。
ゴルソン侯爵の睨むような視線がグレース皇子の背中に突き刺さる。
(かなり苛立ってるようだ……。いろいろと不正が明るみに出て焦っているんだろう)
グレース皇子は考えていた。
メハード侯爵は王レイメイ派の代表貴族だ。他の貴族からも信頼は厚く、人格者。人脈は広く、公爵ほどには及ばないが権力も持っている。
普段は優しいおじいちゃんで、グレース皇子のことも幼い頃からとても可愛がっていた。
グレース皇子は議会の様子を王の隣で立ち見し、話し合いの内容をびっしりとノートに書き上げていた。
奇妙そうにグレース皇子をジロジロ見る貴族たちの視線にも慣れた。
*
「うん…貴族らの名前と顔は覚えた。大体の派閥も」
お茶汲みを通して普段関わり合いのない貴族達とも少し会話ができた。
一口に貴族と言っても訝しげな態度の人、好意的な態度の人、媚びを売る人様々だ。
一筋縄ではいかないのだろう。
議会が終わって本殿内の廊下を1人で歩いていると、突然目の前で侍女がすっ転んだ。
「キャ!」
「?」
目の前で派手に転んだのはーーシャルロットの世話係のライカ・レイナだった。
彼女は目をウルウルさせてむくりと身体を起こし、グレース皇子の顔を見ると赤面して慌てて立ち上がった。
(ここは赤の間や大臣の執務室が集まる場所だ、何故あいつがいるんだ…)
グレース皇子は呆れた顔をして、何も言わずにレイナの横を素通りした。
「…チッ」
背後で微かに舌打ちする声が聞こえた。
それからすぐにレイナが賑やかな声でグレース皇子の目の前に現れた。
「グレース様、今 議会が終わったの?」
「退け、お前には関係ないことだろう。俺に気安く話しかけるな」
「あの…あたし、グレース皇子に何かしましたぁ?」
媚びを売るような上目遣いに辟易するグレース皇子。
彼女はグレース皇子の腕に絡み付いてきた、グレース皇子はそれをすぐに振り払う。
「無礼な!お前のことなど知らん!」
声を荒げた。
いつもならすぐにも騎士なり執事なりが駆け付けてくるのに、辺りを見渡しても誰もいない。
議会の間、廊下や控え室で待機しているように命じてたはずだが。
「誰も来ませんよ~?」
レイナは黒い笑みを浮かべる。
「なんだと…?」
ふと視線を彼女の背後の窓に移した。
窓際には黒い香炉がーー気付けば香炉から出た煙が廊下に立ち込めていた。
手足が痺れ硬直する。
身体は動かないし、声も出せなかった。
魔法では無い、神経に作用する薬草を使ってるんだろうーー。
「大丈夫です、時間が経てば治りますから」
弾むような明るい声。
「あたしだってこんな真似したくないんです」
「……!」
彼女がどこからか取り出したのは一本の長い針だ。
おどろおどろしい光を放ってる、ただの針ではなさそうだ。
彼女は躊躇なく、それをグレース皇子の首に突き刺した。
「ーーーー!?」
痛みはないが、針が体内へ溶け込んでいくような気味の悪い感触がした。
すぐにグレース皇子の瞳から光は抜け、意識は消え失せてしまった。
現在の王、レイメイが10年前に新設した赤の間には真四角に席が配置されており、右側には貴族から選出された議員が大臣らが座り、左側には平民出身の政治家は有識者が座り、主に内政について話し合う。
王が座る席は彼ら1番後ろにあった。
大体のことは宰相が議長を務め皆で話し合い、王は最終的な決定を行う程度でほとんど発言はしない。
かつてこの国が帝国だった前の時代は王(皇帝)がワンマンであれこれ決めていたし、議員も貴族、お気に入りで固めていたのだがーー。
従来の戦争による領土拡大より工業や経済で国を発展する方向へシフトしたりと、レイメイは長く続いていた国の体制をも大きく変えてしまったのだ。
破天荒すぎる彼のことをよく思わない貴族も居た。
「どうぞ」
グレース皇子はワゴンに乗ったティーポットを手にしカップに紅茶を注ぐと、それを議員らの前に置いた。
「あっ……ありがとうございます……グレース皇子」
小太りな大臣が激しく動揺している。
顔は真っ青だ。
グレース皇子はピンと背筋を伸ばし、毅然とした態度で紅茶を淹れている。
その様は一枚の絵のように美しい。
隣り合っている貴族たちの顔も顔面蒼白だったり、冷や汗たっぷりだったりと様々で、窓際の席で足を組みながら座っている白髪頭の貴族だけが小馬鹿にするような笑みを浮かべて不遜な態度だった。
彼はゴルソン侯爵だーー。
「皇子様に手ずからお茶汲みをさせるなど、我が王は何をお考えになっているんでしょうか?」
嫌味っぽく口を出した。
後ろの席に座っている王は黙ったまま紅茶を飲む、その隣にいた補佐官や宰相が苦笑いをしていた。
