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*シャルロット姫と食卓外交
シャルロットと第二騎士団
しおりを挟むーー第二騎士団 鍛錬場
出来上がったオニギリをバスケットに詰めてリディと二人で鍛錬場まで運んだ。
「結構 遠いわね」
シャルロットとリディの額には汗がにじむ。
太陽が空の真上に登っている、春とは言え今日は日差しが強い。
そんな中、鍛錬場には野太い掛け声と共に十数人の騎士達が挙って一心不乱に剣を素振りしていた。
彼達の前にグレース皇子も混じっていた。
「運動部の朝練風景のようね」
シャルロットはまじまじと彼らを見つめながらボソッと呟き、微笑んだ。
鍛錬場を過ぎたところに第二騎士団の詰め所と寮、食堂があった。
食堂の中に入ってシャルロットとリディは声をあげた。
「どうしてこんなに散らかってるのかしら?」
「酷いですね~」
思わず扉の前で棒立ちしてしまっていたので、ついさっき閉めたはずの扉が急にガタンと音を立てて開いたのに不意を打たれて思わず小さく悲鳴をあげてしまった。
シャルロットとリディに続いて入ってきたのはオレンジ頭のエプロン姿の青年だった。
青年はシャルロットと目が合い目を見張っていた。
「あれ?侍女さん達がこんなところへ…一体どうしたんですか?」
「勝手に入ってしまってごめんなさい!こちらにグレース様がいらっしゃってるって聞いて…差し入れを持ってきたんです」
「はぁ?」
オレンジ頭の君は訝しげな目でこちらを見ていた。
そうだった、今は侍女服姿だった。シャルロットは今更気付くがどうしようもない。
「差し入れの“オニギリ”です、騎士団の皆さんの分あると思います。お納めください」
リディは淡々とした口調でそう言い、オレンジ頭の彼にバスケットを手渡した。シャルロットも続いてバスケットを彼に預けた。
オレンジ頭の彼は呆然と立っている。
「オニ…ギリ?」
「オリヴィア小国の郷土料理?です。お口に合うと良いのですが」
オレンジ頭の彼は目を見開いたままだ。
シャルロットはコクリと首を傾げた。
「…ありがとうございます!自分はユーシン・フォリア、第二騎士団所属の騎士です。えっと…かくかくしかじかで…今ここを管理する人がいないんで、俺がおさんどんしてるまでっす。差し入れ、すごくありがたいっす!」
感じの良い笑顔を向けられ、シャルロットの緊張も解ける。
「そうだったの。騎士の皆さんが帰ってくるまでに食堂を軽く掃除しちゃいましょうか」
シャルロットは腕まくりをし、食堂の奥から雑巾や箒を見付けて鼻息を荒くした。
それにはユーシンも動揺する。
「そんな、申し訳ないっす!」
「こんな状況、放って置けないんですもの」
「シャルロット様は言い出したら聞きませんから、シャルロット様、私も手伝います」
「ありがとう、リディ」
冷や汗をかき狼狽えるユーシンをよそに、せっせと掃き掃除拭き掃除を始めるシャルロットとリディ。
「お、俺も!」
黙って立っていられないと、ユーシンもようやく動き出す。
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