「大事な話し合いの場に乱入して申し訳ない。国の運営について勉強をさせていただきたく、お茶汲みでも良いから参加させてくれと自分で頼んだんだ」
グレース皇子はゴルソン侯爵に怯むことなく堂々と応えた。
「今まで国のことには全く無関心であった御坊ちゃまが…これはこれはご立派になりましたね」
「今までは皇子としての自覚が足りていませんでした、心を入れ替えて真面目に取り組んでいく所存です」
皮肉たっぷりの笑み、だがグレース皇子はそんなあからさまな嘲笑には煽られなかった。
グレース皇子の側にいた人の良さそうな笑顔を浮かべる年老いた貴族の議員メハードは笑った。
「オホホ、昨日まではヨチヨチ歩きしていた殿下が、もうこんなに立派なになられて…メハードは大変感動しておりますぞ。ああ、陛下、将来も安泰ですなぁ」
心からの発言だろう。
この中で一番力を持つ年配貴族のひと声に、次々と同調するような声が上がる。
グレース皇子は安堵したかのように笑う。
ゴルソン侯爵の睨むような視線がグレース皇子の背中に突き刺さる。
(かなり苛立ってるようだ……。いろいろと不正が明るみに出て焦っているんだろう)
グレース皇子は考えていた。
メハード侯爵は王レイメイ派の代表貴族だ。他の貴族からも信頼は厚く、人格者。人脈は広く、公爵ほどには及ばないが権力も持っている。
普段は優しいおじいちゃんで、グレース皇子のことも幼い頃からとても可愛がっていた。
グレース皇子は議会の様子を王の隣で立ち見し、話し合いの内容をびっしりとノートに書き上げていた。
奇妙そうにグレース皇子をジロジロ見る貴族たちの視線にも慣れた。
*
「うん…貴族らの名前と顔は覚えた。大体の派閥も」
お茶汲みを通して普段関わり合いのない貴族達とも少し会話ができた。
一口に貴族と言っても訝しげな態度の人、好意的な態度の人、媚びを売る人様々だ。
一筋縄ではいかないのだろう。
議会が終わって本殿内の廊下を1人で歩いていると、突然目の前で侍女がすっ転んだ。
「キャ!」
「?」
目の前で派手に転んだのはーーシャルロットの世話係のライカ・レイナだった。
彼女は目をウルウルさせてむくりと身体を起こし、グレース皇子の顔を見ると赤面して慌てて立ち上がった。
(ここは赤の間や大臣の執務室が集まる場所だ、何故あいつがいるんだ…)
グレース皇子は呆れた顔をして、何も言わずにレイナの横を素通りした。
「…チッ」
背後で微かに舌打ちする声が聞こえた。
それからすぐにレイナが賑やかな声でグレース皇子の目の前に現れた。
「グレース様、今 議会が終わったの?」
「退け、お前には関係ないことだろう。俺に気安く話しかけるな」
「あの…あたし、グレース皇子に何かしましたぁ?」
媚びを売るような上目遣いに辟易するグレース皇子。
彼女はグレース皇子の腕に絡み付いてきた、グレース皇子はそれをすぐに振り払う。
「無礼な!お前のことなど知らん!」
声を荒げた。
いつもならすぐにも騎士なり執事なりが駆け付けてくるのに、辺りを見渡しても誰もいない。
議会の間、廊下や控え室で待機しているように命じてたはずだが。
「誰も来ませんよ~?」
レイナは黒い笑みを浮かべる。
「なんだと…?」
ふと視線を彼女の背後の窓に移した。
窓際には黒い香炉がーー気付けば香炉から出た煙が廊下に立ち込めていた。
手足が痺れ硬直する。
身体は動かないし、声も出せなかった。
魔法では無い、神経に作用する薬草を使ってるんだろうーー。
「大丈夫です、時間が経てば治りますから」
弾むような明るい声。
「あたしだってこんな真似したくないんです」
「……!」
彼女がどこからか取り出したのは一本の長い針だ。
おどろおどろしい光を放ってる、ただの針ではなさそうだ。
彼女は躊躇なく、それをグレース皇子の首に突き刺した。
「ーーーー!?」
痛みはないが、針が体内へ溶け込んでいくような気味の悪い感触がした。
すぐにグレース皇子の瞳から光は抜け、意識は消え失せてしまった。
0
お気に入りに追加
395
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

前代未聞のダンジョンメーカー
黛 ちまた
ファンタジー
七歳になったアシュリーが神から授けられたスキルは"テイマー"、"魔法"、"料理"、"ダンジョンメーカー"。
けれどどれも魔力が少ない為、イマイチ。
というか、"ダンジョンメーカー"って何ですか?え?亜空間を作り出せる能力?でも弱くて使えない?
そんなアシュリーがかろうじて使える料理で自立しようとする、のんびりお料理話です。
小説家になろうでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる